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黎明の時間がひろがっていた

こともなげに日々は過ぎていき
わたしはしおれた案山子のように日に打ち照らされている

かいつまんで話をすることもない
唇は固く閉じられていて、それ ....
物語りはエンドレスのように
季節は音もなく日々を刻んでいた
地表には取り憑かれたように草たちは伸び
虫はそれに寄り添うように紡いでいる

夏は蝉の音と虫の音が混錬し
熱波が地表を包んでいた ....
スーパーにスイカがたちならび、買い物客は上腕をむき出しにしている
夏至が過ぎた日の日中は、もう夏のような暑さが
巨大円盤となって上空を覆っている
希望というのは、日にあたった蛞蝓のように動かない ....
もう十年もタバコを吸っていない。
健康のためだったか、タバコを吸う自分との決別であったか、確かそんな理由だった。
今ではタバコも高価な代物となり、止めて良かったんだ、そう思うようにしている ....
世間はみな混沌としていて、自分だけが一匹の名も無い虫のようにぽつねんと枯草の上に立ち尽くしているような、そんな朝である
川は雪代で水量は増し、次の季節を急かすように流れている
雪に抱かれて冬に体を ....
恥ずかしくらい若かった
初秋の街角から立ち込める金木犀の香り
今でもその匂いを求めてさまようことがある
その、樹木のある家を見たこともなく
たぶん老人が住んでいたのであろうか
おそらく猫もい ....
朝方は雨に近いみぞれだったが、いつのまにか大粒の牡丹雪となり
真冬のような降りとなっている
誰にけしかけられるでもなく、雪は味気なく空の蓋を開けて降り出したのだ


すべての平面が白く埋め尽 ....
遠くでカラスの鳴く声がしている
そして、そのそばで風も鳴いている
しかし、今、風はおさまっている
気持ちがふさぐとき、風は楚々とやってくる
其処此処の隙間に蛇のような舌を繰り出して舐めていく
 ....
ヒーターの三時間ごとの自動消火を知らせる音源がまた聞こえている
あれからもう三時間も経ったのだと
日の長くなった乳白色の外を見る
あれをやらなければならない
これもやらなければならないと思って ....
冬は終わった、と心底思う

咆哮を繰り返し、雪をやたら積もらせては、ことごとくを埋め尽くした
冬という珍奇な丸い巨大なボールの中で私たちはひたすら混練され
今となっては、そのぽっくりと開いてし ....
けたたましく暖かくなってきていたここ数日であったが、夜明け前から雪になり、すでに10センチくらいの雪が積もった。

二月は、損しか生まない労働が日々を埋めた。

ここ何回かの休日は、除雪に明け ....
曇天の上側には太陽があることなんて信じられない。私は朝五時から午後一時までの勤務を終え、こうしてぼんやりと外の曇天を眺めている。曇天には重量があると思っていて、このやるせなさと、なんとはなしの失意感は .... ときおり、ビビッと飛び立つカワガラスの刹那が、凡庸な1日を僅かに輝かせてくれるけれど、私はまるで重量の失われた物体のように空に向かって昇っている気すらした

雪は降りしきり、私は屋根の上で雪を下ろ ....
 昔の事というのはひどくキラキラしていて、内臓や脳味噌が泡立つような気持ちになっていた気がする。
 年末から年始にかけてはスキー場に急ぐスキーヤーたちが雪煙を上げながら、山村の県道を疾走していたもの ....
雪明かりの中、ひさしぶりに散歩に出る
獣たちの足跡が点在し、ときどき走っては敵に怯えるように急ぎ足になったり、少ないながらもその痕跡が塗されていた
時折、小声で独り言で事を説明する私は酷く滑稽であ ....
冬のよそよそしさは今に始まったことではなく、そう、僕が少年の頃から冬が生まれて、春になると死んでいった
春になると雪の墓場がそこら中にあふれていて、それすらも五月の若すぎて、痛々しいするどい風にさら ....
過敏なくちびると
小さな肩がわずかに揺れて
憂いを含んだ少女の横顔の様な夕刻があった
すべて白くなってしまった冬の十二月はひさびさに晴れ
冬のただ中の日常に泳いでいる

十二月は未だ真冬の ....
昨日、みぞれ交じりの雨が終日降り続き、積った湿雪はさらに重く
あたりを一面の白さに塗しつけている

どこからともなく、なけなしの高揚した気持ちが芽吹いてしまい
はずかしいくらいの言葉を書きなぐ ....
マガモがシベリアからやってきてはにぎやかに鳴いている
人造湖に多くの渡り鳥達が群れていた
赤い大きな橋のたもとにあった古い山小屋旅館は解体されて
長い年月に蓋がされた

昨日今日、ほぼ今年最 ....
無意識に吸い込んだ息が吐き出されるとき
秋は深まっている、と感じる
淡々と掃除をくり返し、残った塵をさらいこむように
物語は終焉へと向かいはじめる

夢は廃田の草のように思いついたように揺れ ....
 目が覚めると異様なほど口中の渇きを感じることがある。一滴ずつ唾液腺から舌で唾液を促し、口中の渇きに唾液を塗りたくる。いったい俺の体はどうなってしまったのだろうか?そんなことを最近感じる。
 鏡の中 ....
苦いコーヒーを啜る
昨日の残滓を回想しながら
黒褐色の液体が食道を滑り胃に落下していくのを感じていた

かすかな期待が薄紅色にときおり光り
羽毛を生やした生き物のように少しだけ微動する
 ....
読点の無い散文詩のように
ひたすら遠くへ限りなく続くかのような山道を刈る
それは、その行為はいったい何なんだろうと
我ながら思ってしまう
幼い自分、青年期の自分、雑多な怨念、過去の病的な行いや ....
とおり雨が去ったあと
秋の虫が鳴いていることに気づく

草は成長することに少し疲弊しているかのようで
重くなった我が身をかがめてすらいる
どこまで生きようか、とか、目的もなく
ただ草は、神 ....
梅雨の明けない早朝、雨は少し降っていて
私は散歩するのをやめていた
できれば行きたくないな
という気持ちを後押しするように、小雨ではあるが
雨はひび割れたアスファルトに落ちていた
ふと昨日の ....
未だ幼木の胡桃の木の後ろには籾乾燥施設があって
霧はそれらを囲むように包んでいる

疲労という疲労は
体のあちこちに固形物のようにしこりとなってとどまり続け
筋肉や腱を蝕んでいるような気がす ....
疲労と孤独と多忙さの中で日々は疾走していた
緑は際限なくもくもくと広がって
入道雲まで連れてきていた
今年はじめての雷雨の後の静けさは
次第に夕暮れを連れて
切れ長の目尻のようにあたりを ....
一匹のイワシが大海の中で、何かを思考しながら泳いでいる
あまりにも複雑な海の水はとても塩辛くて、飲んでは吐き
体内をおどるように走る塩辛さに眉をひそめながら
それでも彼は泳ぎ続けるのだ
まがい ....
ただの一言も発することがない
二月の青空はとても孤独だ
ひとみを綴じた兎が
木の袂でうたた寝をしている

冬は自我をうしない
薄く目を開けて、この青い空を
くちびるをかすかに動かして
 ....
白と黒の、うっとりと時の踊り場で寛いでいるかのような、冬
雪は未だ、ここに居てもいいのかどうなのか、
わからないでいるように見えたりする、初冬
暗い雪の夜道を歩いてみれば、小首をかしげた四つ足獣 ....
atsuchan69さんの山人さんおすすめリスト(41)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
7/20- 山人自由詩8*25-7-20
七月のかなしみ- 山人自由詩12*25-7-19
夏至が過ぎたから- 山人自由詩6*25-6-28
あれから- 山人自由詩5*25-5-20
一匹の虫のように(四月最後の日に)- 山人自由詩5*25-4-30
金木犀- 山人自由詩13*25-4-11
初雪- 山人自由詩11*25-4-3
- 山人自由詩6*25-3-26
十六時- 山人自由詩11*25-3-19
みつめている- 山人自由詩7*25-3-10
休日- 山人自由詩11*25-3-3
曇天の重量- 山人自由詩15*25-1-24
除雪- 山人自由詩3*25-1-17
冬の静けさ- 山人自由詩6*25-1-8
冬のにおい- 山人自由詩19*24-12-31
もうひとつの越冬- 山人自由詩7*24-12-23
夕刻- 山人自由詩7*24-12-16
雨も止んで- 山人自由詩11*24-12-1
初冬の夕刻- 山人自由詩15*24-11-24
立冬- 山人自由詩5*24-11-13
疎林- 山人自由詩10*24-10-11
風のない夜明け前の朝- 山人自由詩4*24-10-1
のびやかに九月は流れていた- 山人自由詩10*24-9-9
朝は丸くなっていた- 山人自由詩4*24-7-31
ハナアブ- 山人自由詩9*24-7-17
霧の朝- 山人自由詩11*24-7-2
夏(緑物語)- 山人自由詩9*24-6-20
群れ- 山人自由詩9*24-5-11
誕生日- 山人自由詩11*24-2-20
冬の時計- 山人自由詩10*23-12-19

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