誰も居ない街の

小さな家の壊れて音がでなくなった

ピアノの前に腰掛け

ふうっと大きな息を吐いて

埃まみれな黒のボディを見えるようにしてやった

そして音の出ない鍵盤を必死に ....
ちょっとプラス1だけ
優しくなれたらいいのに
小数点以下は歯切れが悪いので
やめたいです
9.9999・・・・・・は
背中が痒くなるので
もっと嫌です
1がいいです
2は僕にはきつ ....
私は目を閉じる
下瞼のほうへ意識を集中させる
まるで世界を下へ押しやりたいみたいに
あえいでも泳ぎきれない波のように
なんやかやが迫って息もできない
やっと
口をひらいたときに出てきたもの ....
いつから芋焼酎飲むようなったんかなあ
(あたしはどきっとした)

おまえにもうたんやっけ
(そうや)
(あのとき付き合うとった彼にもろたんや)

四五年まえおまえにもうたんや
(いまさ ....
 女の暮らしは、毎日打ち寄せてくる波のように、変わる事がなかった。
 狭い島の単調な暮らしに飽きそうになると、女は海峡を眺めて夢想した。
 海峡の向こう側には、隣国の長く横たわる山脈が夏でも銀嶺の ....
赤メロンに つららみたいにシタたル
籠もれ陽ふかした 浴びる月香をタくル

むろん 黒眼がしめきったのどかな風には
違いなく 色を歌う無実の草の
なじみの春が ころころと 吹雪いて

横 ....
{引用=疲弊を逃れるための読書の
薄くなったアイス珈琲の
ひと雫がおちる

または
五本目のホープの
味気ない六mgの
崩壊して灰が
おちる

または}


椅子の下へ目をや ....
ふたりの蛇が絡みあい

とぐろを巻いてぼたっと置かれている

私たちは睨みあう

舌をちょろちょろさせ

鎌首をシュパッと突きあわせ

私たちは今、威嚇しあっていた


私は ....
いつの間にか海峡と陸を隔てる水平線は確かさを失い、靄の帯を海に広げていた。
 海峡の向こうには岩肌をみせる山脈と、その手前には昔は燈台守が住んでいたという岩礁に見まがう小さな島があった。
 今、そ ....
遠浅の日々はいつの間にか息継ぎの仕方を忘れさせる。
駅まで、の最後の交差点に立つと
呼吸が止まるほどに夕焼けの匂いがした。

  *

「雲は、本当は流れていないのです ....
道を歩いていたら
言葉が落ちていたので
拾いながら歩く

拾った言葉を並べてみたら
詩のようなものができたので
額縁に入れて飾っておく

紅葉が一枚
はらりと落ちて
そこからまた言 ....
立体的な画像に目を奪われ

グルグルと頭では

スプートニクが回っていた

七夕に願いをかけるなら

それはマジックで黒く染まっているでしょう

現実はいつも甘い薫りで

姿を ....
ジュリアーノ・ジェンマって俳優が好きだった
目深にカウボーイハット被り腰のコルトに手をやる刹那
呼ばれてもないくせしてサボテンの根元に転がる根無し蓬がわたしだった

ベッドのなかでもブーツ脱が ....
母が縁の下から引っ張り出してきたびんは
レトロでポップな橙の花が描かれていて
若い頃の彼女の趣味であったのだろうと想像出来た


恐らく本来は真っ赤な色をしていたのだろう
すすけたえんじ色 ....
空色にそまる
秋の天蓋の幕をあければ
プラタナスの黄葉の並木
衣擦れの人影

{引用=―――――何をかなしんでおるのでしょう。
何を?ばかな 愚かな道化に何がわかるのです。
わかるる ....
{引用=純
粋世
界の君
が笑う9ヶ
月前にこの
夢ははじまっ
た、はずの夢
*
はじまったもの達
のはじまらなかった
”名前”をひとつずつ
乾いた舌先で声にうつし
て消し去る ....
「妖」


熟れた日常を引き剥がし

馴染んだ名前を脱ぎ捨てて

あなたの熱は儚く溶けた

残り香だけを朝に置き忘れて




「怪」


仄暗い四辻を右へ折れた ....
ゆがんだ世界とうまくやっていくために
ひずんだ言葉に沈潜してゆく
絶望という名の回虫が腸の中で
成長している
季節はずれのハエが
安楽椅子で眠っている
年老いた神様の口元に
止まっている ....
何度もあなたを殺していた
言えなかった言葉を尖らせたナイフで
いつの間にか覚えてしまった
人格者の微笑をまとったまま

何度もあなたを殺していた
愛憎の糸がこんがらがったロープで
い ....
{引用=まだ、私の夢に虚無は訪れていない}

スロウで駆けてくる
馬の筋肉の躍動が
私の夢を横切る

霧のように潤ったこの部屋で
枯れたダリアが
二、三枚の葉を落とす

紙風船のよ ....
秋の風に吹かれつつ
サラサラと零れる欠片を思い
秋の雲を見つめつつ
カサカサと這う影の立脚に感づく


秋、怖い秋
金木犀が香る
秋、怖い秋
金木犀は異界の香り


秋は奪う
 ....
上澄みをそっとすくって
綺麗な挨拶をした
下心を揺らさないように
洒落たお世辞を言った

左旋回をしながら
美味しい笑顔を振りまいた
右向け右を向いたまま
爽やかなジョークを投げつ ....
目的はあったほうがいい

そのための

道標としての目標はあったほうがいい

そういうことが

しんどいことだと思うひともいるだろう

言葉は個人にとどかない

これを孤独と言 ....
なぜかしら
私には聞こえてこない
どうしてかしら
あなたには聞こえない

携帯の着信音
サイレントにしてないのに

雨の音が
消しているのね
昨晩の
私たちの小さなすれ違い
排 ....
ららいらららいらい
誰がきょうも
種を飛ばす
やわらかく
芯はかたく

眼球は
きょう、うるおっていますか
かわいてるのなら
かけてあげましょう

えん罪のドラマをみる
ことば ....
{引用=

秋、なのですね

久しぶりにみる陽の
海峡の水の色は、
遊び心を誘った紺碧から
秘密をとりもどし/もどらされた ―◆■□
群青色ににぶく一変していました。

夏を泳いだ ....
広い広い空に

声が枯れるまで叫んだ

実験室のビーカーを覗いて

華麗な幻想に驚き

ガラスはただ割れて

僕を傷つけてしんでいった

もう咲かないのかなと

うえきばち ....
著者二十代で刊行した第一詩集から第七詩集まで、
半世紀に渡る鋭利な感性の詩編とエッセイからなる一冊である。
この凝縮した水野ひかる氏の世界は、
幾重に年月を経ようとも衰えない「女性力」を感じる。 ....
ときどき僕は
草のなかを歩いてみる
さらさらと風が流れてゆく
草穂が膝頭を撫ぜれば
なつかしい思いに満たされる


ときどき僕は
人に話しかけてみる
ときどき
誰とはなしに笑いかけ ....
{引用=

 こまかく

  こなごなに
くずされるのです 

 支払わなければならない 代償に
 大きく それをさしだせば、
 残ってやってくる 手にするコインの
 ざらつく 他 ....
atsuchan69さんのおすすめリスト(11086)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
時を見つめていたピアノ- こめ自由詩1409-10-16
プラス1- 乱太郎自由詩9*09-10-16
世界は下瞼に押しやって- 朧月自由詩609-10-16
彼には家庭があったんや- 吉岡ペペ ...自由詩609-10-16
「あざらしの島」(2/3)- 月乃助散文(批評 ...4*09-10-16
メロン- 砂木自由詩5*09-10-15
足下を照らす光の中で踊っている- 瑠王自由詩6*09-10-15
蛇つかいたちの行進- 吉岡ペペ ...自由詩909-10-15
「あざらしの島」(1/3)- 月乃助散文(批評 ...4*09-10-15
空を呼ぶ- 南波 瑠 ...自由詩22*09-10-14
秋は詩人- 未有花自由詩27*09-10-14
迎えに行くのは嫌いじゃないよ- こめ自由詩1709-10-14
ジェンマなひと- 恋月 ぴ ...自由詩31*09-10-13
梅酒- あ。自由詩10*09-10-13
道化/◇◆◇◆の秋- 月乃助自由詩8*09-10-13
- 夏嶋 真 ...自由詩19*09-10-12
四行詩四態_<9>- nonya自由詩14*09-10-12
祈り- within自由詩7*09-10-12
- nonya自由詩19*09-10-10
顔のない夢- 瑠王自由詩5*09-10-9
- ゴースト ...自由詩3*09-10-9
上下左右前後斜め- nonya自由詩9*09-10-9
孤独- 吉岡ペペ ...自由詩809-10-8
サイレント- 乱太郎自由詩16*09-10-8
くもりから遠くまで- 唐草フウ自由詩8*09-10-8
秋▼- 月乃助自由詩13*09-10-8
疎外感劣等感自暴自棄etc- こめ自由詩1909-10-8
新・日本現代詩文庫59『水野ひかる詩集』- 渡 ひろ ...散文(批評 ...9*09-10-7
ときどき僕は- 石瀬琳々自由詩14*09-10-7
古代魚のうろこ- 月乃助自由詩9*09-10-7

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