今日の鏡は
流体にちかいのです
あまりにたくさんの欲望を映し出し 
水銀の鏡面に、他人のわたし
髪を短くすぎるほどに切ってしまったまま
ばらばらになった抽象画の 
かけらが流線の色彩を ....
暗黒の空の下には灰白色の砂が硬く積もっていた
海底は果てしなく広がっている

僕の銀色の船は今、嵐の大洋に来ている

大小のクレーターは蟹の足跡やヤドカリの巣穴のようだ

この嵐の大洋は ....
静かの海に来る前に、晴れの海に寄ったんだ
月の海、そうこの大きな穴ぼこ、クレーターは月の内部から湧き出してきた溶岩で覆われている
僕の銀色の船についている小さな窓からのぞいていると
ちょうど灰色 ....
オリエンタレ・ベイスンから
いくつかの高地(テラ)と海(マーレ)を越え
ようやくこの海にたどり着く
小さな銀色の船を岸に寄せるけど
この岩だらけの灰色の海には水が一滴もない
すぐそばにアルタ ....
レッドウッドの梢のさき
木漏れ日は森閑のゆらめき

  私のなかで…落ちていきました

  小さな音がかえってきては、
  だからか、そこに声を聞いた気がしたのです
  のどの奥でわ ....
冬のあたたかな陽射しに気づいて
ふと顔をあげたとき
たまたま貴方と眼が合った
その時、貴方は何も言わなかったけれど
私にはすぐ貴方が言いたいことが分かった


私たちはひと言も言葉を ....
ちぇっ!

右肩に強い衝撃を感じたと思ったら
見知らぬ男のひとの舌打ちが耳奥にまで突き刺さる

ちぇって言われてもね

いつもと変わらぬおっちょこちょいだから
うっかり階段踏み外して捻 ....
まるで何事もなかったように
日常の分だけとおり過ぎていく
愛情は誰も手にすることができない
静かな凪の海
私をおきざりにしたまま
潮も今は遠く引いている 
深海の青のような音楽
三日月が ....
13歳の彼女は頬杖をついてぼんやりと窓の外を見ている。
空を見ているようにみえて、彼女は空を見ていない。瞳に空が映っているだけ。
彼女は世界一の夢想家である。
彼女は彼女であると同時に、赤毛のア ....
 うたっている 腫
れは四つあって 猿
には片目がない あ
の草はらはぼくの腕
の内側にはぜている
今も 白い土と赤い
石が落ちている 腫
れているので穴は塞
いでしまった 探し
 ....
透明は無ではないのでしょうか

無というと暗闇のような気もしますが

無よりも無なのが透明なのではないでしょうか

透明とは無をも包む存在に思えるのです

最愛を失ったこの胸の穴ぼこが ....
花瓶を洗面所まで持っていく。
中の水を排水口にゆっくりと垂らす。幾分大きな花瓶のためどうして水を汲もうかと逡巡したのち病院の外の水道を探しに行く。消毒の効いた洗面台が花びらの一枚一枚を枯らすかもしれ ....
例年通り僕の誕生日は雨だった

街の所々から音泉が湧き出ていた

それは素晴らしい日々の幕開けだろう

それ以外は考えられなかった

なんなんだろう

この不思議な気持は

プ ....
 雪

       乱太郎 作

雪がひらひら舞い降りて
少女の耳元
静かにささやく
――ごめんね
  冷たいでしょう

手のひらの上で
溶けていった雪に
少女 ....
ひとり

ひとりより ふたり

ふたりより さんにん

さんにんより よにん

よにんより いっぱい

でもやっぱり ひとり
彼とは佐賀の九州陶磁文化館の研究会で初めて会った
私が書いた明末清初の華南三彩陶磁の論文を読んだと彼は言った
高名な李朝白磁研究の専門家に自分の論文が読まれたと知って私は高揚した
その頃私は中国 ....
暹羅(シャム)猫を飼うのは難しいから止めたほうがいいと友人は言っていた
でもお前を飼って正解だったと今は思う
私はこの2年仕事を終えると一目散にお前のもとに帰ってくる
ソファに寝そべって愛しい茶 ....
やはり感傷的なものはだめなのかなと夕焼けを見ながら思う。感傷だけでは心を引き止めることはできないのかもしれない。強い細部があるからこそ感傷に強度が生まれるのだろう。綿密に書き込まれた現実がなければリア .... {引用=浴槽に額を沈める。




水深650mmで
月へと遡上する魚の群れは
尾びれに三日月を宿して
銀の腹は空っぽのまま

ドライアイの魚達が
す ....
あの、
アルビノの
冬の御空の
アルコホルは
暗き手椀に
満ちて香ります

また、
鉄による
シロツメクサの
賛美歌は
キリキリ宙に
足を揃えます

また、
蒼褪めた
 ....
冷たいゆびで
摘まんだ雪は
わずかにかなしい方へと傾斜し
山裾の町は
湖の名前で呼ぶと
青い空の下で黙って
わたしの声を聞いている


凍った坂の途中から
見渡すと
連なる峰の稜 ....


 社会には様々な個性を持った人が住んでいて、その個性の色合いは千差万別だ。まったく同じ性質の人間は二人といないのであり、それぞれが唯一無二のかけがえのない個性を備えた、取替えの利かない個人で ....
自分自身を型にはめようとしているのかな
知らず知らずのうちに
「ねばらない」
そんな思いに捉われてしまう

誰かにそそのかされている訳でも
強いられている訳でもないんだけどね

つまる ....
実に面倒臭い生き物です
ミルクともヨォグルトともつかぬ雲が
蒼白い画用紙にもっさりと乗っかっているだけの空
針の匂いの突き刺さる景色はただ想像するだけで
心は常に深淵に投げ込まれてしまう ....
茜に黒のシルエット
三角屋根の向こうには
遙かな世界があるのかな?

茜に星が増えてきて
せっかく覚えた”黒猫のタンゴ”
揺れる輪舞で忘れるのかな?

むくれた僕の手を引いて
繋いで ....
若いうちに頑張らなければと
四十も後半になった夫が言う

うむうむと うやむやに
どことなく頷く

言いたいことも言わなければ
いけない事も
お互いあるはずだけど

なぜか若い事に ....
斜めの方角からきた野心に貫かれて
私の正義は枯れてゆきました


たばこのぽい捨てなんて注意できる勇気はない
路上に捨てられた吸殻も拾えない
潔癖症の私にはふれることができない
自分で ....
宇宙を模写する

思考を模写する

気持ちを模写する

他者を模写する

意識を模写する

無意識を模写する

刹那を模写する

呪文を模写する

それを貼り合わせて
 ....
{引用=

大さわぎでなく
ゆっくりと歩む
足の裏に感じる砂の感触を確かめ
けして温かくないけれども
柔らかく反発してくるようなそれを
一足一足 注意深く進まなければ、
見逃してしまう ....
夢 いかがですか
どんな夢でもお好みのままに
夢 いかがですか あなたに夢売ります

僕のポケットにあふれるぐらいに
夢がたくさん入ってる
あの日 君の心から奪った
夢も押し込まれている ....
atsuchan69さんのおすすめリスト(11086)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
「ピカソ」- 月乃助自由詩13*10-1-23
月面航海記(嵐の大洋)- 楽恵自由詩10+*10-1-23
月面航海記(晴の海より)- 楽恵自由詩19*10-1-22
月面航海記(静かの海より)- 楽恵自由詩11+*10-1-21
「残花」- 月乃助自由詩10*10-1-20
まなざし- 楽恵自由詩5*10-1-19
歩めるひと- 恋月 ぴ ...自由詩15*10-1-19
夜想曲- 楽恵自由詩7*10-1-18
Over_the_Rainbow- 楽恵自由詩6*10-1-17
猿のうた- 梶谷あや ...自由詩510-1-17
神戸から思うこと- 吉岡ペペ ...自由詩1010-1-17
抱える- 相田 九 ...自由詩6*10-1-17
誕生日は雨な世界- こめ自由詩1510-1-16
- 乱太郎自由詩1510-1-15
ひとり- 仁惰国堕 ...自由詩1*10-1-15
高麗青磁双耳壷の印象- 楽恵自由詩7*10-1-15
暹羅の青い猫- 楽恵自由詩6*10-1-14
死後硬直- within自由詩5*10-1-14
感覚- 夏嶋 真 ...携帯写真+ ...10*10-1-14
冬の印象(小さな祝祭の)- 六崎杏介短歌710-1-13
青空- 銀猫自由詩11*10-1-13
【批評祭参加作品】うたう者は疎外する/される- 岡部淳太 ...散文(批評 ...310-1-12
縛るひと- 恋月 ぴ ...自由詩24*10-1-12
実に面倒臭い生き物です- 仁惰国堕 ...自由詩3*10-1-12
夕映え- 仁惰国堕 ...自由詩2*10-1-11
有無- 砂木自由詩5*10-1-10
喪に服す- 朧月自由詩310-1-10
模写のモザイク- 吉岡ペペ ...携帯写真+ ...510-1-10
Blue_Heron- 月乃助自由詩18*10-1-10
夢売り- 朧月自由詩410-1-9

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