満ち潮が新しい雲を率いてやってくる
ねむの木の下にしゃがんでいたら
スイカと蚊取り線香の色がただよってきた
知らんぷりしているようで、世界はやさしい
ふとんを叩く音 野菜を煮る音
自販機 ....
私という人見知りは
背中にうっすらとした黄金の体毛と
頭部に後光が輝くよう
分け目の間に鏡を置いた
ギミックがすこぶる付きの生物なので
東京近郊の動物園から
引く手数多なのだけれども
....
パン工場に出かける前に
海辺で裸になる日課
務め後は陸上公園で裸足になる日課
仕事中はいつも外ばかり見ている
砲丸投げのサークルには水がたまっている
べとべとする地面で走る馬鹿は他に ....
暑中お見舞い申し上げます。 たま
地下鉄
地下鉄はまっすぐ走るものだと思っていた
車体が傾いてとなりの女の顔が急に近づいた
ね、 複雑でしょ・・
耳元の吐息はいつも体 ....
あの人と、付き合いだしてから、
運が、上がったか、
下がったかといえば、
元々がひどかったため、
けっして下がったわけではないのだけれど、
やっぱり、上がったわけでもない。
今日も ....
遠い昔の縄文の
汚物の塚を保存する
歴史保存の尊さか
ヒマラヤ杉に隠された
世界規模の気候変動
遮光土器は本当に
差し込む闇が横一線
土塊(つちくれ)の中から捻り(ひねり)出 ....
港町の浜辺に面した食堂
浜辺の見える出窓に置かれた
古ボケた大きなラジオから
流れる昔のエレジィは
淋しく悲しい旋律で
波止場につながる道沿いを
黒いショールに包まれた
港のおカマの頭上 ....
心休まらぬことばかりだろう。そんなことは分かっていただろう。「悩みも悲しみも無い人生を送れると思っていた」なんて何処かで聞いた事は覚えていただろう。僕は苦しいなんて言っても誰も知った事か。誰だって苦し ....
おとなが
こどもをもとめて
在りし日をおもう間が
すぎていく
ねんれいを知るには
かさなった時を精算するより
ひふとかほねとか
みのまわりのせいりをして
自称せいぶつがくしゃのつもりで ....
『女は、
頭なんかどうでもいい。
おっぱいと声だぜ。』
という、C級洋画の脇役の台詞に、
ふむ、なるほど、とは思ってはみても、
それは、
若い子に限るだろ、という気もする。
彼女と、 ....
べつだん躊躇ったりすることもなく
無造作に引きちぎった胸元のボタンを手渡してくれた
「ありがとう」
「礼なんていらないよ
こうするものらしいしさ」
恥じらいをみせれくれれば可愛い ....
触れていたいと願うこと
それはとても身勝手で
遠い神話の理を
踏みにじってしまおうか
交わらない視線を
僕は知っていた。
すれ違う空気は
混ざり合うの ....
歴史的モジュールの
中にある形骸化した城には
赤い血が残された
飛び散る悲惨さ
私を忘れた王が
「あなたがた・・・」
と叫ぶ
「あなたの中に何もないだろう」
....
そいつは僕の眼をじっと見つめ
/媚を売るでも無く
/何か一言言って僕の歩く先を
先回りしてしっぽを立ててステップを踏む
/石畳の路地は濡れて光っており
/黄色く彩色された建物の壁面に囲まれ、 ....
わたしのなまえは ゆきえです
わたしは夏にうまれた ゆきえです
夏にうまれたのに ゆきえなのです
幸せと言う字に 恵まれたと書きます
わたしの半分は 冬にある
そんなことを ....
意味を群青の空へ溶いていた
遮られて強くなったわけではないが
考えて足を踏み出すようになった
緑色の月が煙越しに見えている
感覚を板ガラスに這わせれば
素肌よりも重い真鍮の夜に
編上靴が雄 ....
くれよんの中でも
はだいろがへりやすい
おさない頃は
けしきよりひとをかきたくて
いっぱいいっぱい
はだいろをつかうけど
あれはなにいろだっけ
怒られるような
名前のくれよんは
なに ....
通称 スイカ畑 という林檎畑がある
父が子供じぶん スイカを作っていた畑で
祖父母が買い求めた時は 杉林だった
杉の木を一本 一本 切り倒して畑にして
すぐに収入に結びつく スイカを作っていた ....
深みと作為 縁取りだけを
筋書通り かごめのなかへ
ひとの死を読み聞かせ歩く
聞き洩れる薄ら寒い行為
あの日蓋をして
縫い綴じた両目
遮断した手足
次は私の何処を潰すの?
ちりんちりんと風鈴が揺れる
見上げる空は雲が多くて
うとうとと眠る肌に
風が静かに滑っていく
夢の入口で
君がさよならと言った気がした
強い陽射しの中で
弾むように雨は降り
君を追 ....
波打ち際に
打ち上げられた
白
い木の
生
の部分が
別の情報
に置き
換えられ
死
はそれを
流木へと
昇華していった
白
い影が
太陽光に焼かれて
炭化してゆく ....
{画像=080802125241.jpg}
水たまりに空が映って
雲が動いていた
雨は上がったようだ
太陽は力を蓄えようとして
朝はこれからのエネルギーを予感している
陽炎がすでに
....
好みの映画と心から感動する映画とは違う。
見たい映画といつ見たくなってもいいように、いつまでもそばに置いておきたい映画とは違う。
けれど、ボクにとってそれらをすべて凌駕するのが「メリー・ポピンズ」 ....
受精で
創造されたもの
壁のない部屋が荒れ狂う大宇宙のはるか彼方を漂っていた
巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨巨 巨巨 あ 巨巨巨
巨大なたたずまいが四億の夜を硬化 ....
力を信じる人
仲間を信じる人
明日を信じる人
僕達は
大きな葉っぱの上に
偶然落ちてきた
震える水玉
金を信じる人
言葉を信じる人
目に見えないものを信じる人
風が ....
坂の上で微笑んでいる雲に
吸いこまれそうになる
たどりつくには早すぎる気もするが
そこが頂上だろうか
登りきると
目の前に下り坂
正面にさらに険しいのぼり坂
その上にある四国の形をし ....
起きると二時
ああ、夜中に目が覚めてしもうた
と、思いきや、昼の二時である
よく寝たな
と、テレビをつけるとサスペンスドラマの再放送
うむ。
面白いではないか
と、それから寝転がってテレ ....
副木が緩んだように感じるのは
早くも筋肉が落ちたからなのか
単に着けそこなっているだけなのか
左肘を傷めてから一週間が経ち
分かっていたつもりでも
それ以上に日常の所作に支障をきたして
....
小さな女の子が通りを歩いている
手荷物を持って 一人で行く
どこへいくの
頼まれたものを持って行くの
一人前なの
偉いね
路上で爆発した八歳の女の子
どこへいったの
幸いによって用意された
名前は
あらかじめ課せられた
役割を帯びて
分厚い殻を割れば
どうどうと押し寄せてくる
風とも波とも知らない力に
離ればなれにされぬよう近付く
術さえ知 ....
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