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意味を群青の空へ溶いていた
遮られて強くなったわけではないが
考えて足を踏み出すようになった
緑色の月が煙越しに見えている
感覚を板ガラスに這わせれば
素肌よりも重い真鍮の夜に
編上靴が雄 ....
憂鬱が鐘を打つ日

しなだれかかる花と枝葉
背中に影のレースを編んで
見も知らぬ世界の歌をうたっている
その影は誰よりも近しい人
私を小さくして大きくした人
振り返らないルールなので
 ....
猫猫しい彼女
罪悪感のほとりで
レースの黒と踊る

隙もない
目を離すことができない
成す術もない
君に回帰する青空
新しい道具を手に入れて
揚揚と胸を張り進む
紫外線もものともしない

砂漠と草原とステップとツンドラ
悲しみの緯度が増し飛行機の窓が割れ
近く遠く自転しつづけては公転す ....
木曜日に撃ちぬくセルフ・ポートレイトは
湿った黒鍵の匂いがする

不実な恋人と傘をさして歩きながら
意味のある表情を見出せないでいる

熱くて甘いドロドロに溶かしたチョコレートで
未来が ....
ヘリコプターのような方ですねと
僕が言ったので
相手は少しへりくだって
それからむすっとして
紅茶を飲んだ

暗い路なりに
銀色の聖餅が落ちているのを見て
これはパンでもないし餅でもな ....
目を伏せたりしないで
じっと見つめて
声をかけたりしないで
ただ耳を済ませて

水底にきっとそれは
クレオソートのように孤独に
濁ったり輝いたり結晶して
誰の目にも触れることがない
 ....
どうして自分は

を突き詰めて疲れて
実りもなく眠りに落ちて

どうして自分ばかりが

ため息の花を咲かせて
この部屋はもう息苦しい

どうして自分だけ

世界の不公平を是正す ....
ああこれはピスタチオの匂い
君が僕の唇に触れた指先
僕はたゆたう 海月のようにたゆたう
窓越しの月もまどろんでゆれる

悲しいことはすべてなかったことにして
手拍子に合わせてわらったりおど ....
めぐり合い別れ悲しみに時を費やし今はもう過去の鎖
水面をたゆたう別れの声に重ね合わせるものが深く沈む
鼓動はいつまでも反転の果てにあり水の苦さに懊悩する
誰一人たどり着かない孤独の底で今一人誰の ....
ミミズはミミズクと音素を共有しながら
このように馴れ合っている場所では
すべてが熱死に向かっていると悟って
突如北北西に進路をとる

そのような映画があったのか小説だったか
詳しいことはわ ....
教壇から頭ごなしに説教をするタイプでもないので
例によって教室を歩き回りながら僕は話す
半年、あるいは一年ほどの付き合いで学生について
何ほどのことが分かるかと問われれば返す言葉もない

も ....
気絶しそうな海が春の鼻先で
壊れたり生まれたり寝返りを打ったりしていた
レイン・ツリーと何度も口にしながら
飛行機雲を保存する方法を考えた

音が消えると振動がなくなるので
悲しみは無意味 ....
くちびるから風を運んで
気がつくとそこにハルがいる
粒子の波が雲の切れ間から
美しいオルゴールのように

血を流したりはしないけれど
人はみなそれぞれの戦場を抱え
ふと息をついたときにど ....
夜の淵からわたしがこぼれ
わたしの淵から夜がこぼれる
固いビスケットを菩提樹の
お茶に浸して深深と雪

積もる声もことばもあるし
誰からも等しく遠ざかれば
せわしなく人の世に生きていたこ ....
 これはあれに似ているな。バスに揺られながら、そう思う。
 小学校や中学校の頃、校内放送で職員室へ呼び出される感じ。名前を二度呼ばれて、「至急職員室へ来なさい」というあれに似ている。校内放送のスピー ....
さよならの野生
ナイフのエッジできりきりと裂いていく
さよならの野生
悲しみを等価性のある液体に移して
さよならの野生
夜の星の硬いまたたきをかぞえて
さよならの野生
今カイエ・ソヴァー ....
音楽はやまない
いつまでもその唇から
風に
風に乗って
その唇に

やわらかい草のゆれる
広い野を越えて
人々の雑踏を超えて
あなたの街を超えて
音楽は続く

とどまる場所があ ....
気がつけば冬のさなか
襟をあわせ
交差点で君を待つ
知らぬ間に季節は
僕の髪が肩に届くほど
遠く過ぎた

誰にこころ奪われていたの?
いつもそばにいたはずでしょう?
誰の幻に焦がれて ....
手のひらにあなたを
降りしきる雪を
言葉を 悲しみを
受け止められるなら

時間が過ぎて
見失うものも
惜しくないとさえ
思えるんだ

行方は誰にも分からぬ夜の旅路で
本当に愛し ....
視神経が悲鳴を上げる
肺が酸性に降参する
皮膚の断面がずれてくる
もうピントが合わない背骨

ここからが始まりだとは
勝ち目のない戦争のような
この場所から始めるとは
どのような自殺行 ....
夜は沈黙の代価で震える
いとしい
くるしい
あさましい
そういう感情の化合物で
誰が誰を傷つけるか予想できないから
おいそれと名前を用いることは出来ない

手前にはロック以来の経験論が ....
最後から二番目
不完全の未完了
未完了の不完全
終わらないことの始まり

終わることの予感
消えるものの先走る予兆
前もって失われた最後
失われたことの已然形

楽しい思い出のコー ....

くるしい
口づけ
悔い
苦しみ
食い合う唇
エッシャーのように
連続し接続し食い合う
食いちぎる
唇を吸う
吸い合う
吸い寄せあい
吸われ
ここに座れ
そして耳を
耳 ....
僕の
君の中の誰か
誰かについて
誰かしら
思い返している誰

誰かしら
思い返しては
維持することの出来ない
記憶を記録して
記録を
記憶する

冷たい水銀灯の光
冷た ....
かつて少女であったものの断片
ある切れ端
突端から眺める切れ端
破片
かつて少女であったそれ
その部分
少女の一部分
白い影を波間に
少女らしいたおやかな
少女らしい生臭い
少女ら ....
壁の土がぼろぼろとくずれてきた
かつて誰かもこの壁をにらみ
抜け出そうと足掻いていたはずだ
僕は透明なチューブの中に住んでいる新種だ

外の世界は吹雪 街路には名前の失われた
作家の墓碑銘 ....
いうなれば愛は無限の
ススキのなびく秋の平原で
近く遠くチラつくフィルムのフリッカーを
懐かしく水面に浮かべて掬う

木漏れ日はマンションの壁を暖める
窓枠は世界という景色を作品に仕立て上 ....
 あなたとわたし、わたしとあなた。
 学校帰りにこうしてケーキを食べて、熱い紅茶を飲む。
 秋に始まった授業で、あなたと知り合った。あなたが声をかけてきて、それからあなたは二時間喋りどおして、最後 ....

 わたしはひそかにその人をガーベラさんと名づけている。
 月曜日の昼、大体同じ時間にやってきて、大体同じ内容の花束を頼んでいく。ガーベラと赤みの差す花を葉蘭で包む花束を。
 だからガーベラ ....
吉岡ペペロさんの瀬崎 虎彦さんおすすめリスト(88)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
強情- 瀬崎 虎 ...自由詩111-7-4
不吉な水溜り- 瀬崎 虎 ...自由詩511-1-10
シロとクロ- 瀬崎 虎 ...自由詩310-10-26
オルフェウスのように- 瀬崎 虎 ...自由詩110-7-19
致死率100パーセント- 瀬崎 虎 ...自由詩210-5-23
レモンでもミルクでも- 瀬崎 虎 ...自由詩410-3-21
穏やかな休日を待っている- 瀬崎 虎 ...自由詩4*10-3-19
どうしても_君でなければ- 瀬崎 虎 ...自由詩410-3-18
窓越しに見えた月も- 瀬崎 虎 ...自由詩510-3-17
荒野はそこに今そこに- 瀬崎 虎 ...自由詩310-2-20
ミミズ- 瀬崎 虎 ...自由詩710-2-3
それでは試験を配ります- 瀬崎 虎 ...自由詩5*10-1-29
飛行機雲を保存する方法- 瀬崎 虎 ...自由詩510-1-26
今そこにないものを確実に意識しながら- 瀬崎 虎 ...自由詩510-1-24
今よりずっと澄んだものに- 瀬崎 虎 ...自由詩710-1-16
呼び出し- 瀬崎 虎 ...散文(批評 ...2*10-1-9
逃避せず- 瀬崎 虎 ...自由詩510-1-8
あなたに届けよう- 瀬崎 虎 ...自由詩6*10-1-3
忘れられない- 瀬崎 虎 ...自由詩410-1-2
十二月が過ぎて- 瀬崎 虎 ...自由詩310-1-2
The_Beginning- 瀬崎 虎 ...自由詩6*09-12-31
夜は沈黙の代価で震える- 瀬崎 虎 ...自由詩809-12-30
The_penultimate- 瀬崎 虎 ...自由詩4*09-12-29
ハロー/アイラヴユー_大全- 瀬崎 虎 ...自由詩2*09-12-27
みなしごたちの夜- 瀬崎 虎 ...自由詩2*09-12-27
冬の海で- 瀬崎 虎 ...自由詩309-12-26
そこからどうするか- 瀬崎 虎 ...自由詩109-12-26
ただこの声だけを奪ってほしい- 瀬崎 虎 ...自由詩209-12-24
アルルカン洋菓子店- 瀬崎 虎 ...散文(批評 ...3*09-12-23
ガーベラさん- 瀬崎 虎 ...散文(批評 ...709-12-18

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