空になった孔の底から、
風が吹き抜ける声が聴こえる。
喉の奥が苦しくて、手を伸ばす。

(届かない、でも感じる)  ....
名付けなさい
君を縛る暗闇を
君を閉じ込める闇の正体を見極め
君自身が
名付けるのです

例えば
「コウモリ」
と名付けたら
君の闇からコウモリが
切りとられた影絵のように
現れ ....
【酒場にて】
俺のような誇り高い男はな…
そのとき彼は一段と高らかに笑った
そして転げ落ちていった
何処までも転げ落ちていったのだ

私は月明かりの映える窓際で
杯から転げる音を聞いてい ....
夫と言い合いになった日の深夜
冷蔵庫の前に這いつくばって
冷たい床に雑巾で輪を描いた
何度も何度も同じ輪郭を辿って
ただ一心不乱にひとつの輪を描いた

怖い顔で子供を見送ってしまった朝は
 ....
いない人だからちょうどいい  
うさぎさんが おもちをつく夜

マンションのベランダで

団子を ぱくり ぱくり



 
腹下し
出るのは音と
水ばかり
それでも減らない
体重頑固に
      秋刀魚のような
      ひとでした
      辛味のきいた
      大根おろしが
      ほどよく似合う
      それはおいしい
      ひとでした
 ....
六月の雨が
育ち盛りのスイカをいたずらに誘う
でも、今年の梅雨は少々しつこくて
早くも冷夏の予感がした
ナスビもトウモロコシも痩せたまま太らない

繁茂するのはスイカのツルと葉っぱばかり
 ....
一般邦人は
メキシコ麻薬戦争とは
一見して関係がないはずだが
実際は関連が
あるのだ

幻覚を見たり
聴いたりする病のことを
ご存じだろうか
昔からある病気で
その病気の名前は
 ....
(だれか、この腕を解放してくれないだろうか)

そんな声が、帰りの車中で本を読んでいると、心の背中から聴こえてきた。
 確かに私たちは「繋がれて」いると ....
何か
   
大切な物が 欠けて
情緒が欠落している

月に
力を
借りただけ

魔力が落ちないように
ヒトを
食っただけ



だから どうした
眠れない夜だったから
架空の国へ出かけた

王位継承
森の魔物
結界の霧雨

本を閉じると
外も
いつのまにか雨

この雨が結界なら
私も連れ去ってくれ

見わたす現実の
 ....
 忘れられない、大切な人との出逢いや別れはなにか、と問われると、いつも思い出す人がいる。S姉さん。私より4つ年上のアルバイターだった。S姉さんは、アパレル関係の仕事をしていたせいか服のセンスもよく、ス .... あんた証明したい
なんにも 
嬉しいね卵持ってかえりなよ
釘打ってごらん釘
ぎったんばっこん傾いて
地球も発泡してら
ああ君ら目から艶墨ちろちろ流すが
猫がしどろもどろだね
あんた主張 ....
箪笥の奥深く秘められていたいくつかの小箱
おそらく母の物であろう歯の欠けた櫛に
出合ってわたしの心が波立つ

そして 夭折した兄たちの名に混じって
ボクの名が乾ききった小箱

それは ....
 
喧騒の夜

組み込まれているから、見えない

都会にもいるんだよ、言霊



 
あとだしのあいしてる




あとだしのあいしてる




あとだしのあいしてる




こんなんで勝っても




うれしくない。


 ....
         150829

乗務機は今は無き香港啓徳空港に近づいた
これからがおいらパイロットの腕の見せ所
いつもわくわくはらはらする一瞬だ
真下には白いビル群が白い墓石が群れ成して
 ....
掃除も料理も嫌いだけど
洗濯だけは好きで
洗濯物がよく乾くから
夏が好きだ

洗いたての洗濯物を
ひとつひとつ太陽の下に干すとき
いい匂いがして
気持ちよくて
カゴの中身が宝物みたい ....
           150827

孤独な青年ばかりが集まり
モダンな小学校を建てる
全員個室で授業を受ける
体育だけはプロテクターを着け
乱闘へのスキルを磨く
午後は、エアガンの実射 ....
夕方、
車中で左隣に座った老人に、
肩で殴られた。
私のなかで何かがメラッと揺れて、
痛い!
と両手一杯に 石をぶつけだが ....
お母さん、私ね、学校にin loveなboyが八匹もいるんだよ

金魚に餌をあげていたら 
次女が後ろで不意に大きな声を出すものだから
目の前の水槽に
突然金魚が九匹飛び込んできて、
その ....
胸のファスナーを下して
白い綿毛に包まれた
幼い夢の息の根を止めて
そうして入り日の燃え落ちる
血だまりへ
交わることで違え 
意味を失する言葉のように
縺れたまま ひとつの肉塊となり
 ....
           今年も八月が終わります。
           もう、命日の回向すらありません。
           でも…

    * * *
 
  色褪せたフェルトで覆われ ....
 
まとわりつく夏の汗

行水で流せば

あとはキンキンに冷やした至福の一杯




 
久々にいい酒くらって
現代詩フォーラムというサイトへ
投稿していたときのことを
話してしまったらしく

「おじいちゃんらしいとこもあったけど、
なんだか新鮮だったよ」
なんて
感想 ....
        150822

あの山越えて、野を越えて
芳子先生が好い気分で歌いだす
平均律の授業の時の楽しみだ
先生はオペラ歌手を目指してた
美声だったので
声域が広かったので
少 ....
君からもらった言葉が
小さな箱と
淡い青の紙に
包まれて
ひきだしの中に
しまわれる

悲しい時
泣きたくなる時に
ひきだしから
一つ取り出して
大事に大事に
抱きしめてい ....
時を放って
昇っていく夕日について思考する
青くときに淡い時代の切れはしのよう
葉が呼吸をする間に語り合う
そっと息を止めたりして
手紙に書くように丁寧に話をして
愛はとくべつ
 ....
吉岡ペペロさんのおすすめリスト(10515)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
青空- あおい満 ...自由詩815-10-7
名付けなさい- Lucy自由詩24*15-10-7
還暦小詩集- 宣井龍人自由詩20*15-10-3
磨くという行為- 夏美かを ...自由詩48*15-10-1
そうがいいと言われて- 鵜飼千代 ...自由詩11*15-9-30
お月見- 殿上 童自由詩13*15-9-27
切り崩されない貯金- 北村 守 ...短歌115-9-27
あのひと- 石田とわ自由詩1015-9-7
朝の日記_2015夏- たま自由詩21*15-9-5
メキシコ麻薬戦争と幻覚の病- りゅうの ...自由詩4*15-9-4
束縛の必要性- あおい満 ...散文(批評 ...415-9-3
BUSTER- ガト自由詩5*15-9-3
冥府の門- ガト自由詩11*15-9-3
S姉さん- あおい満 ...散文(批評 ...5*15-9-2
萌えて悶えて- ただのみ ...自由詩7*15-9-2
臍帯- イナエ自由詩22*15-9-2
言霊- 殿上 童自由詩13*15-9-1
しょなし- もり自由詩2*15-8-30
真鍮の都- あおば自由詩8*15-8-29
命の洗濯- ガト自由詩10*15-8-28
少年の話- あおば自由詩8*15-8-27
片胸- あおい満 ...自由詩7*15-8-27
ボーイが八匹- 夏美かを ...自由詩35*15-8-27
闇の恋人たち- ただのみ ...自由詩16*15-8-26
叔父さんに- イナエ自由詩10*15-8-24
一杯- 殿上 童自由詩15*15-8-24
とある理想- もり自由詩6*15-8-23
ルクレティウスの夜- あおば自由詩6*15-8-22
ひきだし- 瑞海自由詩7*15-8-22
はじまり- かんな自由詩10*15-8-22

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