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  蒲鉾型の
  窓枠のむこうが 硬い冬だ
  そして瞳の内壁にそって
  置かれた ひそやかな暖炉に
  母らしき女が辛抱強く火をくべている
{引用=  かなしみの
  直方体は
  藍色の布に 屹立したまま

  *

  僅かばかり
  目を凝らすと
  覚醒した レールの冷たさ

  *

  明らかに 二つ以 ....
  海綿じょうに
  たわんだ 個室たちが
  アメジストの夜におぼれた

  櫂は
  まっぷたつに折れて
  歌うだけになった……舟
  ことばではないわたしたちと
  わ ....
  らりるれろが 沢山
  雨路に かさなっている
  新宿三丁目

  煙柄のビイル
  先程まで、思い出は
  紺碧の歌だったけれど

  らりるれろ
  わたしは いま ....
  黒いきみの髪がひかって
  何も云えなくなるのは良い
  全部云ってしまっても良い
  くちびるがはずむ桃いろの夢

  剥いたばかりの林檎のように
  とても素敵な匂いのする ....
  半刻ほど前から
  組んでいた指をほどいて
  あなたが落とす銀箔に似た笑み
  ガソリンじみた水溜まりにひとつ、
  爛れたショパンがしゅんと跳ねた
  土嚢でも背負っているのだろうか
  きょうの町は、肩の辺りが硬く強張っている
  木陰のところで音楽は重なりあって死んでいる
  物欲しげな野犬は吸い殻に鼻を近づけやがて立ち去った
 ....
  日がないちにち、きみは
  ふたの閉じたオルガンにむかっていた
  やりばのないかなしみはもう、
  とうの昔に過ぎさったはずなのに
  雨をうけた一頭のサフォークが
  抱いて ....
  春、ひとすじの川が
  豊かな緑に彩どられるころ
  薄い衣をまとっていくといい
  きみは女なのだから



  岸のむこう側では
  きれいなかたちをした石が
  見 ....
  あなたに梨の実を贈りたい
  寒く厳しい冬の夜に
  愛するあなたが
  梨の実の夢を見られるように



  くちづけは消えてしまうから
  抱きしめあった温もりも
  ....
  こんな寒い冬の日には
  錆びかけた薬缶に水をいれて
  ストーブのうえに置いておこう



  けさ、空気はするどく冷たく尖っていた
  鳥の声はぴんと張られた針金のようだ ....
  煮豆を口に運んでいるあなたは
  だれかの真似をしているふうなのだけれど
  わからないし どうでもいい
  椀に添えられた手は
  貧乏臭くひび割れているし
  化粧気のない頬 ....
  かなしみに塩をふる
  ほんのひとつまみ



  朝の光を浴びるとき
  雨に濡れたいくつもの言葉が
  「うれしい」という言葉に変わる
  あなたのえくぼが深くなるとき ....
  居酒屋にはいると男は
  コートを椅子の背にかけ
  焼酎と焼いた秋刀魚を頼む
  それからラークに火をつけて
  深く吸い、
  重く吐き出す
  カウンターに載せられたテレ ....
  ねえ
  これが、
  産まれたての時間。
  そう言いながら少女が
  綿飴をひとつ、ぼくにくれた



  まぶしい屋台の{ルビ犇=ひし}めき合う
  貧しげな七月の ....
  正午ぐらいに
  この公園の上空に
  赤い飛行機がやってきて
  幾つかの小石を落としてゆくのを
  その妊婦はじっと待っている
  背板にコカコーラのロゴが
  描かれたベ ....
  6つ全ての面に
  60と書いてある
  拳大の立方体
  それにそっと手を触れると
  彼は吸い込まれてゆく
  ゆっくり
  60分かけて



  彼がすっかり吸 ....
  けさ、風は
  すこしだけ冷たい
  すこしだけ
  生きているのが痛い



  けさ、僕は
  すこしだけ嬉しい
  すこしだけ
  きみのことを思い出せたから
 ....
  ああ
  うん、
  ちょっと待ってくれ
  考えているんだ



  ええ
  もちろん、
  聞いているけれど
  考えているんだ
  感想を
  箇条書きにし ....
  そんなに簡単に
  悲しむなんて
  駄目だよ
  ぼくが許さない



  レモネードがはじける
  モリッシーが嗤う
  あまりに
  ぶきような
  きょうの日 ....
{引用=  ある日
  ひとつの
  比喩が語られ
  取り戻せない距離を
  旅立ち
  細長く
  何処までも
  鏡として連なり
  映し
  流れ
  響き
   ....
  僕たちは、
  同情で。



  僕たちは、
  どこまでも
  青く、
  青く、
  終わっているだけな。
  ダンボール詰めの、
  ぎゅうぎゅうの果実みたい ....
  西向きの窓から
  斜光が射す



  食器が並べられ
  煙草に火が点けられ
  いくつかの詩が書かれ



  最後に僕が
  玄関から入ってくる


 ....
  初めて
  父にぶたれた日
  近くの河原へ行った



  ひとり座って
  痺れる頬をさすりながら
  川のなかの魚を見つめていた
  一匹、二匹と
  その生きも ....
  歌ってはいけないことは
  ひとつもなかった
  嬉しければ笑えばいい
  悲しければ机に突っ伏し



  歌ってはいけないことは
  どこにもなかった
  愛しければ ....
  果実
  という言葉を胸に抱いて眠った



  眠りのなかでわたしは一匹の鮭だった
  寡黙に
  川を遡上する
  ほんの小さなものだった



  朝がきて目 ....
  身構えないで
  かなしみは空のように
  僕たちとともにある
  あるときは透明に
  あるときは責めるように



  手放さないで
  よろこびは風船のように
  ....
  世界があまりに苦すぎるので
  曇り日の朝
  空を飛んでいた
  歌を
  菜箸で奪った
  噛みしめたそれは
  {ルビ土塊=つちくれ}の味がした
  接近しあうことだけ
  常日頃おもうだけ
  おなじこと
  おなじとき感じるため
  切磋琢磨するだけ
  愛は邪魔、去れ
  重いだけ



  恋をして
  ぼくたちは ....
  日曜日、
  くさかんむりの広がる野原で
  ピクニックをする
  あなたは適当なところに
  持ってきたもんがまえを敷いて
  ここに座りましょうという
  おべんとうよ、と
 ....
るるりらさんの草野春心さんおすすめリスト(33)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
烏瓜_1- 草野春心自由詩418-12-23
My_sorrow- 草野春心自由詩317-10-29
個室たち- 草野春心自由詩217-10-8
らりるれろ- 草野春心自由詩117-9-18
林檎- 草野春心自由詩517-1-8
爛れたショパン- 草野春心自由詩914-10-29
移住- 草野春心自由詩814-8-24
サフォークのオルガン- 草野春心自由詩5*14-3-6
薄い衣- 草野春心自由詩8*14-2-5
梨の実の夢- 草野春心自由詩413-11-11
いとしさ- 草野春心自由詩913-11-2
煮豆を口に運んでいるあなたは- 草野春心自由詩613-10-27
- 草野春心自由詩613-4-10
秋刀魚- 草野春心自由詩7*13-2-19
綿飴- 草野春心自由詩19*12-5-20
妊婦と赤い飛行機- 草野春心自由詩8*12-2-9
キューブ60- 草野春心自由詩611-11-4
強く思うだけで- 草野春心自由詩4*11-10-4
相槌- 草野春心自由詩211-9-13
レモネード- 草野春心自由詩10*11-8-25
水へのコラージュ- 草野春心自由詩6*11-8-21
同情で- 草野春心自由詩611-8-17
斜光- 草野春心自由詩11*11-8-12
数える- 草野春心自由詩3*11-8-1
歌ってはいけないことは- 草野春心自由詩7*11-7-29
小さなもの- 草野春心自由詩5*11-7-21
空と風船- 草野春心自由詩2*11-7-5
曇り日の朝- 草野春心自由詩4*11-6-19
太陽系男女- 草野春心自由詩4*11-6-13
くさかんむりの広がる野原で- 草野春心自由詩26+*11-6-5

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