首を傾けたまま
縫い針を
炎で焼いて
縫いました
ひと針
ふた針
み針目で
あなたは目を覚まし
俺の目を縫いとめるのは誰だ
と申します
私は器用に玉結びをした後 ....
君が好きだった言葉を
僕は何度も紙に書いた。
わからないから
何度も何度も書いたんだ。
そのうち
君の名前を忘れてしまうんじゃないかって
怖くなったんだ。
だから君の名前も
....
ゆらゆらと揺れる
木々の間で
風に吹かれて
瞬きを思い出す
一つ、ぱちんと
音をたてて
瞬きをしてみると
風がそっと
頬にキスをした
吸い込まれそうな
深い、青の ....
五月は過ぎた
麗らかで活発だった季節は
あれほど気ままだったお前も
今ではわたしの膝の上で大人しく眠る
お前のやわらかな耳たぶに降る雨に
こうして一緒に濡れそぼりながら
お前は聞い ....
妻清張われは花袋6月の空ベランダにバロック流る
午後になり雨しとしとと降りつづき朝顔の蔓つたふ土塀に
書物など喫茶に持ちて読みおれば髭の老爺(ろうや)が前に座りて
もみじ葉に ....
ありがとう
ありがとう
自然にありがとう
生命にありがとう
命の潮騒
波の音
鼓動
月
他人を犠牲にして
生存権を奪い取り
当然の権利として
競争に勝ってゆく
人生は刹那の繋ぎ合わせ
時間はただ
平等に人々に与えられ
平等に消えてゆく
刹那の時間に変わる世界を
瞬きすらも惜しみながら
隣り合わせた花の開花を
運命と名付けて
見逃さないでい ....
生きる辛さを痛感した事はあるかい?
もし、あるのならば、
あなたはいい人生を送っているのだろう。
部屋にかかったカレンダーは
どれもあの夏でとまったまま
色あせて端が少しめくれて
蛍光ペンで記された丸印が
日に焼けてかすかに残りそれも
何の記しなのかはもう不明で
思 ....
乾いた酸素は欠乏し
曖昧な沃素が宙を舞う
蒼白な額に塩分を散らして
着古したシャツは
肉体と密着して色褪せてく
そういえば
蜃気楼をみたことがあるか
アスファルトに靄がかかり
....
世界中を見渡せるような高い木がある
生き物達はそれを世界樹と呼ぶ
世界樹の周りには世界樹を神として信仰する生き物達が集まって放射状に大都市が造られており 一大国家が築かれている
空には飛 ....
その日は限りなく純白で
限りなく静寂だった
まるで雪が色と音を吸いとってしまったかのように
真っ白な空から降ってくる真っ白な雪は
やっぱり真っ白な白砂糖のようで
白い湯気をたてる ....
先日、祖母の誕生日でした。
80歳になりました。
「傘寿」というらしいです。
「傘」の略字が縦書きの「八十」に見えることから、そう呼ぶのだとか。
来年は「盤寿」だそうで、その後も「卒寿」「白寿 ....
仕事明け
通勤電車では 文庫本を読む
今回読んでいる小説は面白く 話に引き込まれる
降り過ごさないように気をつけなければ
ガタン ゴトン
そろそろ 降りる駅だ ....
もしも オレが困ったときは 遠慮なく 頼りに行く
だから つねに 心とサイフに よゆうを持っておけ
信じる 未来のために 立ち向かうのがオトコ
落ち込んで 逃 ....
先生をビーカーに入れて
塩酸で溶かすと
同じだけの虚しさが
胸の中に生まれた
誰かが
質量保存の法則だ、と叫び
それはたぶん正しいことだった
その日
トスカーナ州の子供たちは
ピサの ....
六月の薄い胸に
雲の痣が白く浮かび上がる
体育座りの女の子の膝のような
山々は
深緑にけぶる
出発するはずの電車は
死んでしまったかのように動かない
信号機はうなだれ
....
満たされぬ言葉想いて立ちつくす
足元に身をすり寄せる猫
故里のなまりやさしく語る友
友も故里をとく出でしなり
何着ても似合はずなりし我が年を
哀れがりつつせめて紅さす
故里の老 ....
あさがさまよっている
ため池の笹舟のように
ひるがまどろんでいる
ため池の葦のように
よるがよどんでいる
ため池のヘドロのように
ときをえらばずやってくる
ド ....
温かい人 冷たい人
どうやって決めましょう?
どこかの名前だけしか知らない国の不幸
嘆く事はできないの
だって私は飽食の国の住人だもの
誰かが言うわ
「あなたって冷たい ....
渓流の音を引きながら
潅木の尾根へ向かう
苔むした倒木
ぬめり しめり
厳しく鳴く 色とりどりの小鳥
影 押し寄せる
山の霊気
汗 額を伝い
心拍はあがる
狂気のよう ....
恋の道 照らすかのよう 月明かり ためいきさえも いと柔らかに
道すがら 出会った二人 ときめいて この一瞬が 永遠にと願ふ
優しかれ 涙はすべてを 許します 闇に小さく きらりと ....
そこには
みんなのようにはなせないわたしの言葉があって
けれど
それは化石になっていてもう、いまは、ただの塊
根源的に
生命を疑うものに用意されていた、いつの日かの理由をさけぶ時はとうの ....
(日本は夜でも宇宙から見るとはっきりその形がわかる)
なんて思いながら
トイレに行く
その廊下で
隣から
義理の叔父と叔母の
喧嘩の音がする
わたしは舅のことを想う
嫁いで二年目
....
しとしとと 雨のリズムは 跳ねるよに 色とりどりに 開く傘花
窓辺にて 紫陽花の夢 つらつらと 君が眠った 横顔を見る
愛してる も一度言って その言葉 濡れた路上に 虹が映った
....
世界に組み込まれたい
世界を見下ろしていたい
自分も含めて他人事ならば
痛みも無い
過去にさらわれて
未来がないなら
いつまでも
布団とソファーの行き来で ....
余りにも多くの人に
あってしまい。
自分の中で
夢の中で消化できない
気持ちを理解するのに
時間がかかる
思いが塊となって
押し寄せてくる
胃が痛い
夜食を取る
太る
散 ....
(ミルクティを飲まなきゃいけないの
(ミルクティ、ある?
(歯を磨いたんだから、もう寝なさい
最近、きみは早く寝てしまうから
赤いランドセルの留金をひらいて
見てしまったんだ
....
夜空から眠りながら流れ込んできた闇が目を覚まして何処かへ消え去ろうとする頃 夜明けがやって来る
生き物達は眠りから目を覚まし体を伸ばして1日の到来を冷たくなった皮膚や外殻に感じる
僕は今夜も ....
2007/06/07
困るんです
困るのです
困ります
困る
○
こら!
逃げるな!
逃げてはいかん
逃げては困ります
にげてはいけま ....
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