浴室に腰掛けて身体を洗っていると
虫の声が
地面を敷き詰めるように湧きあがって
ワッショイワッショイ
ジーンリージーンリー
私を神輿にかついでいるつもりらしいのだ
それならこちらも ....
怖いほどの輝きを纏った
一日遅れの待ち人が来る
懐かしさに言葉をなくす…
私はすでに空っぽで
あなたの全てを受け入れられる
一年の穢れ
妬み
悪意の数々が
その光に浄化 ....
街の猛犬が
路地猫を追ひかける
猫の尻尾に
口が届くばかりに接近した
その時
目の前を
轟然と特急電車がやつてきた
あはや犬は立止り
猫はそのまま行つた
犬の前を
唸 ....
ひとりきりで終りはないと真空で泡立つの
そんな風に青く生らないで
わたくしのけじめ
まるい樹木で虚実は木霊している
朝日のもとを{ルビ死霊=しれい}が
破邪をささやき帰還してゆく
....
果てしなく続く道
果てることなき夢の断片
遠ざかる夏の声
訪れるのは冬の足音
泣き叫ぼうが
大笑いしようが
詩を書こうが
書くまいが
明日は無神経に玄関のド ....
本当の暗闇と出会う
それって
なかなか難しい
ひとつひとつの灯火を消しても
寝付けぬ夜に何処より話し声が漏れて
この街の闇は仄かに明るい
本当の暗闇
それは遠い日の感触
胎内にいたとき ....
■ 置き忘れた5つの願い
01.過ぎた日の幸い
あの頃、あたりまえだった会話
なんてことない仕種、見せた表情
日向ぼっこしてるみたいな、
....
破れ、はためく帆と罪の波間にとぶ 潮しぶき
低い空の大理石にも似た模様が 狂い、ちぎれ
セイレーンの叫びに群がるのは、
姿なき乳濁色の「ざわめき。
水の泡立ちに「美しく覗く 翠の岩礁
神 ....
空に想いは寄せる
いつの日もいつの日もみつめた
あの青さだけが私の願いなのだ
{ルビ天鵞絨=ビロード}のような雲の浮かぶ
平和で満ちあふれたあの空へ私の心は向かうけれど
我が蒼穹よ 私は ....
難しいことは考えない
人は考えたくないから本を読む
僕は本を読まない
思春期に読んだ本は数知れないが
相手を攻撃するだけ
自分を守るためだけに本を読んでた
言葉だけは覚え ....
親父・母ちゃん婆ちゃんは
姉・婿・孫娘のいる富山に行き
一週間は帰らないので
家はがらんと広くなった
仕事を終えた帰り道
夜空を見上げ
雲から顔を出す十五夜お月さんと話し
....
未完成な僕らは
窓の向こうの世界に
迷い込んだ
紅茶を一口
飲んだ君が 微笑む
「ねぇ」
僕は彼女の
唇が好きだった
優しい音楽を奏でるような
儚い甘 ....
光が流されて行く
風にあおられて
時間が溶けて行く
あなたの瞳の中に
風が太鼓をたたく
よく晴れた青い空
こんな日は何か
素敵なことが起こりそうだわ
坂道を駆け上り
海が見え ....
あのう
ちょっと聞くんですけども
拾ったお金がいくらだったら
あなたは
警察に届けますか
10円
まさか
小学生でもしませんて
100円
それじゃ
ジュースも買えない
....
?.
朝風呂が好きだった
その朝もおまえは
俺たちの小さな家の小さな風呂に
窮屈そうに仰向けになって
顔を沈めて
水の中で
目は見開いて
くちびるが
SEE YOU って
....
一
観葉樹が、かぜに揺れて、嬉しそうに笑いかける。
笑いは葉脈のなかに溶けて、
世界は無言劇に浸る。
映像のように流れる無言の織物。
かぜが、喜劇に飽きるまで、永遠を飽きる ....
落ち葉の中に
紛れ込んだスズメは
保護色の枯葉を
ホームグラウンドとして
はしやぎ回つてゐる
いくら喚いても
掻き鳴らされる
落ち葉の
大仰な音には
自分の声すら聞 ....
僕は犬です、わんわん
しがない犬です
一度主人を失いました
僕はもう仔犬ではなかったから
僕は犬です、わんわん
しがない犬です
先日野良の一員になり
金属に怯えるようになりました
....
未だ、全く汚れなき綺麗な魂
一点の曇りもない空のように広い心
それが、純粋な魂
知らなくて良かったものを知っていく子供
知っていても嘘をつく大人
可能性があれば信じ続ける子供
可能性があっ ....
雨上がりの交差点で
僕は何を 捜し求めたのだろう?
今夜 僕は 君のいない部屋で
寂しさだけを抱きしめ 眠りにつく
なぜ僕は あの時
あんなコト ....
コンクリートの塀に
一匹の蝶が来て留る
この目の覚める艶やかさは
一体どこから来たのだ
これがこの世の反映だなんて
私は信じない
むしろこれは世にないものだ
....
ぼぼ
ぼぼってなんだか
可愛らしい
でも
ちょっと恥ずかしいことば
りんご
秋は実りの季節だね
りんご
とか
いい感じ
りんご
って禁断の果実
アダ ....
武装しろ
タオルは忘れるな
攻撃がきたらすぐに飛べる靴で
喉が渇いたら水分補給
心が乾いたら叫べばいい
虚ろな目で空を睨んで
泣けない日々を送っていた
自分が敵なんだ
汗の ....
容れ物のように穴のあいた胸に
こっくりと深い紅の薔薇を生けた
晒されて焼けついた
空の心を
かざりたてた
胸にあいた穴が底をうがつ時が
いづれくることを予想 ....
君が
君が夕暮れならいいのに
ゆるやかに
侵食される
雲の隙間ならいいのに
そうして
一瞬朱に変わり
再び閉ざされる
僕は夜
君は夕暮れ
夜は待つ
夕暮れがゆく
....
棍棒を
作った
オークの
頭四キロの
素振りを
ずっとしてた
だってお前が
怖がるから
引っ越した家は
夜少し静か過ぎて
お前が怖がるから
まあ実は俺 ....
街を歩いていると
仔猫が身をすり寄せてきて
〈子供にして下さい〉
と言った。
海岸を歩いていると
オットセイの子供が
海から這い出してきて
〈子供にして下さい〉
と言った。
....
{画像=061008035546.jpg}
ふとした隙に これが現実だと崩れ去るのは
トランプの尖塔と 君のいた日
今 君に届かぬ声を出すのは
次々狂う 出会った人間
僕はまた この世界へ目 ....
お天気がよいから
ぼんやりと
窓の外を眺めていたら
あれが伊豆の大島だと
若い人が
得意そうに教えてくれた。
太ったサツマイモを
横に置いた
そんなのっぺりした形が
遠く ....
とめどなく流れる涙
痛む手首
私は混乱していた
何も分からない
いや何処かに冷静な私がいた
こんなことしてなんになるの?
そう想っている自分が
....
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