絶え間無く巡るめくサークルの中で
僕達は出会ったり別れたりを繰り返しながら
約束の地までの道程を喜怒哀楽を共にして
地平線の向こうまで歩いていく
小鳥がさえずり
朝焼け空 隣 ....
きみがおもうほど
世間は広くないみたいだ
きみがおもうほど
世間は冷たくもないみたいだ
きみがおもうほど
都会の星空はくもっていないよ
きみがおもうほど
通勤ラッシュは残酷でもないさ
....
ことばならなんとでも言える
「よく晴れているから…」
そのことばに
あなたは安心したような気配を残し
携帯電話をそっと切る
(雨降りなのさ、ほんとはね
幸せだったひと時は何も言わずに遠のい ....
日が暮れて街が朱色に染まっていく
ビルの隙間から雲を通して紫の空
看板やネオンに明かりが
ぽつりぽつりと灯されていく
公園で遊んでいた子たちも家路へと急ぐ
車の ....
(ヴァンサン)
窓の外に君の姿が見える
やわらかい草を裸の足裏で踏みしめて
君はこれから川へ泳ぎに行くという
もう透き通った水は冷たいというのに
君は白い歯を見せて
{ルビ銀葉=ぎ ....
私のノートには白い文字で
フラットに似た記号ばかり並んでる
決して声に出してはいけない約束が
一番目に載ってたはずなのに
白すぎるせいで見えない
知らないで言葉にしてしまうと
「ん ....
シーズンオフの海
半ば砂に埋まつたビーチパラソル
ピンクのドームの下に
蟹が一匹ハサミをもたげる
どこから切り裂いて
片付けたものか
パラソルを見上げて
蟹はむづかしい貌
....
森の出入りは
神秘のベールに包まれてゐて
だれがその中に入つたかなど
識別できるものではない
少女が森に吸はれてゆく
光と闇の二極が
あまりにも霊妙に
相和してゐる扉を押 ....
今日も名前を落しました、と
誰かがその部屋へ駆け込んでくる
それではあなたを何と呼べばいいのか
振り向くと君の支えは薄いものでしかない
ついに君も名前を落して
誰か、の一人になってし ....
輝くものはいつも
はるか遠くに置かれる
届かないとわかっていても
暗闇の中で
求めてしまう
温もりのない光とわかっていても
そこで燃えているものを知っている
そして永遠を誓ったりする ....
私は人魚姫の話を聞いてから
一睡も出来ず
ふらふらしてしまいました
反対に夢月はとても元気でした
「おはよう!
・・・って大丈夫か紅香?」
でもやっぱり心配してくれます
私はにっと ....
溢れるほど、満ち足りた言葉に、埋め尽くされて、
わたしは、天空を飛翔する鳥のように、
爽やかなひかりの音階の裾野に舞い降りる。
花々は寄り添い、一面を、湿潤な色香の帯を輝かせて、
痩せ ....
人間の80%は水分でできている
私は水の中に20%存在している
20%の私はいつも水の中
ぷかりぷかりと漂っている
波に揺られ心地よく
海月の様に浮かんでる
....
都会の夜に出る月は
ひんやり冷たいムーンライト
街角に漂うほのかな香り
そして誰かのひとり言
街の明かりに人影ひとつ
後ろの正面だあれ!
目隠しをして逃げたのはだあれ
ひちりぼっちの影と ....
みづうみは傷ついた渡り鳥の
保養所
三日も水に浮かんでゐれば
癒しは全身に及び
いざ
出立の羽搏き
あがる飛沫の半ばは
鳥の離別のかなしみ
みづうみは
....
喪服の婦人が森から出てくる
入れ替はりに
首うなだれて一羽の鶴が
森へ吸ひ込まれる
霧たちこめて
婦人も鶴も胸まで霞んで
二者はどこで擦れ違つたのだらうか
ともにもういづこに ....
遠くの月と
近くの猫
しなやかな背を撫で
月の色した目を眺め
そして少しのお酒を飲む
間違えることが、終わって
拍手がいつまでも続いている
始まりと終わりが気になるのは
それだけが手触りを残していくから
雨に濡れた窓が
鉄塔に光る赤い昨日を反射している
さよならを言えな ....
幾枚かの{ルビ花弁=はなびら}が舞い落ちる
淡い光のあふれるいつかの場所で
あの日の君は
椅子に腰かけ本を読みながら待っている
いたずらに
渡した紙切れの恋文に
羽ばたく鳥の ....
鼻先をかすめた寂しげな風が
街の色を変えてゆく
音を消してゆく
それなのに
黒のタンクトップなんて着てる
それなのに
ビーチサンダルなんて履いてる
皆は気付かない振 ....
時限爆弾のようにそれは爆発する
カミングアウト
僕は統合失調症
刺激に弱い
ストレスに弱い
頭も弱い
時限爆弾のようにそれは爆発する
薬を飲み忘れる ....
とれそうなまま
しがみつくもの
制服のボタン
放課後のバッタ
ほどはるかな道
引きずった影
空笑いで蹴飛ばす
夢の石ころ
かたむいた道
走り出すバス
遠ざかってゆく
....
プライドも規則も常識も
良心と道徳心意外全部捨ててしまおう
多くを持てば持つ程
自分の心は縛られて
雁字搦めになって動けなくなる
大切なものだけは手放 ....
あたしの心は見えません
あたしにだって
見えなくなることがあります
心ってどこにあるんでしょうか?
心臓にあるんでしょうか
脳みそにあるんでしょうか
あたしは思うんです
....
さみしく囁く
そっと静かに
夜は
流れる
川面には
風
さよなら言葉
これから二度と
言わない
好きだとか
嫌いだとか
忘れてしまえ
昨日も今日も
明日も未来も
全 ....
A には ○ が正解に見えていた
B には △ が正解に見えていた
お互いは{ルビ頑=かたく}なに抱えたバケツから
激しく水をかけあっていた
ずぶ濡れなふたりの間に
両 ....
旅の終わりの夕暮れに
車窓の外を眺めたら
名も無き山を横切って
雲の鳥が飛んでいた
{ルビ黄金=こがね}色に{ルビ縁取=ふちど}られた翼を広げ
長い尾を反らし
心臓の辺 ....
( 青年と初老の母は、
( 寺の小さい庭へと入っていった。
小石の砂利を敷いた庭に
細枝と葉影は揺れて
木作りの小屋に坐る
首を{ルビ斬=き}られた観音像
優しい手に ....
スーツ姿のサラリーマンでいっぱいの
0時44分発の東武東上線
最終電車
隣の席に座った人たちは
大きなバッグと
沖縄土産を抱えていた
そうか
この人は今まで沖縄にいたん ....
空に、鳥の滑空していく
きん、とした音が響いている
いつも何かが足りない
青いだけの視界を補うように
手のひらはいつも、上を向いている
いつも着地する景色には
逃げ出してしまう色が ....
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