激しい夏の日々は遠ざかり今は秋
太陽は街を焦がし山を焦がし海を焦がした
熱は放射され僕達にも注がれた
まだ肌が小麦色に残る腕や背
夏の思い出そのあやふやさ
祭りのように胸が騒 ....
ブラボー!
物言わぬ獣だってさ
そんなときには
ブラボー、ブラボーと叫ぶんだ
なに言ってんのそんな暇に
自転車ドロボー掴まえろ
2本足なら十分だ
羽根が生えたから飛んでっ ....
もう動くことなどないように見える
古ぼけて置き去りにされたバイク
街の片隅でご主人様から捨てられた
輝かしい時代もあっただろう
購入したてのピカピカの時代もあっただろう
....
旧年来の友人の転職
この歳からの転職
しかも技術肌から営業にまわるという
誰もが驚き諭した
しかし
本人はやる気充分
その意気込みは電話越しからもうかがえる
....
愛しい私の娘よと
かあさま まりひとつ投げました
まりはお空に留まっていつも私を照らします
私の愛しい娘よと
かあさま おべべ掛けました
おべべは山に干したまま季節の色に染 ....
曇った空の下では
海も鈍い色をしていた
打ち寄せる波の先だけは白く
足元に届けられて
よーく目を凝らして見てごらん
水平線が弧を描いている
停留しているタンカーが遥か沖のほうで
....
遠く遠くから満々とやってくる波は
飽きることを知らぬ
続く続くその暗い顔をした波は
引くことを知っている
夏の終わりに
交わした約束は
通り雨が流していく
この手に確かにあった
....
砂糖が乾いていく
あるいは溶けていく
運ばれていく
最初からそこにはなかった
かもしれない
舞う風、の風上
私はただ口を開けて
私の中を乾かすことを止めようとしない
追い掛けること ....
質量分析器に入れたんですよね
猫を見張りにしたんですよね
ネズミの餌を与えたんですよね
着た切り雀に貸し与えたんですよね
DNA分析の結果が分かるまでは
なにもしないで居たのですか ....
久しぶりに巨人戦を見ていた。
0点に抑えた上原と
勝越しホームランを打った二岡が
試合後のヒーローインタビューのお立ち台で肩を並べ
アナウンサーの決まり文句の質問に答えている。
( 二 ....
あひる
醜いあひるの子は
永遠に醜いままだ
白鳥になんてなれない
なのに誰もそれを口に出したりは
しない
ねこ
ねこのかお
よく見なくても、 ....
もがく
もがく
藻のないところで藻掻く
あたまの中に塩水が入って
考えることが辛くなり
すべては
旧態依然としたまま
塩漬けになり
保存されている
白く乾いた塩田を眺めて
....
世の中で正しいものを見つけるのは難しい
他の人にとって正しいものでも
自分にとってはそうでないかもしれない
絶対的で普遍的なものなんて
そうそうありえないだろう
....
私たちは更衣室で着替えると
休憩所で落ち合うことにしました
私が行ったときには
もう夢月は出ていました
「早く泳ごっ!」
私が言うと夢月は笑って言いました
「ああ・・・
つーか紅香は泳 ....
きっと明日は晴れるでしょう
雲ひとつない、君の心と同じブルーに。
青い心に赤い炎で押し倒されて
微笑みかけてわざと挑発。
キスをしながら泣いていた君
冷たい唇に暖かすぎる君の愛情
離れる心 ....
こどものような
貴方の身体の
その場所だけ 大人
ちいさな
ふたりの引力が
つり合っている
静かな
力で
薄衣を剥ぐように
ふたりは
孤独に没頭する
求めること
与 ....
昔。新車で買ったくるまのシートには、ビニールがかかっていた。それはしばらくの間そこにあって、私たちはビニール越しに新しいシートの匂いとか起伏とかを感じていた。
それはたぶん、私たち子供らが汚して ....
ナイチンゲール
あの人のためなら
ナイチンゲール
命など惜しくは無いわ
あの人に出会って心震えたの
高鳴る思いに初めて
人を愛すること知ったのよ
もしもあなたが望むなら
この胸 ....
指先で爪
らしい
爪 らしく
きちり
、血のうずく)。不安定な水晶時計(、
の公転にはなじまないけれど
今日のような雨天では
暗雲にさらされて
爪を)紅くぬる
さっと泳ぐのは ....
季節の変わりめに僕の脳髄の残り火
景色の変った街角で
あの娘の姿がふわふわ浮かび上がる
若いことは罪なこと
まだ世間のけがれた雨に打たれてなかった頃
太陽の日差しが僕に向 ....
古典的な
駄洒落を一発
ぶちかまし
挨拶代わりにしている男
何年ぶりかで会った男
洒落た男のつもりで居るのか
駄洒落た姿を見せつけて
脚の曲がった椅子に腰掛けて
背筋を伸ばして
ボー ....
よく考えると
誰かを好きになったとき
その誰かを
幸せにしたことがない
でも
ま いっか
私が
幸せなんだから
コンパクトに映るわたしに
わたしは誰と尋ねても
何処まで行っても、あなたはあなた
としか答えてくれない
(何だかつまんないなあ
こうやって電車のなかでも鏡を覗き
アイラインなんか直してみる ....
地面には
ぺちゃんこのかまきり
おどけた鎌を振り上げて
お前は偉いな
踏みつぶされても
踊ってる
「今日はプールに行くぞ」
「ぷーる?」
私が浴衣を持ったまま聞き返すと
夢月はコクリとうなずきました
「とりあえず浴衣置けよ紅香」
私が足元にたたんで置いたとき
もう金魚の模様は消えていま ....
晴れ渡った あの空 だったかしら?
それとも 父が抱き上げてくれたあの空だったかしら?
母の 背中のあの空だったかしら?
おばあちゃんと見上げた夕焼けの空だったかしら?
悲しくて目覚めたら夜だ ....
ハニーカム
あなたは先に行って待ってて
甘い桜の薫るあの大きな木の横で
ハニーカム
これは小さな幸せの呪文
擦り減ったスニーカー
石ころを蹴飛ばして明日に辿りつけたらいい
私 ....
秋の公園には
白いベンチが
木漏れ日を浴びて
鎮まつてゐる
桐の葉がひらりと
ベンチにのる
どうぞ私を敷いてくださいな
またひとひら ふた ....
夏の熱を切り裂いて宵闇に咲き誇る花火は
彩りと音の仲の良い双子の兄弟で
光と影、それぞれの役割をちゃんと心得ている
江戸の粋を三尺玉に詰め込んで
街のイルミネーションに負けずにきらびやかに ....
耳奥で焼き増しされたセミの音が我を迷宮入りにしている
デフレーション起こす八月森の血は居眠り空は高く冷えゆく
ヒグラシのサイレン、夜の上澄みに震えて詩集をよむ手も止 ....
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