あの子を探して
旅に出た
あの子の好きな
歌口ずさんで

散る桜
浮かぶ月
どうして
眩しくて

あの子はどこにもいなかった
あの子はどこにもいなかった

記憶の中で
ただ ....
ため息が湿ってる
気持ちまで湿ってる

泣いたわけじゃないよ
ただ
疲れたみたい

汗もかいてないのに
少し濡れた頬

悲しいんじゃないよ
ただ
君が今何しているか考えただけ
 ....
薄暗い部屋の窓に
雨粒と風がぶつかって
音を奏でている

貴方はさっきから
弦を弾いて
膨らんだ音に声をのせて
随分幸せそう

届かないよ まだ
歩いていく先に貴方がいるかもわから ....
回る風車を 川面に浮かべよ
風車は川面を渡る 風に吹かれていっそう
それを浮かべた 二人を向いて回る

   汚れた手のひらを 水中に差し入れよ
   手のひらは川の下の 流れに押されて
 ....
この、聞こえない左耳で
この耳で聴いてみたい音
それは、世界に
あふれる音ではないのです

時間を追い抜いていく時計の刻む
バンアレン帯に太陽風が吹き付ける
海溝の暗闇で深海魚のため息
 ....
夢明けは朝焼けと同じ頃
隣に君のいない目覚め
何処を探しても温もりだけ
掴めば指の間から零れ落ちる砂のような思い出

お気に入りの本を持ち
出会った頃と変わらない何時ものカフェへ
一番端 ....
厚化粧は可愛くないと
男は言った
煙に巻かれたように
ぼんやりと思い出す

白いスプリングコートが
包むのは私一人
妙な孤独感を抱えて
幾分か優しくなった風を吸い込む

単に眠たい ....
僕はいま

サンサンに照りつける

太陽をよけるため

大きな木の下で

本を黙々と読んでいる

自分がこの世界にいる

ころころと気持ちがいい緩い風が吹き

さらさらと近 ....
今日も君を待ってる 私は通りすがりの人にカメラを渡し
何枚か写真を撮ってもらった。
…昼下がり クリーム色の歩道橋 
おとなしい道路― 
現像した写真を友人に見せると
「きれいだ」とか「うまい」とか褒められたの ....
春風が吹いているよ

去り行く時は

季節と同じで

美しい色彩と

深い爪あとを残す


僕の中では

君との出逢いも

別れも

昨日のことのよう ....
優しい時間
コーヒーの香りにつつまれ
柔らかなソファにまどろみ
僕は文学をする。

エヴァンスのピアノを聴きながら
ランボー、リルケ、ヴェルレーヌ、
そしてコクトーなんぞの詩集を読む。 ....
見知らぬ町で一人ぼっち

向かいから歩いてくる老人

誰かは知らない

でも

なぜか昔ら知っている感覚

でも

思い出せない

しかも

自分が誰だかわからない
 ....
うすい鎖骨の層をすべり落ちるひとつの円く欠けた球体
それが、

あら
早いのね
雲はしびれて そろそろ雨の匂い
届かなかったのね
手を伸ばしても 反射する灰色の空気を泳ぐ
稚魚の透けた ....
今夜の僕は感傷的になって
夜空を見つめている

いつもはよく見えないのに
今日は1つ輝く星が
僕の胸を打つ

君と僕は
若い日に出会って
喧嘩もした
別れようと話したこともあった
 ....
すばらしかった
きれいだった
なくさないよにしようと

思わず息を吸った

ああそうか

またなにか
すり減ったんだ
一点を見つめる少女の目は
悲しみを捕らえ
メリーゴーランドの光を知らず
逆光に眩いレンズの光を睨んだ

その手に持つ赤い花は誰の血で咲いたか

モノクロで映る銀塩写真に
僕の目に映るは ....
咲いた、泣いた、サクラが白く。

咲いた、泣いた、サクラが泣いた。

泣いた、咲いた、ぼくらは泣いた。



溶けてしまいそうだ。

涙なんか出ず、喫茶店で時間つぶして、

帰 ....
抜け殻の瞳を眺めると
底に微かな水があった

忘れかけていたのは
例えば同情であるとか
例えば憐憫であるとか
そういう物を拒絶しながら
守り抜いた自己が在って

外側から眺めると
 ....
草木も人も生きられぬ
不毛と言われる地に咲く
たった三週間の命

それでも
その身をいっぱいに開く
自らを
そして他の生を
育むために

原始の時代から
変わることのない花園
 ....
いち


にい


さん


しい












たとえば
「ありがとう」と言う前に
五つ数えたいくらいの想い
とてつもなく酒。
肝臓いわしてからは量こそ多くは無いけど
だらだらと飲む。

とてつもなく箱。
椅子?になれそうなパワーPC。
私の世界がそこだけにあるような、ないような。

とてつも ....
空は 晴れて 
緑が 萌えて 
鳥は 唄う 

どうしようもなく 
春で 
朝で 
まぶしくて 

どうしようもなく 
私は
女で 
せつなくて 

風が「る」のような ....
明かりの無い部屋の片隅
目を開けて 僅か
閉じる

暗闇を見つめることはいつも難しい


閉じることで
そこに何が生まれているのかを知りたかった

同じことで
閉じたところで何も ....
10センチの赤ちゃん
手のひらで眠る

うごめき
芋虫のダンス

這い回る
どこだ、どこだ

ああ、違うよ

ママはね
いないよ

でも吸い尽くしたいんだね
ごめんね
 ....
駐車場になるまえ
あそこは空き地で

足跡が
角から裏にのびる
小路をつくってて

この季節

そろそろ
たんぽぽとか
つくしとか
黄緑色の草とか

ひばりはいつだろ

 ....
天文の漂う踊り場にて
 夜風に占う明日の天機
  
 孤島を踏んだ小鳥のように
   無恥の鏡を握り携え
    彼方の涼へと方位を定め
     遷ろい霊えと無慈悲に祈る

翳にあっ ....
緑の空を白いトンネルにも塗っていると
彼の足音が聞こえる

渇いた喉を癒すのは
何かしらの優しさなんだろうと思う。
でもそんなことを言われなくても
と思う。

一万八千数百個の時間が頭 ....
ないものねだりばかりしているんだ

今までずっと、僕は。


そこにあるものに、どうして満足できないんだろう
僕の手の中にあるものだって
当たり前に存在するわけじゃないのに

君を見 ....
 空 


        桜

                        空
   散る


              花び ら 
                    ....
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