その朝 北の窓辺のカーテンは ゆっくりと
大きな呼吸した

潮の香りは
「訪ねよ さすれば 息つく夜を捧げよう」
鳴く鳥に委ねた

わたしは
一日中 呼吸していた

呼吸する潮の香 ....
暮れた空の上に
団子がお着替え
始まりを告げる

ぺったん とったん

きづちで打つ頬のかけらが
月明かりに照らされて
くっつくのは
雲の切れ端と少女であり
のぞく合間から差す
 ....
あなたにメールして
返事が
かえってこないから

私は
まよなかのねこだ
ひとみ
まんまる見開いて

あなたからのテレパスを
感じるためによるに立つ

もう
嫌いになったかな ....
炎天下の路上に 
{ルビ蝉=せみ}はひっくり返っていた 

近づいて身をかがめると 
巨人のぼくにおどろいて
目覚めた蝉は飛んでった 
僕の頭上の、遥かな空へ 

瀕死の蝉も、飛んだん ....
明かり消えていく街角の電灯

軋む踊るその心のマーチ

空が夕に染まる街の中心

駆け抜ける僕の未来の形

不安で泣いた夜も

深く突き刺さるトゲも

早くぬきとっ ....
浜辺に群がる人波が
ひとしきりうねって退いたあと

待ち兼ねていたように
波音は膨らみ
熱を孕んだ砂の足跡も風に消されて
浜は打ち上げられた藻屑の褥(しとね)になる

風が
湿り始め ....
回転する物体を斧でぶった切る
春が来て
芽が出て
斧の柄からも春が来て
小野小町をぶった切る

パートナーの夏休み
退屈する会社員が
機関車に乗り込む
風来坊の顔をした
顔 ....
風と雪に耐えながら進む
なんて辛いんだ
人生って こんなに辛かったっけ
そうだよ 人生って辛いんだよ
歩くだけで疲れるんだ
傘をさせば飛ばされ
傘を閉じれば雪にぬれる
幸せはどこに
僕 ....
生きている価値なんてない
卑屈になって部屋に篭り切りで
そんな貴方にも差し出す一輪のガーベラ

生まれてこなければよかった
そんな人はこの世には誰もいなくて

手に入れなければよかった
 ....
マンホールの街に住む
俺たちの国境は陽の光さ
手を差し伸べられても
その線からは先に進まない

マンホールの街に住む
俺たちの主食は黒かびのパンさ
ほおばるその口溶けが
すばらしいって ....
よく分からない、ということを
よく分からないだけ口にして
僕らはどのようにして、というようなことを
常に曖昧な部分ばかりを気にするために
ただ少し、西によって歩き続ける
ときどきに、冷ややか ....
 私は今、七年ぶりに訪れた遠藤周作先生の墓前にいる。墓石の下
に供えた僕の第一詩集「風の配達する手紙」の表紙が夏の日に照ら
され、白い薔薇の影が、表紙の余白に揺れている。私が生けた赤・
白・黄色 ....
押し寄せる人波を
私は独り、逆流する。 
東京駅の地下に蒸す夏。 
目の前の{ルビ陽炎=かげろう}を掻き分けて。 

日常の流れに{ルビ弾=はじ}かれて、立ち止まる。 
重い{ルビ荷物=ト ....
にびいろのうまにまた
がりしがみついてたて
髪をほどく風になるふたり、昔より
さしだされつづけた無量数
のひとの手に、刻まれた誦誦をきき草花の
波のうえに踊りひかり
照らされた ....
意識が
眠りに向かう中
蝉の声が
ぐるぐるまわっていた
夏の匂いと
消毒液の匂い
まざりあう瞬間を
壊してしまうかのように
ぐるぐると
蝉の声は
わたしの上に
おりてきた
 ....
繰返してはいけないと思っていても
繰返してしまう
それはちょうど悪戯っ子が
すぐにばれてしまう悪戯を繰返すのに
似ているのかも知れない
かまって欲しいわけでもないし
誰かに判って欲しいわけ ....
きらきらをかんじるものは
たくさんあって
様々なものが
息をひそめているのだけれど
それらの共通点を
ひとつあげるならば
生命のうつくしさに
あふれているということ

光りかがや ....
 眼の前にひろがる
 ゆびさきに触れて
 ひとつ ひとつ
 つながる
 つながってゆく
 流れるように
 さまざまなじかんが
 紡がれて
 さまざまな感情が
  ....
哀れ

彼女の吐いた息の白さに何人の男が感嘆の息をついただろうか

少女から女に変わるその間に
いくつもの帯をまとって帯の隙間からこちらを眺めていた 
彼女

波を超え、山を掘り、花を ....
まどろんだまま
深く吸った息で
体中に雨が透る

窓辺においた手紙が
濡れているのは雨のせい

滲んだ青いインクの
消えかけた名前を呼んで

雨の一粒一粒が
体の中で弾ける
ソ ....
小雨の降る
窓の外で
葉っぱが踊る

明日は雫
見せてほしい
その両手で

久しく会っていない
お日様
あーあ
あなたは元気かなぁ

ぐんと伸びたい
この雨の中
見上げる ....
キミはキミで幸せになる。
ぼくはぼくでしあわせになる。

スコンと落ちた銀の針、君の名前を呼んでも怖くはないよ
ぼくはぼくのなまえをうしなったりしないからきっとまたきこえるね

キミを呼ぶ ....
一人の夜に赤々と土気色を二時の方向に指す赤月

温水プールが街に広がる午後八時の暗闇の渦に吐き気がする

空気 まどろむ 夜だ

安心した素麺のつるっとした喉越しと
果てしな ....
夜よ深まれ
闇はもっともっと深くまで
暗く、黒く

私の胸に小さな灯り
ゆるりとめぐる闇となり
深く、深く

包み込む暖かさや
優しさなどいらない
そんなものはいらない

ほし ....
西陽が傾いてゆく
風を追いかけながら
オレンジの雲は次第に細長く
なつかしい言葉をそっと隠していった


暮れなずむ野辺は一面の草海
薊の花の谷間に静か
蝶がいる 淡い光のような点が
 ....
{ルビ御月様=おんつきさま}が
どれほど 偉大か、
気が付いたのは
絶望の重みに
耐えられなく
なった 夜道 
十字路にある
自動販売機の
灯 だけが
ユメを見せてくれた

そ ....
自転車の車輪の横には、
しっぽの先だけがしましまの猫が
丸くなって寝ている
夕方には何処かに行ってしまう猫に
名前をつけよう、と
彼女が言い出したのは
日曜の朝、
決まってサンドイッチな ....
それは嘘でもよかったんだ
リトマス
あなたは
もう二度と

ずっと
ずっと好きでした、と
つぶやくだけで
よかったんだ

あざやかに
心を朱に染めて
私は
あなたを忘れただろ ....
買い手のつかぬまま
何年か空き地だったお隣に
店舗兼アパートが建った
店舗といっても
コインランドリーのせいか
雨の日以外は閑散としている
アパートもまだ空いたままで
梅雨明けのあとは
 ....
華やいだ雑踏を抜けて
遥か高く聳え立つ構造物に
押し潰される
ワインレッドの血の
芳しさに恍惚として
異世界への扉を抉じ開ける

忘れるな
此処には何も無いことを

開けた視界に飛 ....
ぽえむ君さんのおすすめリスト(6409)
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The_border- maumi未詩・独白2*06-8-14
白夜- 霜天自由詩406-8-14
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にびいろのゆめ- バーバ子自由詩206-8-13
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吐息- 七条 優自由詩106-8-13
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