つつじよ つつじ
覚えていますか
あの子も まだ ななつ
指切りの 次に 甘い蜜
目覚めるほどに あか
明日は
見惚れるほどに もも
どうし ....
研ぎ澄まされたナイフで空を
切り裂いた太陽は
六十億もの穴の空いた
大地にやがて沈んでゆく
プラタナスの葉に覆い被さるように
牧羊神の与えた息吹が
薄いガーゼとなって絡まる
初夏の森を中 ....
あなたの背中
ひろくて深い
群れから離れ
迷子のさかな
ひろい背中の
影にかくれた
あなたの深い
背中のなみだ
生まれた海と
おんなじ匂い
迷子のさかな
おお ....
僕の故郷(君の故郷)を時々思い出す
澄んだ青空が僕の胸に吸い込まれる
あの何度も塗り直されている鉄橋 あの春には染井吉野でいっぱいになる国一番の長さを誇る川の堤防のいつもの帰り道 夜を彩る山 ....
ある筈のない
五行目をなぞりながら
レコードは音を紡ぎ続ける
私、と呼ばれる生き物は
禁断の実をかじりつつ
その音に
聞き入っている
ある筈のない
存在しない、五行目 ....
これから
私、という名の
暴走特急は
成長という駅へ向けて
猪突猛進
進んで、参ります
ですから
危険を伴いますので
窓からお手は
出さないよう
後ろを ....
つかの間の安らぎの季節が
近づいている
湿った空気と渦巻く憂鬱の中でこそ
私は鮮やかに
笑い放つことができる
そして雨の夜の
ノスタルジー
あの街行く人々の
暗い顔が好きだ
あの ....
車窓の視界が
きらめく波でいっぱいになり
埠頭を渡る風の翼が
一瞬、かたちとなって見えた午後
岸壁の釣り人は
ただ垂れた糸の先と
深さの知れぬ水底近くを
くろい海水に遮られながら見つ ....
目の前はすべて
煙に覆われていた
幾層も掻き分けた向こうに
握った拳を突き上げた人影が
腕を下ろすとこちらへ歩いて
すうっ と
わたしの内側に入った
*
....
長い間
「 わたしなんて・・・ 」
と{ルビ俯=うつむ}く影を
地に伸ばしていた
ある晴れた日
緑の{ルビ掌=てのひら}をいっせいに振る
背の高いポプラ並木の道で
ふと ....
つんつんと
たっているのに
どこか愛らしい
君に似ているよ
大人ぶってつんとしているのに
どこか愛らしい
どこか愛らしい
記憶のかたわらで
あの人の奏でる、ヴィオロン
夜想曲は、もう
恋のできない私に似合いね
と わずかに唇をゆるめてから
伏目で弾いた鳴きやまぬ、旋律
それはどうしても、波としか呼べなくて ....
トキメキを求める 浮ついてる まいらいふ
ドキドキを求める 刺激好きな まいわいふ
あいのぅ ゆのぅ 苔の生えぬ希望
あのぅ そのぅ 下手をすれば死亡
愛人の刃物が光れば
....
夏蝶が荒野をぬけて来し時に大地の眼はするどく開く
青年はミケランジェロに惹かれやすく告げし身深く一羽の鷹に
夏の夜に堕天使つひに優れたり星月夜すぐわれに近づき
月が昇った夜の下
白い光に満ち満ちて
遠くお空に浮かびます
暈を重ねてぼんやりと
ひろくせかいを照らします
夜明けの眩しい太陽に
月の明かりは隠れます
月が籠った夜の下 ....
その 光
透明な 陽光を 受け止める
光 在る者に
悪心の傷を
痕跡もなく 浄化しなくては
いつも 手をかざし
光を受け止めている
額が熱い情熱で溶ける
陽光は 憧れ ....
2007/05/04
古いカートリッジ式万年筆だから
何処にもカートリッジが売ってない
カートリッジの中にスポイトでインクを詰め込んだ
カートリッジには ....
僕はある国の宮廷道化師さ
体が小さいんで住んでた役に立たないと村を追い出される前に宮廷の騎士に雇ってもらった
もちろん雇ってもらう前に散々笑われたよ 「お前みたいな奴は人間じゃない。?小人? ....
夜空に{ルビ創=キズ}をつけたのは誰
遠く西の果てに
冷えた白銀の
夜空に{ルビ創=キズ}をつけたのは誰
眩暈に頭を揺らしながら
川縁が
薄く紫黒に滲みる間に
辿れば
....
もちろん たしかに
自分の身体を愛するように
私は
この国を愛する
憎悪に満ちた社会であろうと
しなやかに愛してみせる
きらめく山河
海輝き
空はとどろく
はてしなく
おもいは駆け ....
綿雲を飲み込みながら
ジャンボ機が鮫のように
虚空の海を我が物顔で
生まれ故郷にむかって泳いでゆく
逍遥中の私は
その遠退く鮫を追いかけた ....
帽子の鍔で
隠した僕の
瞳を君は
見て笑った
指先の繊細さとか
髪の毛の柔らかさとか
感じられる距離に
笑う君が居る
濡れた睫毛とか
唇の濡れた感触とか
感じられる ....
何があろうとも
何がおころうとも
もうあたしは
ひたすらに
バカの一つ覚えみたいに
あのひとの横にいて
いっつもアホみたいに笑って
一緒に遠回りして ....
だから言っただろう
僕らはこうなる運命だったんだって
初めから解っていただろう
好きになるのと性格がうまく合うのは違うって
毎日の電話も
幾度のキスも
僕にはできな ....
ウォーリーは探されなければならなかった
探されるためには行方をくらまさなればならなかった
行方をくらますためにはいつも同じ服装をしなければならなかった
その服装が決めたものなのか決められたものな ....
この雨は まだやまない 降り続く雨
この空は まだ晴れない 曇り続ける空
アジサイなんかを見に行こう オシャレな傘さし 見に行こう
忘れそうな太陽の光 ため息ばかり
憂鬱な気持 ....
黒いしげみが大好きだ
黒いしげみのあるところ
僕に眠りがあるだろう
黒いしげみが大好きだ
黒いしげみの出す声に
仕える者となるだろう
黒いしげみが大好きだ
黒いしげみの自在さに
....
開け放たれた窓から
夜風がカーテンを揺らし
月の光がこぼれだす
少女の眠れぬ夜はするどく
闇の中へと切りこんでいく
少女がひとさし指で
空をなぞるように
星の数をかぞえている
....
春夏秋冬の後ろに小さく
くっついてくるものがある
やたら弾けている
その癖おどおどと温度との
距離を図ったりしている
君は器用にそんな季節を丸めこみ
情緒の中に埋めこんだ
....
はじめは、見えなかった。
それはファインダーの外に
つまさきの下に
暗がりのなか
輪郭さえ
ないところにあった
それから、見ないようにした。
それは地 ....
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