井戸掘の職人たちは泥つけし
顔そのままにしばし仮眠す

階下にて九州土産の風鈴が
台風予報の風に音たつ

名月に逢ふひとときを足らひゐて
たゆたいがちに春間近かなり

【昭和四十八年 ....
低く垂れ込めた
嵐の雲のなかへ
灰緑色の階段が続き
海は大きなちからに
踏みしめられるように
しろく崩れながら
膨らんでは混じり合い海岸線を削ってゆく

風はいっそう強くなり
雨と潮 ....
大型台風は 
太平洋沿岸を次第に逸れて 
中心の(目)を閉じていった 

数年ぶりに
{ルビ小動=こゆるぎ}岬に立てば 
鉛色の海に
幾重も立ち昇る 
龍の白波 

腰越港へと続く ....
何もすることないから

とりあえず弾き返して

君が歌う歌

それまるごと

ヘッドホンに納めるかのように

天井に雲を吊り下げて

くるくる回す
 
産まれた時から
そこには あって
 
触れた感触などないのに
そこには あって
 
 
ちいさな
それはそう
とてもちいさな
 
 
溢れているよ

言うか言わまい ....
 
 
狼のように
ばっくりと口を開き
世界中の悲しみを吸い込めたら
どんなに平和だろうか
 
 
夏の夜に
ふと気づくと手元にある
一枚の折り紙は
すやすやと寝息を立てて掌にす ....
べいび べいび べいび
雨が降っても祇園祭でござる

べいび べいび べいび
風が吹いても祇園祭でござる

ゆかたの おんなのこが カワイイコばかりとは
かぎらんでござるよ

「奇麗 ....
愛してるなんて 誰でも言えるよ
多くの人間が 都合良く使ってきた言葉さ


愛してるなんて 誰もが言えるよ
言葉にできない想いを 都合良く表してきた言葉さ


愛してるなんて 誰だ ....
濡れた緑で
夜空を見上げる
数秒後にこの星空が崩れてくるのを知っている
そんな目で
おまえは言う

なんて きれい

薄い唇は街の光を捉えて
俺はその前に沈黙して ....
大丈夫
もう、泣かないよって
叫んだあとの
雨の日
 
寂しがりな僕たちは
分からない雫を
溢す
 
 
隅っこが
好き、なんだよって
笑ったあとの
晴れの日
 
夢を見 ....
灰色がかった厚い雲に覆われた大空
ところどころ仄かに煌めく
その煌めき
たちまち稚魚となり
大空を泳いだ

稚魚
風に煽られつつも
しっかり雲に身を寄せ
必死で風の流れにのっている
 ....
 今 君の為に愛の詩を書いているよ
CHE.R.RYを聴きながらね
 春の正午の風が暖かくてとても気持ち良いよ
 実在しない君に詩を書いているのかもしれない
 本当の「君」は想ってくれてい ....
無邪気な夏を疑いもしなかった僕らは
教室にひしめいて
このなかから将来
プログラマになるやつが
出てくることも知らず

なにかを求めて
なにかを積み上げ
なにかをこねまわし
なにかを ....
燦々と
そそがれる陽を
うけての青

朧々と
つめたい雨に
うたれて紫の

移ろう色は
六月と七月の境界を曖昧にして
暦がめくれたことにさえ気づかず
深い場所で息する哀しみに黙す ....
鯉が吊るされた
教会の屋根に
虹は鱗を落とす
七色ではなく十二色の
クレヨンじみた

ツタはいつまでも
少女を縛り付けて
泡を吹いた口から
鯉が生まれるので吊るされる

正常な幽 ....
今日はきっと晴れるんだろう
鳥の声が絶えず聞こえてくる
流れている水音は内からで
だから頼りなく揺らめいている
目を閉じても辺りをくまなく照らすのは
まぎれもなく一つの願い

どこ行こう ....
追うべきものを
見失ってしまったのです

何を目指せばいいのでしょう

やる気がでないのです
溜め息ばかりが零れます


ボーっとする時間が増えたのです

夢が見つからないの ....
里芋の葉に露玉を宿らせて
風も光りて土用に入る日

身体ごとゆるるが如き北山の
杉のみどりが視野に広がる

微熱ある夜を目覚むれば
枕辺に誰がつけくれしか蚊取香匂ふ

熱湯の ....
あやめ草あやに恋しき君なれば
  夢も染むらむ花むらさきは



名にし負はば紫野辺の夕やみや
  見せようつつに千代の面影



ときじくの花にはあらで露の花
  ただ ....
人の心が覗ける機械を
苦労に苦労を重ねて開発しました

世紀の大発明
とりあえず誰彼構わず
手当たり次第覗いてみました





世紀の大発明
とりあえず修復不能 ....
順番に夜がきて
また朝がくる
あなたから
わたしへ
それは
ただ



夢とか
希望とか
積み重ねて
築いてきた
僕のお城
君と暮らしたら
崩れてしまいそうになる

 ....
決めた!


先に「愛してる」と言ったほうが 勝ちということにしよう!
今日は盆の入りなので 
夜家に帰り門を開くと 
家族は敷石の一つに迎え火を焚き 
両手を合わせ
揺れる炎を囲んでいた 

初老の母ちゃんが 
「 お爺ちゃんがいらっしゃるわよ 」 
と ....
 喧騒で溢れかえっていると思った午後は静寂で満ちている
 陽の光だけが強くて寂しい午後だ
 布団にくるまりじっと耳を暗闇の中にそば立てている
 もうすぐ眠りに就く頃だ
 でも何かが眠りを妨げて ....
I miss you 呟いてみる午後三時アールグレイに満たされてゆく


木苺のタルトをさくりとかじるときグレーテルの声が聴こえた


空白の手帳に記す明日もなくガトーショコラはほ ....
昼さがり 鱧祭り
ひとりよがり ふわりふわり

入れ替わり 立ち替わり
上がり下がり のらりくらり


  声を出したって 誰も気づきゃしないさ
  とても複雑に 君を抱きしめたいんだ ....
SNSは何も教えてくれないよ
体温も 場所も 心も


マスカラが滲むときを待っていたの

もう くたびれちゃったけれど


夢にまで見た
黒くてしょっぱい小さな飴玉

夢じゃ ....
 
言ノ葉を
発したならば
責任を
 
 
出ていったソレは
発信者の意図に関係無く
縦横無尽に動きまわる
 
 
言の葉を
発したならば
責任を
 
 
あなたに覚悟 ....
今お腹蹴ったよ って言っていたのがまるで昨日みたい
時計の針の音が脈と重なって 僕を追い込んでいく
髪をかきあげたときだった 天使が舞い降りてくれた

おはよう

肌に触れた瞬間 抱き上げ ....
高潔
思慮の円熟
仕事への強い熱意
信用失墜行為の禁止

今まで考えた事のない言葉達
そういう世間もあったのだ
怒らず、怒鳴らず、手を上げず
嘘をつかず、人を裏切らず

尊敬され、 ....
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