きれいに消し去って欲しい
あなたの腕で
わたし自身では消せなかった
こころのなかに棲みついたもの
胸騒ぎのようなもの
きっと消せる あなたなら
その腕でわたしを抱き上げて
森の奥深く連れ ....
自動販売機のなかには
シーラカンスを気取るのが居て
夜になると
腹びれを振るわせて
反対側の中州に登り
ニイタカヤマノボレと
大きな顔して
電話して
スクワットする夜間割引券と
交換 ....
こごえるように
<うた>をうたう
こえられない
こころで
<うた>をうたう
わたしの
生まれたての
<そら>で
まだ
....
「純粋」と「不純」の間で
へたれた格好をしている私は
どちらにも届かせようとする
執着の手足を離せない
一途に腕を伸ばし開いた手のひらの先に
「透明なこころ」
( 私は指一 ....
氷の島を溶かす暑い夏
限界を超えた炎暑が
氷の星を探しに
探索機を打ち上げる
そのオレンジ色の炎は
地上を明るく焦がし
ひきつけを起こした少年達は
一瞬の記憶を失うのだが
....
黒アゲハ
私が傍を通ろうとも
その場を離れずに
ひらひら
ふわりふわり
大きな羽で
何かに夢中
幼虫の頃
こんな姿になろうとは
思わなかったろうに
諦めた頃に
諦めたこと ....
人目をはばかりながら夜は
汗ばんだ首筋に歯をたてる
梳いた黒髪をかきあげて
受け入れてしまった恥辱
かつて少女の頃に見た
甘美な夢とはほど遠い
なんの形も示さないのに ....
まどろみの中目を覚ます
生温かい部屋の中はきれいに整ってる
昨日の続きの今日が訪れる
なんの成長もないまま
しがらみだけに囚われて
未来の予想図は鉛筆で書いて
すぐ消える ....
空を飛びたいなど思わない
眠ってしまおうとも思わない
そんな明るい雨の昼下がりは
激しく窓ガラスで弾けて
つたい落ちる滴を
ずっと、ずっと見ていたい
大切に飼っていた金魚を
....
あつくこく
たかぶりゆく盛夏
うごめき
上昇気分
厚く濃いこの空気の中ひそやかに
偏在しているエアポケット
ひとり
静寂の中にとりこまれて
ぽたりと汗のひとしずく
さ ....
夢月がゴハンをくれてから
結構時間が経ちました
私はその間
ゆらゆら泳ぎ続けていました
『夢月・・・・・』
ボン!
身体中が真っ赤になったようでした
私は石の上に座ると
ゆ ....
飛ぼう
思い信じることが大事
目を閉じれば私は大空を自由に飛んでいる
風に吹かれ
青い空に抱かれて
自然に包まれ穏やかな心地
そういつだって飛べるのだ
思ってさえいれば
ぼくが
せいいっぱい
こつこつと
いきてゆくこと
は
きっと
きのうまで
こつこつと
いきたひとの
ねがいをかなえること
きっと
あしたに
うまれて
こつこつと
い ....
日々の果ての
朝、(辛うじて未だ夏の、)
誰よりも先に、空が
窓で泣き出している
日々、とは
ひとつづきの熱風だった
その果ての、床と素足に
夏だったものが生温か ....
くつろいで
恐竜の目覚めるのを待ちます
朝はまだ明けきらず
草の葉は湿っていて
庭に出て あくびを食べます
太陽と面を付き合わせれば
犬の鎖がじゃらじゃら
散歩をねだり
草っぱらの ....
蚊取り線香の匂いは嫌じゃない
赤い先からあがる白っぽい糸
もうここには無い白髪頭を思い出させる
分厚い本はなんでも友達だった
謎解きを私にさせて
ご褒美のアイスはいつも私のためにあった
....
ぱちんっ
私は目を覚ましました
一瞬お店に戻ったと思いました
でも周りに兵隊はおらず
穴の開いた石や
緑色の草が
代わりに沢山いました
私は地面に座ると
浴衣を着なおし
涙を ....
雨が降ると複数の穴から
水が漏れて
まるで
滝のように降ってくる
温度変化の激しい夜は
風邪を引きやすいから
ご自愛下さい
三寒四温の季節には
そんなことも書簡に認める
複数 ....
蝉時雨も止んだというのに
真昼の喧騒が
じりりと
耳に焼き付いたのを
両手で塞いだ
鳥の群れが西をめざし
灯火色した空に
消えていくのを
門口に焚いた火とともに
静かに見ている
....
つぼみのままだった花が
開いて
背伸びした
鈴として
花びらは
柔らかく
風とお話
限りなく命論ずる人々
もう誰が最初か分からない争い
たった一人の
たった一瞬の
心 ....
祖父は
海軍士官学校の先生だった
手を合わせる横顔に
平和を祈っているのかと訊ねたら
そうではないと小さく呟いた
悔やんでいるのだと
小さく呟いて、そして
祈りは何も変えないのだと
....
白く湧き出る夜霧が彩色の光度を埋める、
途切れた余白だけが、
寂しく横たわり、わたしを乗せている。
染め急ぐ硬いみちが流れるなかで、
滑るように乳白の色をやわらかく溶かして、
わたしは、あた ....
繊毛が鹹水を包む
遅延、水晶体の不可蝕
鵜は蒼空に没し、無中で
曼荼羅なす棘皮類に遭う
穢土の造花
波濤が月の予兆に哀しみ
乾坤の梁を押し流す
雨後 縊られた阿弥陀が
月神に愛玩される ....
青空を掻きむしる
陽光の爪の音を聞いた
八月十五日
少年たちは最期に
誰でもない
母を呼んだものだよと
小さなおばあちゃんの呟きに
珍しく合点がいった
母を
僕はこれから何度 ....
以前に映画化された 大誘拐 (創元推理文庫)、ご存知だろうか?
紀州の富豪家を誘拐して、5千万をせしめようとした若者たちに、
当の誘拐された本人が、100億の身代金の請求を要求する、という話。 ....
戦争の詩を書こうと思う
小学校の暗い図書館の隅に見つけた「はだしのげん」
戦争という言葉がまだ現実味を帯びていなくて
まだ子供だから分からなくてもいいなんて
そんな生ぬるい世界にどっぷりつ ....
、、、、、、、、、、、、、世界が半分で折りたたんで悲しんでいる
、、、、、、、、、、、、、悲しみのはじまりははじまりはおわり
、、、、、、、、、、、、、涙を流すほどの悲しみはない
....
さわやかな風が吹いた
ピアノの音が聴きたい
私はピアノなんて弾けないけれど…
だけど そんな気分だよ
風は私の味方…
この風に乗っていきたい
どこまでも…
どこまでも…
今 優 ....
私の中にある
“詩”という不思議な空間
言葉があるのではない
気持ちがそこにあるのだ
一人と思わないで
いつだって
望みがその手に残っているなら
そばにいるよ
たとえ離れていても
翼はいつでもここにある
一人と思わないで
いつだって
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