きみと別れて
きみと別れて
街の風景はモノクロになった
一日も忘れることが出来なかった
男はそれでも涙は流せない
自分なんていないほうがいい
そう思った
....
自転車から転げ落ちた
右の頬の痣と 切れた唇
またそんなに酔っ払ってさ
殴りあう暇があったら
海を見な
切れた唇に
寄せる さざなみ
笑い声は
痛いこともあって
七色 ....
そうやって嗤ってくださゐな
そうやって叫んでくださゐな
私が此處から動かぬやうに
白ゐ光に捕らわれ
赤ゐ血を流せばよゐのでせう
でも殘念
私を切り裂ゐたとて
黒ゐ黏液が一粒零 ....
空を眺めてると
涙が出そう
って君は嘘をつく
ときどき
そういう意味のない嘘が
心地よくてしかたがない
今日も
暑い一日
蜩は
まだ鳴かない
相変わらず僕は間が悪く
グラウンド ....
夜になると風が出て
{ルビ毬栗=いがぐり}は落ちてゐた
次々と
加速されて
硬く冷たい実が
ぱらぱらといふよりは
すぽすぽと黒土にはまりこむやうに
降つてゐた
流 ....
今日の夕日は
今にも落ちそうな
線香花火のよう
ポッテリふくふく
ジラジラ燃えて
せみしぐれ
ピタリと止まる
どこかで指揮者が合図した
庭の緑がそっと揺れ
ああ暑さも少し楽に ....
その墓には同じ苗字を持つ男女の名が記されていたどちらもJr.でありきっと兄妹だったのだろう二人は同じ日に死んで同じ墓に入ったのだからずっと一緒に長く暮らしたのだろう、しかし奇妙なことに父親と母親の名は ....
夕暮れ近くまで二人は水浴びをしていた浮かび上がる黒い影と真っ赤に染まりながら滴り落ちる水。
水を浴びるたびに鳥肌がたったけど嫌な感じではなかった外は生暖かくて夕焼けは燃えるように真っ赤。お父さんが雌 ....
日差しが眩しい
容赦がない
肌に突き刺すような光
泡みたいな白い雲の塊
すごい青って感じの空
水面の光のループのように幾千もの環
漂う波と光が綺麗で 綺麗で
肌を突き刺す光さえ ....
放課後には、
音楽室から聴こえる
ソプラノが
一日の中で一番
しっくりはまる少女、何処か夕暮れに似た、
朝には
誰にも触れられていない、
まだチョークの匂いすらしない教室でひとり
....
ある雪の降る寒い夜
教会の前に小さな赤子が捨てられていた
あまりの寒さに弱っているのか
泣きもせずただ震えている
そこへふわりと死神の少年が舞い下りてきた
寒そうに震える赤子をじっと見つめて ....
なぜだろう
わたしは眠っている
世界はこんなに美しいのに
なぜだろう
わたしは怒っている
こころはとても暖かいのに
なぜだろう
わたしは歌っている
ひとり ....
ただ激しいだけの
夏の日差しにひからび
立ち尽くす老木が
通り雨に打たれて
季節の終わりの
重苦しい空に投げだす
涙をのせた
手のひら
(それはわたしじゃない、わたしじゃない)
....
長い間
{ルビ棚=たな}に放りこまれたままの
うす汚れたきりんのぬいぐるみ
{ルビ行方=ゆくえ}知らずの持ち主に
忘れられていようとも
ぬいぐるみのきりちゃんはいつも
放置され ....
ぜいぜいと肩で息をしている硬いダイヤモンドのような鳥だった。その鳥の瞳は錆びた空き缶の淵のようにギザギザだった、切れそうなほど。ドアーの向こうから光が差すのに鳥は這っても行けないのだ。天井にある剥がれ ....
優しい木漏れ日
静かな潮騒
あなたを包んだ
愛の世界
悲しい思い出
貧しい生活
あなたを信じた
愛の世界
苦しくて楽しくて可笑しくて
美しい美しい
愛の日々
愛の日々
....
ピアニストの繊細な指だ
白い鍵盤をすべってゆく
まるで水鳥の夢見る羽ばたきにも似た
あるいは
まだ見ぬ色彩を生み出す画家の
狂おしいまでにあざやかな指先
{ルビ天地=あめつち}を踊る風の曲 ....
遠い昔から見える、景色は。
今、僕が見てる景色と。
何が違うのかな。
同じ空はない、と言うけれど。
同じくらい、キレイな空はあるんだよ。
むかし、むかしの誰かも。
空を眺めて、思い ....
一滴の私は
無数に砕けて
無数の私
の
意識
もう
瑣末なことは
見えない
見たくない
ことば
ことばにまぎれ
あなたが見ているのは
ことば
私ではない
無数の針を ....
降り続く雨の間
口ずさめる歌を唄う
それに惹かれてか小さい傘の訪問者
二本目の傘の大きさと色で
待っているのは会社帰りのパパ
大人にも子供にも犯罪者や
偽善者、病気持ちにも受験 ....
タブノキとマテバシイの葉っぱはよく似てる
折るとパリパリちぎれるほうがタブノキ
ぐんにゃり往生際が悪いのがマテバシイ
ヤマモモとホルトノキの葉っぱもよく似てる
トンボの羽みたいに葉脈が細か ....
あ
味のしない
味のしないチューインガム
味のしない味のしないチューインガム
味のしない味のしない味のしないチューインガム
味のしない味のしない味のしない味のしないチューインガム
味の ....
「糸」
イト
「糸でできたおうち」
イト
「問うたばかりにへこんだおうち」
トイ
「問い」
トイ
五山の文字の
ゆえんなど知りません
それでも私は
わずかに香る炎が尽き
夜が少し涼しくなるのを
ただ待っているのです
まだきっとどこかで生きているだろう
あなたを見送っているのです
....
夜が深くなった頃
静かな優しすぎる時間
窓の外では月が おやすみを呟いて
それでも声は透明で音すら存在しない
昨日見た夢の断片も もう忘れてしまった
読みかけの本を開いて
いつか千切れ ....
高速道路を猛スピードで駆け抜ける
僕の残像
世界が回るのに意味なんか無かった
心に響け言葉
僕だけ君との感情壊してよ
何かんか眠いよ泣きたいよ
消える消 ....
私はスッと退きました
嬉しいような
恥ずかしいような
変な気持ちが身体中に広がりました
夢月も壁から唇を話すと
ゴハンを落としながら言いました
「紅香って
もしかして俺に惚 ....
幼い少女の顔は蒼白で呼吸も浅い
傍らには少女の父親と母親が涙を堪え
白い小さな手を握りしめていた
少女は朧げな目で天井を見上げていた
そこには黒髪、黒装束、黒い翼の少年が
宙に浮いて少女 ....
老舗だから とか
俳句載ってるし とか
そんなことより
側面に付いてる「計量目盛り」!
あれが大好き
意味のないことに
夢中になれる素晴らしさ
私にとっての
詩と同じ
空虚な腹部で
命と鳴いている
今日は夏だ
われんばかりの空だ
あぁ、こぼれてゆく
大地の精霊を
宿す
からだは
青空のもとで響く
首すじに光る雫を
ハンカチーフにすっと吸わせる ....
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