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居酒屋で 
ビール片手に酔っ払い 
まっ赤な顔して 
柿ピーの一つひとつを 
座敷畳の隅に並べ 
目尻の下がった
頼りない 
顔をつくる 

「 なんだか俺みたいだなぁ・・・ 」 
 ....
気まぐれな
夏の恋に傷ついた
氷の心

{ルビ尖=とが}った氷が
音も無く溶けゆく 
晩夏の宵 

やがて
秋の虫の音は 
一人きりの夜に
無数の鈴を
鳴らすだろう 


 ....
銀座の路地裏に入ると 
色褪せた赤い{ルビ暖簾=のれん}に 
四文字の 
「 中 華 食 堂 」 
がビル風にゆれていた 

( がらら ) 

曇りガラスの戸を開くと 
「 イラッ ....
与党が歴史的大敗をした日 
雷は空に{ルビ皹=ひび}を入れるどころか 
あのピカドンのような 
世界の全てを一瞬に包む光で 
家々の中に身を寄せる私達を震わせた 

再び空が真白く光ると  ....
ほんとうの幸いはきっと 
奈落の底の暗闇に独り立つ 
頬のこけたピエロが 
無人でゆれる空中ブランコの上に 
茫洋とした瞳で仰いだ 
プラネタリウムに瞬く 
あの{ルビ金星=ヴィーナス}み ....
人込みに紛れ 
駅構内の階段を下りていると 
背後に 
「 だいじょぶですか 」 
という声が聞こえ 
思わず振り返る 

車輪の付いた 
買い物かごの取っ手を 
細腕で握り 
「 ....
なぜあなたは 
病の親の世話をして 
毎朝歯を喰いしばり 
家の門を出て来る部下が 
体調崩し仕事を休む 
辛いこころが見えぬのだ 

わたしは今日も ふんふん と 
あなたの腐った愚 ....
( 世界は 
( 透けた瓶の内にある 

森の小道を裸足で走り 
汗をかいたラムネの器の底を手に 
真夏の空に傾ける 

( 星のころがる、音がする。  

{ルビ蝉時雨=せみしぐれ ....
車椅子に座る 
小さいお婆ちゃんを 
前から抱きかかえる  

少し曲がった 
「 人 」という字そのものに 
なれた気がする 

ごめんなさい、ごめんなさい 
と繰り返すので
な ....
テレビをつけると 
瓦礫の山から掘り出され 
額に血を流した中年の女が 
担架から扉を開けた救急車へ 
運び込まれていた 

その夜 
テレビの消えた部屋で 
歯を磨き終えたぼくは 
 ....
大型台風は 
太平洋沿岸を次第に逸れて 
中心の(目)を閉じていった 

数年ぶりに
{ルビ小動=こゆるぎ}岬に立てば 
鉛色の海に
幾重も立ち昇る 
龍の白波 

腰越港へと続く ....
今日は盆の入りなので 
夜家に帰り門を開くと 
家族は敷石の一つに迎え火を焚き 
両手を合わせ
揺れる炎を囲んでいた 

初老の母ちゃんが 
「 お爺ちゃんがいらっしゃるわよ 」 
と ....
二十一世紀の
ある青年は日々 
( 姿の無い誰か )が 
自分を呼んでいる気がした 

 *

二千年前の遠い異国で 
ある村の漁師は湖の畔に立っていると 
背後を誰かが通りすぎ 
 ....
数週間かけてつくった 
富士山の大きいパズルも 
遂に最後の1ピース 

・・・というところで 
頂上のましろい1ピースが 
無い・・・! 

わたしは探す 
目を血走らせ 
床を ....
地下道の便所の前に 
何も書かれていない 
真っ白な短冊が 
くしゃりと折れて 
落ちていた 

無人の通路に 
夜の靴音を響かせながら 
便所を通り過ぎる 

Tシャツの背中を  ....
利休の茶室は 
入口が小さかった 
天下を取った秀吉が 
身を屈まねば 
入れぬほど 

弟子の手がすべり 
お茶を畳にこぼす 
利休は 
(まぁ気にするな)と 
ゆるしてやった  ....
友と楽しい一日を過ごし 
反対ホームの車窓の内から 
ぼくに手を振る面々を 
列車が運び去った後 

静まり返った 
無人のホームの端に立つ 

胸のすき間に 
沁みる夜風が吹き抜け ....
夜遅く 
仕事から帰ると 
ぴたりと止まった扇風機が 
床に影を伸ばし 
{ルビ俯=うつむ}いていた 
デパートの 
古本市の会場で 
客もまばらな閉店前 

床に落ちたクリップが 
きらりと光り泣いていた 

なぜかわたしは素通りできず 
足を止め 
屈んで拾い、ポケットに入れた 
 ....
夏も近づく梅雨の晴れ間 
老人ホームのお風呂場に 
次から次へと送り込まれる 
体の動かぬお年寄り 
丸い背中をごしごし磨く 

自分の姿を鏡を見ると
いつのまに 
ずぶ濡れのTシャツ ....
忍び入る指先  
ふれる 
隠れた琴線

ふいに、漏声

女の器 
指でつまびく 
ヴァイオリン  
貧しい村の群衆に紛れ 
無数の足音の下を 
痩せ細った 
病める女が這っていた 

低い目線の前に 
舞う{ルビ砂埃=すなぼこり}の向こうで 
長い間-----  
女が ....
暗闇に立つ
金の門を抜けると 
石段を下りた{ルビ洞穴=ほらあな}に 
横たわる{ルビ棺=ひつぎ}があり 
三日前に死んだその人は 
音も無く立ち上がる 

茨の冠を額に巻き 
槍に刺 ....
降りしきる 
スコールみたいな哀しみを 
突き抜けてゆく 
Poetry

暴力の間に 
道を切り開く 
見えない力の 
Poetry

愛欲の沼に溺れ 
腐った{ルビ屑=くず} ....
幼稚園生の頃 
憧れの若い保母さんと 
いっしょに風呂に入った 
夢を見た 

20年ぶりに 
同窓会で訪れた幼稚園の庭 
 
不思議なほどに 
あの頃よりも 
狭かった 

 ....
終電前のファミレスで 
熱く語っていたきみが 
うっかりテーブルに忘れた 
空のペットボトルを  
ぼくは自分のリュックに入れた 

きみのゴミを拾うことで 
自分を少し削れたような 
 ....
古い日記の頁を{ルビ捲=めく}ると 
遠い昨日へ 
葬られた{ルビ女=ひと}の名前 

( 霞の向こうに立つ、その人影 ) 

左手首に巻いていた 
あの日の腕時計は 
いつのまに、{ ....
寄り添う民は顔を並べ 
一つの空を仰いでた 

真綿の雲に腰かける  
マリアに抱かれた幼子を 

逆さのままに
舞い降りる天使等は 
丸い顔で母子を囲み 
小さい両手を重ねてた 
 ....
転がりそうで 
転がらぬ 
歪んだ花瓶に生けられて 
まばらに咲いた 
ひまわり達 

打ちひしがれて、皺くちゃに、 
首を折って{ルビ俯=うつむ}く者。 

背丈を伸ばした頂で、  ....
夕暮れ 
母校の校庭の隅に立つ 
{ルビ巨=おお}きい{ルビ欅=けやき}に額を押しつけ 
涙を絞って泣いていた 

この木のまわりに穴を掘り 
子供だった僕等の宝を入れた 
卒業前のあの ....
ぽえむ君さんの服部 剛さんおすすめリスト(298)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
福笑い- 服部 剛自由詩707-9-2
夜ノ鈴音- 服部 剛自由詩4*07-8-31
中華食堂- 服部 剛自由詩1007-8-31
空が割れた日__- 服部 剛自由詩107-7-30
Happy_Star_- 服部 剛自由詩307-7-30
忘れもの_- 服部 剛未詩・独白8*07-7-26
虫の味_- 服部 剛自由詩11*07-7-24
蝉時雨_- 服部 剛自由詩11*07-7-19
「_人_」_- 服部 剛自由詩18*07-7-18
掌の上に_- 服部 剛自由詩13*07-7-17
腰越- 服部 剛自由詩6*07-7-15
盆ノ夜_- 服部 剛自由詩9*07-7-14
風ノ人- 服部 剛自由詩7*07-7-9
幸福のピース_- 服部 剛自由詩8*07-7-8
白い短冊_- 服部 剛自由詩10*07-7-8
茶人と将軍_- 服部 剛自由詩1*07-7-7
蜘蛛の糸_- 服部 剛自由詩207-7-4
(_無題_)_- 服部 剛自由詩307-7-3
涙ノ声_- 服部 剛自由詩207-7-2
年寄りの湯_- 服部 剛自由詩307-6-29
ヴァイオリン_- 服部 剛自由詩207-6-29
病める女_- 服部 剛自由詩407-6-28
Pieta_- 服部 剛自由詩107-6-27
eden- 服部 剛自由詩8*07-6-27
初恋のひと_- 服部 剛自由詩3*07-6-25
しずく_- 服部 剛自由詩407-6-25
浜辺の女_- 服部 剛自由詩10*07-6-25
雲の上の母子像_- 服部 剛自由詩607-6-19
「_ひまわり_」_- 服部 剛自由詩707-6-17
夜の校庭_- 服部 剛自由詩11*07-6-15

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