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小指と小指を結んで
二人は一羽になった
風を切って越えたかった
孤独という時間
失ったことなどない、と
いつしか
可笑しな錯覚に囚われて
七色の丘は見逃したのだろうか
....
つつじよ つつじ
覚えていますか
あの子も まだ ななつ
指切りの 次に 甘い蜜
目覚めるほどに あか
明日は
見惚れるほどに もも
どうし ....
夜空に{ルビ創=キズ}をつけたのは誰
遠く西の果てに
冷えた白銀の
夜空に{ルビ創=キズ}をつけたのは誰
眩暈に頭を揺らしながら
川縁が
薄く紫黒に滲みる間に
辿れば
....
泣きたい
を
こらえて
袖を惹いた
仕合せ
が
霞んでゆくから
千切れる想い
影に溶かして
あとどれくらい
幻の傍で
さくらんぼ
さくらんぼ
いつ実る
さくらんぼ
さくらんぼ
はらはら花びら風となる
さくらんぼ
さくらんぼ
そろそろ涙も河となる
さくらんぼ
さくらんぼ
....
白と黒の狭間で
{ルビ女郎花=をみなへし} 一輪 揺るぐ
その花
は
強いらしいので
ぼくは
ぼんやり見つめるだけです
忍び寄る夜 ....
雨粒
ぱく り
うんと高いビルの一番上のレストランなんかより
うんと美味しいって知ってる?
食べつくせ
食べつくせ
七色が
ごちそうさまの合図
食べつくせ
食べつ ....
後姿を追いかけて
雑木林を抜けると
ほのか温もる世界
君が道しるべ
並んで見下ろした昨日は
水面が揺らめくように瞬く
ふたりで夢をみた。
からだ寄せて ....
混じり気なく、青
淡い空
閉じ込められた真白い下弦の月は
青が滲んで
あたしとおんなじ
空模様
いま何処に居るの、と
夢枕
教えてはくれないでしょう
窓の向こう
{ルビ東雲色=しののめいろ}に染まる前に
君に逢えるとは
決して夢にも思いませんが
ほろ苦い恋の香りに酔いしれる
今夜限りの甘い夢だけは
{ルビ薄紅=うすくれない}のコスモス
花びらを摘まんだ
すき きらい すき きらい
{ルビ幼心=おさなごころ}が色めいて
スカートが揺れると陽が射した
庭のブランコ
ぎい、 ....
なびく髪に右手をかけて
岸壁で揺れる君
大丈夫よ、と言う声が
気のせいじゃなくて
確かに震えていた
けれども
僕は知らない振りを決め込んで
安堵のため息を漏らしてみせる
....
佇みし
紅に身を寄す
我が心
幼き頃より
君は山茶花
古ぼけた色
懐かしい香
記憶を焦がすのは
揺れる翠緑
透ける群青
舞い上がれ、白々たる雲
―君の後姿を追ったあの日―
ただ甘さに酔っただけ