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春の夜はね、
「公達に狐化けたり宵の春」って句を思い出すけど、
思い出すだけ、 
ここに狐はいない、
いても狸なんだよね、
それにきっと公達に化けるような、
そんな気の利いたモノノケはこな ....
目覚めたばかりの女王は
お腹が空いてふらふらで
とっても孤独なのだけれど
休んでいる暇はない

誰の手も借りず
せっせと巣を作る
部屋数は十あまり
最初はそれでいい

時は春 咲き ....
息を飲んで見つめているけど
なかなか進まない
はっきりしない黒い模様をつけた蛹から
ゆっくりゆっくり出てくる

鮮やかな黄色の甲は
蛹から出てくるにつれ
色を濃くしてゆく
でもまだまだ ....
死体は歌わない、
いや、歌わなくもないか、
ひうひうと風に吹かれて、
風葬の肋骨が歌う、
でもおれがほしいのは肋骨ではない、
きちんと歌うのは、
腕の骨でも背骨でも肋骨でもない、
きちん ....
私の肋骨は歌わない
田舎の整形外科の
ものさびしいレントゲン室で
私の第8肋骨はぽっきり折れた姿を晒す
でも私の肋骨は歌わない

だってここは21世紀の日本だから
20世紀半ばのソビエト ....
昔読んだ本を思い出した。浜辺に死体が打ち上がるんだ。人間の死体じゃないよ。怪物の死体だ。腐った死体だ。次々に打ち上がる。どこからきた死体なのか誰も知らない。浜辺を歩きながらそんな話をする。磯の匂いは腐 .... 駒込のお七付火之事、
此三月之事にて二十日時分よりさらされし也

おれは怖くてものも言えぬ
お七はさらされておるというに
あれはおれのせいかもしれぬと
口に出すことはとうていできぬこと
 ....
わたしのおばさんは
おばさんなんだけど独身だ
結婚してたことはないと思う
本人に聞いたことはないけど

おばさんちには山のように本がある
マンガも岩波文庫もラノベも
エロ小説も詩集も古典 ....
今日は満月だから
と安心して空を見上げて
国際宇宙ステーションを眺めてたら
不意に星が落ちてきた

落ちてきた星はまだ新人で
どう光っていいかもよくわからないし
流れ星になるときの流儀も ....
雨が降りそで降らない
日曜の午後は
ポテトチップ食べながら
録画しといたホラー映画を観る

夜は自然薯を擦って
遠州流に鯖と味噌で味付けて
あったかいごはんと
新鮮なまぐろと一緒にいた ....
あけましておめでとう
だいぶ長いこと正月の挨拶は
春風献上にしてたのだけど
今年から笑門来福にするの

笑う門には福来るならば
嘲笑苦笑憫笑にも
福がきていいのだわ
そうよ笑裏蔵刀であ ....
大根を千切りにする
人参を少々千切りにする
合わせて塩にしておく
サバ節と昆布で出汁をとっておく

塩と砂糖と酢と出汁を
あわせてかき混ぜる
砂糖が溶けたら大根と人参にかけて
混ぜ合わ ....
まあ読めるんよ
十代のころ滝沢馬琴とか読んだし
十返舎一九も上田秋成も読んだしな
だからまあ無理すりゃ書けなくもないんだな

幕末や明治の本も読んだしなあ
明治の本ってさ
むしろお江戸の ....
輝かしい金管楽器の音が
フォルテのまま終わる
きらきらする残響は
青い大空に解放されてゆく

音楽は終わってしまう
いつもいつも必ずどんな音楽も
残されるわたしは
大空に解放された音を ....
ベルの音が聞こえる
自転車のベルのような気がする
それにしても何度も鳴る
今は真夜中でここは2階なのに

やっぱりベルの音が聞こえる
むしろ近づいてきた気がする
もうほとんど窓のすぐ下で ....
時間に穴を開けてつなげるのが
タイムトンネルで
空間にやたら穴が開いちゃうのは
小松左京が書いてた

認識に穴が開いたら
きっと一種の認知症なんだろうし
心に穴が開いたらそれは失恋
な ....
目覚めている私の前には現れない
ずっと待っていたのに決して
出てこない気配あっても黙して
祈っても願っても姿を見せない

その名前はたくさんあって
その現象を呼ぶ名もたくさんあって
だか ....
ほうれん草の種は小さい
ニラの種は薄くてぺらぺら
菜の花の種は小さくてまるい
アボカドの種の大きさはご存知ですね

今にも飛んでゆきそうな
ふわふわした綿毛の種を買ってきて
プランターに ....
さみしいところに行きたかった
人がいなくて猫も犬もいなくて
できれば虫も飛んでこない
ああ12月だから虫はもうあんまりいないね

山の中の木陰に人影はないけど
命の匂いがみっちりするし
 ....
古ぼけた木の雨戸の裂け目から
ひかりがこぼれている
というからにはここは建物の内部
だと思うけどよくわからない

振り返ると壁に逆さに映る風景
一瞬ぎょっとしたがこれはあれだ
ピンホール ....
私たちはみんな心の王国に宝を並べる
そうっと陳列したガラスの動物園
折って開いた紙の動物園
自分だけの国、でもこっそり人と比べる

怖いホラーのようなと言われたら喜べる
病める厨二病たちの ....
ジョン・レノンの命日だと弟がいう
真珠湾の日だと連れ合いがいう
父と娘は特に意見がないようで
無心におでんを食べている

開戦の日は終戦の日より覚えとけ
と思ってはいるけど
なんで真珠湾 ....
サカシマとサカサマの違いはなにか。
もちろんサカシマのほうが不道徳にして厨二病。
ユイスマンスのせいともいえるし、
そうでないとも言える、

だって横向きという意味を持つだけだった
ヨコシ ....
こどもがトラックは大事と騒ぐ。
トラックとはなにか。
日本語ではTrackもTruckも同じだ。
そのトラックはどっちなのか。

音楽録音に関係するトラック、
それをはじめて覚えたのは
 ....
じきに年末なのでおせちどうするかと家人に話す
私の家族は基本的におせちが嫌い
それでもクワイだけは買ってちゃんと煮る
クワイはオモダカの球根だよと母に教わった

おせちは無駄に甘い(長持ちさ ....
渋柿の皮をむいた
連れ合いは包丁でぐりぐりと
私はナイフでちみちみと
とにかくたくさんの渋柿をむいた

ヘタのあたりに皮が残ってるまな板
なんてひどいと怒られてしょんぼりと
下手っぴいと ....
クリスマスは怪談の季節ですが
この国日本ではそうでもないので
お菊さんズはちょっと暇しています

お菊さんズのおねえさんであるところの
お岩さんは超然として
お正月にはまたお参りで忙しくな ....
ここは誰かの夢想した王国
映画のような風が吹き渡り
映画のような雨が降りしきり
誰かの残した夢が書割の奥

虹を越えてゆくオズより遠く
殺しても死なぬゾンビがにやり
殺さねば生きる吸血鬼 ....
何も降ってこない
そろそろ雨がたんまり降るのでも
たまには雪がちょっぴり降るのでも
きっとありがたいのに何もない

何が降っても文句言わない
カエルでもオタマジャクシでも
小魚でも肉のか ....
なんにも詩が浮かばないので
ぽかんと青い空に
真っ赤な風船を
浮かべてみる

真っ赤な風船は
すぐ青空に溶けてしまった
これではお話にも映画にもならない
せっかくの赤い風船なのに

 ....
atsuchan69さんの佐々宝砂さんおすすめリスト(57)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
怖い話を聞かせてほしい- 佐々宝砂自由詩4*25-4-8
アシナガバチ(百蟲譜52)- 佐々宝砂自由詩325-3-26
ナナホシテントウ(百蟲譜51)- 佐々宝砂自由詩4*25-3-25
骨のうた- 佐々宝砂自由詩3*25-3-18
肋骨のうた−Музыка_на_рёбрах- 佐々宝砂自由詩3*25-3-12
私達は仲良し- 佐々宝砂自由詩325-2-28
吉三郎申す- 佐々宝砂自由詩3*25-2-27
わたしのおばさん【きょうのソネット】- 佐々宝砂自由詩4*25-1-16
星の新人さん【きょうのソネット】- 佐々宝砂自由詩525-1-13
どうして詩なんか書いてしまうんだろう【きょうのソネット】- 佐々宝砂自由詩525-1-12
笑門来福【きょうのソネット】- 佐々宝砂自由詩225-1-1
紅白なます【きょうのソネット】- 佐々宝砂自由詩3*24-12-31
正字旧仮名文語体【きょうのソネット】- 佐々宝砂自由詩324-12-30
大空【きょうのソネット】- 佐々宝砂自由詩324-12-22
ベルの音【きょうのソネット】【14行怪談】- 佐々宝砂自由詩224-12-21
穴【きょうのソネット】- 佐々宝砂自由詩3*24-12-20
それとしかいえない【きょうのソネット】- 佐々宝砂自由詩124-12-18
種【きょうのソネット】- 佐々宝砂自由詩3*24-12-17
冬ざれ探し【きょうのソネット】- 佐々宝砂自由詩424-12-13
逆さの庭【きょうのソネット】- 佐々宝砂自由詩224-12-12
デジタル怪物園【きょうのソネット】- 佐々宝砂自由詩524-12-11
12月8日に。【きょうのソネット】- 佐々宝砂自由詩224-12-8
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トラック【きょうのソネット】- 佐々宝砂自由詩124-12-4
クワイとクワイ河マーチ【きょうのソネット】- 佐々宝砂自由詩2*24-12-3
おいしくなあれ【きょうのソネット】- 佐々宝砂自由詩224-12-2
お菊さんズ- 佐々宝砂自由詩124-12-2
映画のような【きょうのソネット】- 佐々宝砂自由詩224-12-1
降ってこい【きょうのソネット】- 佐々宝砂自由詩324-11-30
浮かべてみる【きょうのソネット】- 佐々宝砂自由詩324-11-29

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