鏡に映る自分の立ち姿にあなたの面影を重ねる。
 こんな秋の夜長には。
 
 家中の時計が鳴り響く。
 おまえは時を刻んでいればよいものを。

 ポーの描いた大鴉か、リヒテルの奏でるラ ....
   羽


 とんぼが旗竿の先にとまつてゐる。

 セルロイドのやうな羽の一枚が、半分切れてゐる。

 緑の縞の入つた黒い胴を一定のリズムで上下させ、三枚半の羽を震はせながら、とんぼは ....
 北欧の地の寒空にカモメが何羽も飛んで行く。
 機嫌を損ねた海原に彼女の顔を重ね見る。
 愛は飛んで行った。
 この悲しみはなんだ。

 共に過ごした年月に期限などないと思っていた。
 ....
 日本の庭に金木星が匂い立つ。
 鼻腔への刺激に私の心は宙に浮く。
 ほんの少しの優しさを取り戻すと、
 明日への希望が胸を透く。

 一人の友人が去ってゆくと、
 二人の友人が現れる ....
  神様、どうか私を見捨てないで下さい。

 心に悲しみ満ちて、静かに訪れる夕暮れに頭を垂れる時、
 一人きり、森の奥深くにある小さな教会に足を運ぶ。
 
 重たい扉の向こうに見える木の ....
 時代という鐘がなって、僕は生まれた。
 コンクリートで固められた部屋には窓がひとつあって、そこから海が見えた。
 そこには髪の長い女の子がいて、自然と二人並んで海を見ていた。
 海の音も風 ....
{引用=悪徳商法}
架空請求書が送られて来た
金額は自分で書き込むようになっている
魂の値段と 生の負債総額
その差額を生きている間に振り込めと言う

この後なに一つ善行をする予定はない
 ....
斧で木を切る少女の夢を見た
ノースリーブの白いワンピース
振り向きざまにわたしを見て
少女は霧散した
夢の中にわたしを置き去りにして
顔は思い出せないが
少女の目にわたしはどう映ったのだろ ....
水の空へ落ちる蝉
十全に ささやかに
冷たい太陽がコクリと飲んだ
――句点はどこ
滔々とただ滔々と
置き去りにされ
ことばは向こうばかり見て



             《句点 ....
樹木に絡む細い雨
しっとりした芝生
鳥たちの早すぎる朝の歌
あなたは夢見る髪の渦
傘を差そうか差すまいか

照り返す水の雲
ほどけ去る踊り子の
糸つれひとつ引くように
白いけむり青く ....
  お前は夢を見ているのか。

 緑に囲まれた小さな庭の片隅。
 日陰に置いた籐椅子に腰かけたお前は優しく眠っていたのだ。
 
 静かな寝息を立てているお前に私は小声で語りかけた。

 ....
雨上がりの朝
二羽のカラスが二羽のスズメを追いかける
食うための 食われないための空中戦
右に左に離れては交差して
建物の陰で見えなくなった
が出て来た一羽の嘴には何かが挟まっていて
今度 ....
ナナカマドのひび割れた樹皮に触れる
シロツメクサやセイヨウタンポポを撫ぜる
ダンゴムシを摘まみ上げ掌で転がしてみる

変わらないものたちの
質感の 希薄さに
抗う という ささやかな自慰
 ....
 さっきまで明るかった空が暮れてゆく。
 家路へと急ぐ人達に紛れ込み、今日も一日が終わろうとしている。
 暗がりの中、明かりが灯された電車の中で私は孤独だった。
 誰かと話したい訳ではなかっ ....
もう忘れてしまうかもしれないから
書こう
今すぐ書こう
心は自在に滑空し
とどまることを知らない
体はこんなでも
心は自由
だから
生きたい
もっと生きたい
歌声重ねて
歌声重ね ....
頭をいくら固くしても
心はそのまま
言葉の持つ意味は不動でも
渡す者
受け取る者
ふれる心はやわらかい
絹豆腐みたいに崩れたり
卵みたいに中身が漏れたり
隅々まで波紋を広げ
丈夫な外 ....
思い出には勝てない
どう転んでも勝てない
哀しみよこんにちは。

哀しみよこんにちは。
 自由。それは広大な草原を駆ける馬。
 自由。それは大海原を切り裂く帆船。
 ほんの少しの自由を得る為には
 愛されるより愛する者でいることだ。

 人生。それは成功と失敗。
 人生。 ....
とにかく生きていようと思う。
生きていれば
解らなかったことも
解るようになることもあるから
粘り強く
しなやかに
生きていこうと思う
時間が解決することもあるから
喜びを享受できるの ....
梅雨の晴れ間が
美しく輝いている
ありがとう
君のお陰で
僕はたくさんの事を学んだ
とてもうれしいよ
苦しみにさえ意味があった
哀しみにさえ意味があった
いよいよ僕は学んで行くだろう
 ....
 美を描くノートは未だ白く、
 夜と朝の狭間でゆらゆらと揺れている。
 美の中に優しさを忍ばせて、じっと待つひと時。
 窓から望む街路灯が不規則に消えてゆく。

 淡い夢のような微睡が訪 ....
 青く澄み渡る空の下、高原の塔の前に立つ。
 息を吸い込むたびに体が宙に浮いてゆく。
 時代を遡るかのように。
 過去を愛せるようになればきっと未来も明るくなるだろう。

 ラベンダーを ....
 新しい時計が時を奏で始めている。
 今日海へ行った。
 あなたは無邪気な子供のように、小さなカニの居場所を僕に告げた。
 湿気を含んだ海風が僕らを包んだ。

 さようなら、僕の遠い日。 ....
 悲しみは風と共に去り、苦しみが嵐と共にやって来る。
 ひと時の微睡は幸福だった。
 人の心は無防備で、一輪の花のようだ。
 花弁が一枚ずつ剥がれてゆき、やがては枯れ果てる。

 寂しさ ....
 寂し気な横顔に紅玉の涙。
 野良犬の遠吠え。
 都会で感じる孤独。
 湖面に広がる波紋。
 雪解け水の流れる小川。
 都会と田舎の狭間。
 煙草で補う時間の浪費。
 尖った神経の矛 ....
 桜舞い散る晩春の朝だ。
 風は未だ冷たく、貴女の頬を赤く染める。
 故郷の庭では椿が咲き誇る。
 ストーブの上ではやかんが湯気を吹いている。

 頬を染めた貴女はいつしか私の手を握る。 ....
 新しい明日を迎える為に今日という日のスーツを脱いだ。
 街角の雑踏、裏通りの饐えた匂い、散乱する生。
 風のように過ぎてゆく時を眺めると、欠伸が出る。
 今日も懸命に生きた。

 充実 ....
 そこにいるのは誰?
 森の入り口で僕は小さな叫びをあげた。
 昨夜からの雨の上がった朝だった。
 風そよぐ緑の中で気配は続いていた。

 君は僕の味方?それとも・・・。
  味方かど ....
 巡る季節の儚さは闇夜に隠れた月のよう。
 一人娘の待つ家に抱える苦悩の薄化粧。
 橋の欄干飛び越えてその身を投げる決心も
 ひと時待てば揺らぐもの。
  
 支えはあるか?いや、ない。 ....
 聞き覚えのある旋律に耳を澄ますと白樺の林が見える。
 よく冷えたアールグレイを静かに飲み干す今日の朝だ。
 旅から帰った私の半身が私を書斎へと誘う。
 白紙のページに厳かに書き下す旅日記。 ....
朝焼彩茜色さんのおすすめリスト(5109)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
どこかのレクイエム- ヒヤシン ...自由詩11*18-10-27
羽・廊下・絵本- 石村自由詩24*18-10-22
透明の地- ヒヤシン ...自由詩6*18-9-23
秋への入り口- ヒヤシン ...自由詩5*18-9-23
ガヴォット- ヒヤシン ...自由詩4*18-8-24
時代の鐘- ヒヤシン ...自由詩4*18-8-11
終りに三つ- ただのみ ...自由詩13*18-8-8
転寝- ただのみ ...自由詩8*18-7-28
句点- ただのみ ...自由詩8*18-7-18
皮膚に隠れて- ただのみ ...自由詩9*18-7-14
午睡- ヒヤシン ...自由詩10*18-7-14
ヒューマニズム- ただのみ ...自由詩4*18-7-11
質感- ただのみ ...自由詩4*18-7-7
海街- ヒヤシン ...自由詩6*18-7-7
感情- 渡辺亘自由詩118-7-5
やわらかいもの- ただのみ ...自由詩6*18-7-4
おもひで- 渡辺亘自由詩318-6-25
創造~彩る者- ヒヤシン ...自由詩8*18-6-16
生きていればわかることもある。- 渡辺亘自由詩518-6-15
今日の日は記念日- 渡辺亘自由詩318-6-12
欲望~詩作- ヒヤシン ...自由詩5*18-6-9
塔と鐘- ヒヤシン ...自由詩5*18-5-26
新しい時間- ヒヤシン ...自由詩5*18-5-18
五月の。- ヒヤシン ...自由詩5*18-5-12
再起- ヒヤシン ...自由詩4*18-4-28
幸福~晩春の朝に- ヒヤシン ...自由詩4*18-4-14
見えない明日- ヒヤシン ...自由詩3*18-4-14
そこにいるのは。- ヒヤシン ...自由詩8*18-3-24
美誠を築く- ヒヤシン ...自由詩9*18-3-10
徒然に~白樺の林の中で- ヒヤシン ...自由詩2*18-3-10

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