1

鎖骨のようなライターを着火して、
円熟した蝋燭を灯せば、
仄暗いひかりの闇が、立ち上がり、
うな垂れて、黄ばんでいる静物たちを照らしては、
かつて丸い青空を支える尖塔が ....
“私らしさ”も“信念”も“生き方”も
自分自身の存在さえ
体調一つで変動(かわ)ってしまう
  
私って何? 私って何?
  
最後には体が終わって
無くなってしまう
  
私って何 ....
暮れかかる
陽の手は伸びて
居ならぶ雲を
染めあげる
夜の扉をひらくため
灯された
あかりのように

瞬き、
という行為の
間に間に見える
人と人を結ぶ
曖昧な影
「優しさ」 ....
  1 眠り

朝の眩暈のなかで、
一日の仕事を終えて、疲れ切ってから――、
職場に出かけても、
そこで、わたしにできることは、
只、泥のように眠ることだろう。
(そこには、青い灯台が、 ....
      1

夥しいひかりを散りばめた空が、
みずみずしく、墜落する光景をなぞりながら、
わたしは、雛鳥のような足裏に刻まれた、
震える心臓の記憶を、柩のなかから眺めている。

(越 ....
蒼い海峡の水面に、座礁した街がゆれる。
煌々と月に照らされて。
わたしが走るように過ぎた感傷的な浜辺が、
次々と隠されてゆき、
閉ざされた記憶の壁が、満潮の波に溶けて、
どよめいては、消えて ....
唇噛んできみは
嘘つきだね
本当は泣きたいくせに

街灯りに雨は白く煙って
アスファルトに伸びた
影を揺らしてる

黙ったまんまで
何を見てる
何を探してる
言葉に出来ない
夜 ....
       1

十二月の眠れる月が、遅れてきた訃報に、
こわばった笑顔を見せて、
倣った白い手で、ぬれた黒髪を
乾いた空に、かきあげる。
見えるものが、切り分けられて――。
伏せられ ....
        1

寒さが沸騰する河岸に、沿って、あなたの病棟は佇む。
粉々に砕けた硝子で、鏤めている実像が、
剃刀のような冷たい乳房のうえに置かれる、
吊るされた楽園。
顔のない太陽は ....
何も
聞こえないふりをした

何も
見えないふりをした

周波数が合わない
自分だけじゃないだろう

頭の中のノイズ
消したくて
カーラジオのボリュームあげる


優しすぎる歌声に
そんな頃もあったね ....
    1 追憶の街

(そこを曲がると目的地だ。
(たくさんのヒヤシンスの花が僕たちを見ている。
(そう、あの青い塔のある丘まで競争だ。
(君の長い髪がそよかぜにのって
(春を歌っている ....
       一

観葉樹が、かぜに揺れて、嬉しそうに笑いかける。
笑いは葉脈のなかに溶けて、
世界は無言劇に浸る。
映像のように流れる無言の織物。
かぜが、喜劇に飽きるまで、永遠を飽きる ....
一、 某月某日 冬

凍る雨を浴びつづけて、一年を跨ぎ、
わたしの頬は、青ざめて、
虚ろな病棟の、白い壁に残る、
黄ばんだ古いシミに親しむ。
難い過去を追走する暗路を、
エタノールの流れ ....
ひかりの意志は、古い細密画の粗野を洗い、
陰影の微動を深めて、写実を濃厚にめぐらせる。
信仰の果てしない夢を、
高貴な光彩の眩しさのうえに、
振るい落として――。
古典はイスパニアの春を謳う ....
深くみずをたたえて、湿度を高位にくばり、
森に沈みこむ薄化粧の木霊は、
香ばしい季節の賑わいを、端正に、はおり、
浮かび上がるみどりに浸る、
眩い光沢を、透き通る声の上に配して。

流れる ....
なんだか疲れてしまうのだ

徹夜明けのこの時間 月が沈み太陽が顔を出す時間

チッチッ と小鳥がさも清々しい朝を演出しているかのような錯覚に陥る自然の摂理を懐疑的に見る自分がいる

カーテ ....
海が仄かな火を抱いて流れる。
流れは、わたしの新しく柔らかな意匠を溶かして、
かわいた青い夏をひろげる。

みずを失くした海が流す、青い夏は、
白昼の街に横たわり、死者を語り、
練られた風 ....
戯れる森の雫が、
ひとびとの拍手のなかで、静かに横たわる。
あなたの流れる姿が、
森の節目に、厳かに薫り立つ。

標高をあげている森は、
巧みに感度を敷きつめて、
わずかに彩色を動かしな ....
運命なんかに負けられないから
歯をくいしばって
笑顔をつくって生きて来たの
でも あなたの胸で
ほんの一瞬休ませて
その瞬間(とき)が来るまで
歯をくいしばって
笑顔をつくって生きていく ....
ひかりをふところに浸す、
みどりのまるみが、いのちの数式を
一面につめこんだ、
萌え上がる、眠れる森に、鬱蒼と、
うすきみどりを染め上げて。
満たされた隙間を、みずいろの風が、繰り返し、
 ....
もずくを食べていたら
小さな小さな
貝が出て来た

何だかとっても
素敵なことに思われて

小さな小さなその貝が
私に幸せをもたらしてくれる
神様からの使者に思われて

私はその ....
今日も太陽が
東の空から昇った

弱いけれども優しい
冬の光が
私の窓にも差してくる

生きてて良かった
新しい朝を迎えられて良かった

ありがとう
優しい恵みを


   ....
未来はいらない
明日もいらない
今日もいらない

ただ 今
愛と生命(いのち)の輝きを
私に下さい

愛穂(19歳)
未来じゃなくて
明日じゃなくて
今日じゃなくて
ただ 今を生きたい

    愛穂(19歳)
遠ざかる青いカンパスの咆哮が、
夜の鋭い視線に切り裂かれて、
街は、暗闇の静脈を流れるひかりのなかで、
厳かに再生されてゆく。
落下し続ける星座の森が、映し出されている、
高層ビルの滑らかな ....
もう 疲れ果ててしまったから
負けを認めて
闘いをやめてしまえば
楽にはなれるけれど

私一人の闘いではなくて
いつの日か出会う
あなたのための
闘いでもあるから
転んでも
涙が溢 ....
私は今日も生きました
あなたも今日を生きました
ただ そのことが 嬉しい

      愛穂(19歳)
人の数だけ 悲しみがあり
人の数だけ 喜びがある

涙は 喜びを覆い
笑顔は 悲しみを溶かす

喜びの数だけ 涙があり
悲しみの数だけ 笑顔がある

生きている限り
数え切れない程 ....
失踪する雑踏――葬られてゆく錯綜する都会の鼓動が
不整脈を晒している。
失踪する現実――訪れるものは、立ち上がらない
睦言の形骸だろうか。
黒い朝焼けを掴み取るまなざしは、
凍りつく陶酔の血 ....
抱きしめて下さい…私を
幾億の言葉より
温かなぬくもりを下さい

何も言わないで
何も聞かないで

ただ 強く、優しく
私を抱きしめて下さい

     愛穂(18歳)
乱太郎さんのおすすめリスト(8217)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
浮遊する夢の形状____デッサン- 前田ふむ ...自由詩28*07-1-24
不確か- 愛穂未詩・独白107-1-24
あかり- LEO自由詩31*07-1-17
二つの灯台__デッサン- 前田ふむ ...自由詩20*07-1-11
不寝番—みずの瞑り__デッサン- 前田ふむ ...自由詩28*07-1-3
遠雷—解体されながら- 前田ふむ ...自由詩24*06-12-23
song- LEO自由詩22*06-12-18
廃船——夜明けのとき__デッサン- 前田ふむ ...自由詩29*06-12-16
永遠のむこうにある空__デッサン- 前田ふむ ...自由詩25*06-11-24
ノイズ- LEO携帯写真+ ...12*06-11-21
三つの街—浮遊する断片- 前田ふむ ...自由詩18*06-10-24
浄夜——遊戯する断片_デッサン- 前田ふむ ...自由詩18*06-10-9
青い声が聴こえる日___デッサン- 前田ふむ ...自由詩19*06-10-2
ひかりの憧憬- 前田ふむ ...自由詩16*06-9-27
森の経験- 前田ふむ ...自由詩19*06-9-13
altostratus- 梔子自由詩106-8-28
青い夏- 前田ふむ ...自由詩15*06-8-8
森の浪漫- 前田ふむ ...自由詩15*06-7-20
その瞬間(とき)まで- 愛穂未詩・独白306-7-10
森の断章——デッサン- 前田ふむ ...自由詩21*06-7-9
小さな貝- 愛穂未詩・独白206-7-5
- 愛穂未詩・独白206-6-25
今_私に- 愛穂未詩・独白206-6-24
ただ今を- 愛穂未詩・独白206-6-22
いのちのいる場所- 前田ふむ ...自由詩16+*06-6-16
小さな決意- 愛穂未詩・独白306-5-24
今日- 愛穂未詩・独白306-5-17
涙と笑顔- 愛穂未詩・独白206-5-12
おもいで——よみがえる記憶- 前田ふむ ...自由詩11*06-5-11
ぬくもり- 愛穂自由詩406-5-8

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