混ざる草いきれ、煙。 誰かの吐息と、君の吐息。 嗅ぎ分けるには 夏は 向いてない。 空気、尖っていない。
数個目の打ち上げも、 不発。 誰かのため息と 君の、嘲笑い声。 それは 聞き分けた、 聞き分 ....
青く微かに揺れる紫陽花
呆けた顔して立ち尽くす人
全てが忘却された雨上がりの朝、
男は綺麗に髭を剃り
キャベツを買いに街に出た
何かを忘れても
今はあり
つながっている
さまざまな今を
味わう
{引用=※五行歌とは、「五行で書く」ことだけがルールの、新しい詩歌です。}
天から、黒い玉が落ちてきた
これを転ずることができるのか
紅白の梅の間を、雀がひとり
世のしがらみを解かれて
地面の上を翔んでゆく
目線の先に塀は近づき
道は曲がる
未知なる明日の方角へ
{引用=
_ -
.
もしもそれがいまや失われて
とりもどせないものだとして
そこなわれたものがあるなら
....
{引用=
。 •
針樹の翅が 、はためくとき 、
とうめいの空には 、宛のない日々の輪郭が
....
光の文字を裏返し
水の警笛 真夜中の息
窓をすぎる 蛇の横顔
墨の季節 矢印の季節
朝も午後も夜もなく
曇りの音に満ちている
ひらくことのない雨の手のひら
冷えた ....
季節を食べ終えて妖精は床下に眠る
たてものの屋上から見える木
その枝の集まりにはカラスが眠る
昼間、子供たちに小石を投げつけられたのだ
ときおりの短い夢にぶるっと身震いしながら眠る ....
中庭と廊下に
誰も居ないことを確認して
使うことのない鍵を握り
少しだけ明るい裏庭に出る
低い草と
色の無い花の間を抜け
影の無い径に出る
薄暗く揺れる午後に ....
手指の爪に光の針が立ち
関節に光の毛がそよぎ
風に当たると消えてしまう
視界が
少しだけ苦しくなる
一日の襞をなぞるように日は翳り、あわただしく光は綴じられていく。
万遍のないあからさまな炎天の午後、しらけきった息、それらが瞬時に夜の物音にくるまれる。光のない世界のなかで、何かを照らすあか ....
{引用=カラスのギャロップ}
北国の春は犬連れでやって来る
ぬかるんだ地の上を
着物の裾を汚しながら遅れてやって来る
太陽は雌鶏
ぬかるみが半分乾いたころ目覚ましが鳴って
あとは忙しく吹い ....
傷口に触れないこと、これは治癒するためには大切なことなのかもしれない。会話を発することで、何かが変わるとは思えず、私と妻は口を開くこともなかった。
土曜の早朝、私は五時前に県境の無人駅に出向き、 ....
僕は親指を立てて
あなたの顔に、見せる
しばらく忘れていた
Thumbs up の合図を
あなたに
僕に
この夜に
フェイスブックに
ツイッターから
インスタグラムまで
誰 ....
今年の冬は暇な時間が多くあり、読書に勤しんだ。本来、読書は楽しむものであり、勤しむものではないだろう。
平井図書館長は本好きであると紹介させていただいたが、繰り返し少々彼を紹介する。図書館長とい ....
いたるところに在る
きらきらとしたもの
忘れてほしい
ふたつの景色
雪を呑んだままの朝
音もまた呑まれたまま
聞こえるものは無く
火の穂は降る
両腕 ....
朝、起きる前の布団の足下に
ダウン症児の息子が入ってきて
妻がぱちりと、写真をとる
頭上の壁には
ミレーの「晩鐘」
(一日の労働を終えた夫婦の祈り)
窓から朝日をそそがれて
....
かつて、見たことのないような夕暮れに
わたしたちは影の、点描画にされてゆく
その横を、すり抜けるものがある
宴の、終焉を迎えようとしている
冷めきった夫婦間を
取り繕うように動くものが、 ....
吃水線ぎりぎりののうたをきみは歌う
大人になれないことをわきまえている
誰もが誰かの子供なんだもの
旧い友だちが訪ねてきた気がして
俺はうっかり夜の扉に手をかけた
友だちは俺を素通りして
何食わぬ顔をしてこう言った
やあ、初めまして気分はどうだい?
お前のおかげで、最悪さ
夜に意味を求め ....
かたり。音がするから置き場を探して、そこじゃない、そこじゃない、と帰る場所が消えてゆく。昨日までいた場所に、君がいないのならば、もう。
雨降り。夜の八百屋、メロンとむきだしの ....
くろい函に
颱風がつまっている
ガラス製の 記憶より小さな、
そのよるがふるえるのをわかると
これは宝ものなのかもしれないとおもう
血液の、くろい川の
....
思い出は
こころを流れる
逝川です
人は生きる
思い出と共に
{引用=※五行歌とは、「五行で書く」ことだけがルールの、新しい詩歌です。
※【逝川(セイセン)】とは、
....
時速16キロの自由はとてもやさしい
細分化されない感覚が基調演説する共和国のユートピア
孤独や言葉が加速されない世界に
きみのスクーターがポイントして
僕だけが時速100キロで仕事しな ....
詩人はたまに発掘される
死人はときたま以外には埋葬される
しょーもない音楽が僕のちからならば
ときどきとおるきみの声がとてもいい
貫通しないトンネルはいまもあって
とても大好きな僕の ....
ひつじ雲はあんなに夕陽に映えて
街の建物はみなオレンジ色に染まり
見知らぬ異国になってゆくのに
君はやわらかに目をつむって
まだ見ぬ海の語りに耳を傾けている
僕には微かにしか聴こえないか ....
ちょっと待ってね
という間に五行は終わって
つぎの五行を考えている暇人は
たぶん僕ぐらいだろうな
五行の緩さがとても好きです
みえないものを可視化するのが詩人ならば
いつかぼくもその列に並ぼうとおもった
いつか詩人になれるのならば
そういう人生を選ぼうと想った
誰も容易い戦場にはいないのだが
もう哀しみをく ....
時は傷
風は闇
虚空に揺れる鞦韆
水の衣装の傾きをたどる手から
こぼれるやわらかい音符
三日月の尖端から滴る
蜜
( ( ((波 ....
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