やわらかく流れる小川わたくしのちひさな闇にきらめくひかり
クローバー探して回る少年と少女の絵画にみとれるぼくら
ぼくたちのこの関係を奪うのが風なら運び来るものも風
河原に ....
夜は死ぬ
その中に秘密を宿らせたまま
ふたたび夜が生まれ変るまでの
小さなひととき
人は夜がその死に際して降らせた
ばらばらの
暗い破片を
胸に突きさしたまま歩く
何かおかしい
どう ....
雨の中
彼は一人
一人彼は雨の中
雨の粒の櫓の下で彼は
一人濡れている雨の粒の櫓の下で
そのゆれる髪も手も櫓のような雨の中で彼は
濡れた髪も足もゆれる雨の中でかすれ ....
胃のまんなかで
大きな足音がする
革靴に蛍光灯の色を
うつらせながら
足踏/トプトプ
胃のまんなかは
ずっと重くて
ずっと熱い
うんと胃を震わせて
追い出そうとしても
ステッキ ....
暖かな雨に追われて迷い込み君と出会った六月の町
徒に花びら数え占った恋の行方を君も知らない
花は花やがて綻び散るものの定めの前に花鋏有り
裏庭でか ....
何を書き何を消し去る踏切夜
目の前に灯し火の音ひらく雨
歩む背に消し炭の夜やわらかく
描き出す描くともなく描く夜
春のうた頭上の夜に触れてゆく
....
何十年 経てど心は 角だらけ
朝おきて のっぺらぼうが ひとり居る
ふんばって 何も出て来ず もう四日
乳酸菌 喉にぎざぎざ 突き刺さる
預言で ....
はじめて詩を読んだ時
若くて とてもかわいいと思った
しかし しだいに冴え
凍るような苦痛 けど
美しさをまして
貴女は 詩を うとんじていた
悲痛な思いを記す事を 嫌悪し ....
自転車にひょっとこ
荷台ボロボロ
俺、激しくペダル
自転車にひょっとこ
走れ
俺号
うおーっ、うおーっと雄叫び
おまえの背中が春に似ていて、俺
自転車にひょっとこ
泣けるねえ ....
宙を舞い
クルクルと円を描く
透き通った瓶が
床に当たって
砕ける
ロンドを踊り続ける道化師と全裸の美女
その周囲を舞う俺の精液に群がるハエの飛翔によって生まれた
目覚める ....
あなたのこと、見つめてもいいですか?
手のひらの小さな水溜り
そこにかすかに映るあなたの横顔、見つめていてもいいですか?
水溜りの水が手のひらからなくなるまでのわずかな間
あなたの横顔、見 ....
雨上がり湿った空気
屈折した気持ちで見上げる空に
描かれた虹の橋
一つ悲しみを乗り越えるとき
失くしてしまうものがあるとしたら
それはある種の光なのかもしれません
吸収して拡散 ....
また一つ
約束を破った
夕涼む縁側
うちわ
ねつ
におい
笑うしかないと
娘は知っている
放送室では今、とてもいやらしいことが行われている
マイクの編み目一つ一つ、アンプ、インジケータ
視聴覚室で上映されているビデオ映像
ズームイン、ズームアウト、駆使される技術
....
「僕らは彼らのように毎日そばで触れ合うことはできないけれど」
「僕のわがままだけど」
「君とずっと一緒にいたい。僕の心のそばにいてほしい。」
「大好きだから・・・愛してる」
好きなのに ....
うぽぽぽ。ポっポポ。ぽこぽこポっ!。
ぽいんと。ぼいんと。すぽぽぽん!。
うにゃらごもごも、うんぽこぽっぽっ!。
うんぽこにゃらにゅら、にゅらぽこぼん!。
ぽいんとぽいんと ....
眼を閉じよ
どんな風景が
どんな制裁が
君をここまで連れてきたのかを想像せよ
踏みつぶされた
ひとつひとつの物語を噛みしめて
陽の下でのあらゆる可能に背を向けて
夜の中での不可能に随伴す ....
あ、あー、あ。
ニューステージでは、悲しいこともあるよ。
雨振ればバラバラでもう元に戻せない、けれど今日、暗い夜の丸い月の射し込む光、そして負。ぼくらの足音はひどく響いて ....
山の端にさそり座一つずつ昇る
釣り針の尻尾が銀河を吊り上げる
文字盤を重ねて二つの柄杓時計
麦と真珠 腕をそらせて指ししめす
冠をひとに贈りたがったひと
冠をひとに贈りたかったひと
....
こせぬ めざめ ゆらし
ふすめ はだに まわる
ねがう つどに かぶる
そえぬ みちの むこう
とどめ られぬ くせを
せめる むねの きずを
とおに かくす ほどに
....
どこに
どこへ?
見あたらない確かなものって何?
環状線で、きた
絶望のままにか
よれよれのTシャツで
ふらふら歩く
悲惨の影も見当たらない曇り空の遠く
頬がピクピクけいれんす ....
なくもんか!
大声あげて泣きじゃくる君の少し離れた部屋の隅
ボクは天窓から見える月に向かって固く誓う
だって
男が泣いたら格好悪いじゃないか!
ボクが泣かせたのに泣けるわけないじ ....
使い古された洗濯機から
排水ホースが引き抜かれた
水曜日の朝
子鬼だろうか
幽霊だろうか
革命 だろうか?
色落ちした青いシャツ
引き裂かれたピンクのハンカチ
絡まった男女の下 ....
貴方の呼吸を妨(さまた)ぐことを
私は望まない
貴方が
私の為に
費やす時間を
私は考える
貴方が眠りたいなら
眠って欲しい
貴方が欲しいなら
求めて欲しい
私が
た ....
確かに
すべての物語は 語られた
それは真実
疑うことの出来ない 真実
だが
人々の ひとりひとりの
それぞれの物語はいまも
日に
夜に
生まれつつある
やがて
歩くものとなる物 ....
ねぇ ジョアン
その美しいものは何
私はそんな綺麗なものを知らない
夢すら見ない
私には君の持つそれがわからない
ねぇ メアリ
その醜いものは何
私はそんな醜いもの ....
チョークの淵を遊ぶ子
意味のない歌を歌う
それはそれは怖ろしい歌
それは 怖ろしい歌
ひとつだけ覚えている言葉
「真昼の月を描きなさい
力は要りません
知恵も要りません
....
つぎはぎの笑顔
目を閉じた笑顔
ひらくたびに変わり
ひとつ前のかたちに
重なりゆく笑顔
鳥のようなさよなら
午後の水たまりの道を飛ぶ
雲ひとつなく まばゆさもなく
....
てめぇの詩を覚えるより
その教科書を覚える方を選ぶんなら
詩人なんざ辞めちまえ
詩人なんざ 辞めちまえ
なじまずに 赤は 錆びる
焼けて 触れられぬ やすらぎ
いいわけのような 暖かい 風
うつけた雲 てん てん てんつき
投げだされても 守る 思い詰めた大地に
立つ事だけが ....
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