隙あらば寂しいと言おうとするこの口を
誰か縫いつけて下さい
私が言うことで傷つく人がいるだけで
何も生み出さない
この言葉を
誰か縫い付けて下さい
一人眠る冷たい布団
ど ....
金髪の中年
若い未亡人
ぎこちない青年
3人はうどんの出る喫茶店で
食事を共にしていた
丸テーブルの真ん中に
輪菓子(ドーナツ)が置かれていた
スポンジの空洞の上で
3人は ....
檸檬は今にも飛んでいきそうな色と
形をしているけれど
決して空を飛ぶことはない
朝、テーブルの滑走路で
街灯がちかちかと合図を送ったので
家へ帰ることにした
これといって何もない一日の
夕暮れの空はやっぱり綺麗で
一昨日 昨日 今日 明日 明後日
一直線に繋がっていく
ただ それだけ ....
もしも私に貴方好みのしっぽがあれば
私を愛してくれたかしら
ふんわりふわふわのしっぽがあれば
独りの寂しさ無くなるし
あたたかふんわりで
貴方を包んであげれるのに
怒った時はぴ ....
そこにプールがあって曙と泳げる。
肥満体おどらせて水飛沫をあげる。
可愛くてたまらないまるで嘘のような
滑らかな褐色の肌をしたオンナ。
残された人間の時間感じながら
オトコの命の ....
まあるいね
こんもりと
きいろいね
くっきりと
わらってる
うたってる
さぼてんの
はちのすみ
はるですよ
はるですよ
ここにいま
いきてるよ
貯金箱のサルには
わからなかった
食っては出し
出しては食っても
狼色のコインばかり消化不猟で
胆のうにヒシヒシと溜まっては
廊下に流れてゆく
遠くそびえる針の穴にまつわって
おじ ....
あの日
僕の夜空は燃えた
僕は君を許せず
君も僕を許せず
裏切りと涙の
炎が燃え立った
僕は酒も飲むし煙草も吸うけれど
憎悪に近い炎を
一杯の酒で流せるはずはないよ
....
僕の欲しかった
犬のぬいぐるみ
お母さんが
買ってくれたんじゃだめなんだ
お父さんに買って欲しかったんだ
僕は
お父さんを写真でしか知らない
天にいるのか
地にいるのか
....
ここではないどこかへ飛んで行きたいのだ
ずうっとそう思いながら生きてきたのだ
プールの中で仰向けに空をみあげて
おおきく息を吸いこんで溜息ついて
からだにまといつくなめらかな水の揺れ
....
もう
行過ぎてしまったのでしょうか
継ぎ接ぎを当てながら乗り継いで
ここまで歩いてきたけれど
風の叩く音に急かされて
窓を開けて覗き込めば
色と色とが混ざり合った空が
時間の流れ ....
あめあがりの
まちはしっとりして
やさしい
のうたんが
ひろがっていた
きみはときおり
みずたまりに
ぱしゃん、としずくを
はじけさせて
....
冬と春の間に
何がある
俺の場合
別れがあった
忘れられないと
男を追う女
忘れられないと
女につきまとう男
そう
忘れるのは難しいぜ
気付 ....
式に歌う最後の曲は
嬉しさと寂しさで
下手くそになるね
仰々しく受け取った
証書もただの紙切れかもね
これっきりの帰り道
証書の筒を振り回して
今まで
たいして好きでもなかった ....
黄色
ただ一面の
春混じりの風に揺れ
さらさらと
ぱっと明るくなったようなその中に
ぽつんと一人立ってみると
どこが始まりでどこが終わりで
なにが理由でなにが結果で
それば ....
その目は空を見つめるばかり
見えない何かに追い詰められ
見えない何かを常に恐れてる
{ルビ孫娘=わたし}の声も届いているのかいないのか
間違いなく{ルビ嫁=かあさん}の声はもう届かない
....
―夢々語るまいぞ 天下のことは
しばし女房の膝枕― 98・7・3 星幸一
薄暗いカラオケクラブの片隅に陣取って
五十六歳役職定年を迎える星がいて
箸袋の裏側に書き綴った辞世の ....
いま全てを弔うために
一つの歌が降りてくる
それは風にのって柔らかく
全ては安心して死んで良い
そして私は一粒の悲しみを
小さな微笑と淡い幸せとを
火にかけて燃やすだろう
遺され ....
うでを くむより てをつなぐほうが
すきな あなたは きょうも
わたしの みぎてを とった
あなたのての あたたかさが
どれだけ わたしを しあわせにしたしらないでしょう
うでを くむよ ....
ハロー、ハロー
周波数はあっているか、こちらはDJ
十三年ぶりに新種のサンショウウオが発見されたそうだよ、皆さん
サンショウウオが好きなDJとしては久しぶりに嬉しいニュースだ
寒い日が続く ....
知られたい秘密だってある
けれど口を一の字に結んで
茶封筒と共謀し
あの人の妻 の
手元をすりぬける
キッチンのテーブルでは
ブティックのダイレクトメールが
あの人の妻 に
....
細かい雨が明るい空から降っていた
私はそれを両手ですくい取ってみた
今この掌の上の雨粒も
毎日私から湧き出す想いも
どこか遠いところに染み込んで
いつかはまた私の前に辿り着くのだろう ....
春の嵐みたいな日
俺は出かける
黒い薄手のセーター
黒いジーンズ
黒い帽子
俺が
どうでもいいような所で
迷っている間に
季節は変ろうとしている
....
なんだよ!
よりによって俺に向かって「頑張れ!」とは、どういう了見なんだ
何様のつもりだ
いいか、俺はだな「頑張れ僕滅サークル」の会長だぞ
まだサークルだけどそのうち法人化するつもりだ、悪いか ....
生きる為に仕事をして
感性の為に夕月は昇る
三日前の事で酒場へ行き
癒しの為に焼酎を飲む
三年前の事を思い出し
五年前の事でもっと飲み
今の為に歌は流れ
三日 ....
牛が生まれる
大騒ぎしているのは人間ばかりで
牛は慣れたもの
これで五度目のお産だ
まだちいさいわたしは
目をみひらいている
子牛は逆子で
おじさんは苦労している
どうやったも ....
あなたが死んだら
私も死んでしまう
そうなのかもしれない
よく 聞く台詞だし
でもね
あなたが死んでも
私は
なんとしても
強く生き抜くわ
それぐらいの覚悟 ....
きゃらめる 5
よる
1
なにもみえない
から
こわいんじゃない
なにもみえる
はずがない
から
こわいんだ
....
真夜中でも
僕のところに来ていいよ
僕は待ってるから
君は寂しがり屋で
毎日
いろんな付き合いがある
買い物 食事 カラオケ
それでも
君の寂しさは癒え ....
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