紅葉坂のプラネタリウムは
横浜の夕暮れと星屑
石畳を下れば
恋の数ほどの壁画群

駅前に着くと
冷たくて頭が痛くなる
メロンジュースを飲み干す俺の横に
君がいつも
君がいつも

 ....
吸収する水分の中に潜む
貝殻に似た美しい花
喰いちぎられる雲の無抵抗に
青色のパラソル二重螺旋
回転の底流に見捨てられたクジラに乗って
休館の図書館に潜る夢
だいだい色のオレンヂを体現しな ....
私が真冬を歩いていると
太陽の童貞が落ちていた
私はそれを慌てて拾う
そして忘れてしまう


私が真昼を磨いていると
青空の処女が堕ちてきた
私はそれを慌てて隠す
そして再び忘れてし ....
使いが来たら
病院へ行くことになってた
アル中のあなたが
最後に入院した病院へ

肝硬変
だけ
じゃ
ないみたい
だね

いろんなこと教えてくれた
年上のひと
体に心に
消 ....
六月工場は
けだるい傾斜の
丘の上

機械は今日も
フル回転


ゴットン ゴットン
パッサン シャーシャー


ちょっとスローな
六月工場

これでも全てが
パワ ....
重たい表紙を開くと
『夏の項』だった


限りなく続く
かのような 草っぱらの
ずっとずっと向こうから
薫風に押されて
あるいは 乗って

バラ色に染められる
その足跡


 ....
からびた つる
ならく の よ

とけられた え
さき にご す

ふれこう まい
なぜとう ゆび

ほほ それ て
の にちる し 
褪せた面影を
湿らせていく
霧の雨


黒い舗道に足跡の
こだまを探しながら
ひび割れた時間に
僕は立つ


どんなに近くで
それとも遠くで
どれだけ君が  ....
  


県立病院前バス停で見知らぬ女性に声をかけられて
よくよく 顔をよくよく見てみれば
あの色黒で歯のやけに白かった娘じゃないか

こんなに色白でスマートになるならば
あの日の体育 ....
泣いて生きるよりは

笑って生きた方がいいさ

でも

俺にはどうしても笑えない時がある

振りほどこうとしても

俺を締め付ける

過去と不安な未来

忘れようとしても
 ....
自分は一竿主義だが
夫がいなくなった
丸一日かけて森を歩く
竹がよくのびることで有名だ
カツカツコンクリートを歩く日は
男の尻
背から足
くぼんだ腰の上着が たゆんでいる場合にのみ
男 ....
痙攣している右手で
聞いたこともない山々や
見たこともない街並みを描く君
僕はくだらない登山家として描かれ
どんな街並みなのか見ることもなく
いつまでも登り続けている
だけど君の手が震えて ....
ぞうきんは古いのを
うんと搾れば
ぽろりとイヤリングがこぼれ

枯草の下で温泉につかっている土を
にぎりしめれば
ゆでたまごが硫黄の赤ん坊を抱えてでてきた

しとしと溢れる露を
石に ....
東 ひがし ヒガシ
日出づる彼方
まだ眠い頭で君の見てるほうを覗いてみたら
君は何を見てるんだろう?
君の目はうつろで、まるで、あさってをみているようで
眠気が忍び足で遠ざかっていくような
 ....
世界は
もっと不思議なままでよかったのに
虹の七色
逃げ水
姿見
知ってしまった全てが
恨めしい




君よ
その背中を覆う漆黒は
僕の夜だ
初めに与えたのは君のほう ....
砂漠のニコニコ
僕の肩を叩く

右手にレモンを握って
僕の瞳を覗き込んだ


砂漠のニコニコ
ポーンと高くレモンを
空に放り投げた

レモンは太陽にぶつかって
数えきれないほど ....
ほっぽっておいた
あしたのこととか
あなたのこととか

そのうち
おおきな
しっぺがえしが
くるかもね

いいの

いいんだって

ゆずりあってるうちに

わかり ....
自動ドア
が開いた途端もうなにも聞こえなくなるくらい饒舌の坩堝なのだった
新参者が特等席でハバをきかせている
いたるところで人が出逢い
魅了され きつく絡み合い 約束を交わし 駆け引きをし 嫉 ....
そらいろの
きれいなびんをひろったので
ていねいにあらって
ひるのあいだ
えんがわにおいてみた
ゆうがたには
とうめいなみずがいっぱいたまって
びんのそらいろが
ゆるゆるととけだし ....
つゆやみの夜
降りしきる蛙の鳴き声
このたくさんの鳴き声の中にも
さみしい蛙はいるのです

呼ばれているような気がして
サンダルを履いて庭に出てみると
蛙の鳴き声が辺りを包みます
白い ....
さらいにきました
年頃の女は
一人暮らしか 男と暮らしたほうがいい
じゃないと
どこか痛いとき
痛いところに布がかかってるか気にしないといけないじゃないか

終わった
いろいろと終わっ ....
しおが
まあるく
みちてくるのは
ぼくらのからだに
きざまれたひつぜんだ。

しおが
まっくらに
ひいてゆくのは
かぜがおしえる
このほしのぱずるだ。

このほしとつきとのなぞ ....
  けだもの


かぜ 

そよいで
いる


だもの


真っ青に透き徹る海が恋しい
真っ白に焼けた砂浜が恋しい。

湿気の多いべたべたする嫌な日
何でも有り余る肥大した無慈悲。

何故か連続して襲い来る不幸
大地は割れ火を吹く山 ....
やぁ娘さん
いったいなにをしてるんだい
金魚を飼っているの
金魚を飼っているの
金魚を飼っているの
その娘は三回答えたり
二回答えたりした

娘はひらいた
わたしは言い返した
でき ....
おいかけてゆきたいのです。

包丁でざくりと切ると、すぐ後ろでネギがぱらぱらと広がるように
ざくりの跡をぱらぱらと追いかけてゆきたいのです。



続けたいのです。

にんじんをする ....
とじていた
じわんとなる
しあわせな
きもちとか

かおが
じわんと
あかくなる
ふしぎな
げんしょうとか

しらなかったこと
たくさん
ぎゅぅって
つめて
いっ ....
 太陽から
 熟したとこだけ溶け出して
 夜に残った
 
 ぽったりとカスタードクリーム色の
 満月が
 今日はでていた

 あんまり見事だから
 僕はぼーっと見上げて立ち止まっ ....
「明日、注文していたものが届くの」と
 少女が嬉しそうに笑って言う

 何を? 私は訊く

 すると

 少女は真顔で黙り込む
デートの帰り道

疲れて大あくびをしたら
そのまま体が裏返ってしまった

あわてて元に戻すと
君が泣いていた

ごめんね驚かせて
もう大丈夫だよ


言おうとしたら
君がく ....
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