にゃんにゃこりんの にゃんにゃこにゃ〜
 にゃんにゃこりんの にゃんにゃこにゃ〜

どこからか鈴の音と 日向が窓辺に
秋祭りだろうか 風にあんずの匂いを乗せて


午後三時 コタロがお ....
キャッチングキャッチングDVD
追いすがるよなひねり出し効果に
器具を掃って自己卑下チョップ
冗談さらせよ一転倒立
腰まげて6ロックB‐BANG
地べたに頬擦りしなきゃ
スコンスコンだるま ....
雨の日の冷蔵庫は
扉を開けるのが
いつもよりもどこか重たくて
暑い日よりも
その冷たい空気が肌に伝わる

建物の中の
頑丈なまでのその箱は
激しく雨が降ろうとも
そのリズムを変えるこ ....
パン屋で晩ごはんに
パンを買ってたらさ
雨降ってきて
俺のほかにお客さん三人
雨宿りだ
このパン屋は引っ越してからよく来るようになった
おいしいし
お姉さんがきれいだ ....
月が消失点のようだ
描かれた風景は
オルゴール、オルゴォル
ピンの抜けたドラムの内側で
漏れる光を、星だと
僕たちはささやきあったね

モルモットの遊具のように
夜空をまわし
時計の ....
何かを探る翼の音が
昼の終わりをすぎてゆく
短く密な闇の入口
まだあたたかな水の{ルビ足跡=そくせき}


腕から肩へ
沈むように横たわり
つづくわずかな揺れのなか
じっ ....
◇雁

ビルの間を

雁が渡る

窓からいくら叫んでも

届かない

天上の

賑はひをもつて



◇火口湖



火口湖に

白鳥がひとつ

燃えて ....
毎日が誰かの命日で
毎日が誰かの誕生日
毎日誰かが射精して
毎日誰かが受精する

同じ月を眺め
同じ太陽を眺める
半日遅れの月を眺め
半日遅れの太陽を眺める

いくつものサーバーや ....
カレーうどんが食べたいと思い立って
冷蔵庫の中にある芽の出かけた玉葱をぐわしと掴み
冷凍庫の中にある霜の降りた牛肉をがおんと掴み
小さくし過ぎないように家宝のエクスカリバー
つまり手刀で切る斬 ....
赤い印がついてる方の蛇口を捻り
カップうどんに注ぎ込む
空腹と絶望の果てにある期待を掴んで
フタを開いたと言うのに
湯気が出てこなかった

怒りで震える拳を伝わり
机がガタガタと泣き出す ....
木漏れ日のなかにすまう
古ナスのこむぎあえが
わたしをじっと
見つめている。
なみだ目で
わたしのくるぶしを
見つめている。


天窓にかがやくすずめばちの羽音に湯気はかかり
「今 ....
しんと静まる部屋の片隅
迷い込んだ虫の声
リリリと鳴くは鈴虫か

秋の気配が深まりつ
冷気が足先に絡まって
空を切る目に
眠気はちっとも訪れない

天上を柵に見立てて
ひつじを数え ....
ハーモニー、櫂のしずくに呼応する空が茶色に透過する午後



目という目、口という口あつまってAの会合ひらく廃村



風の影みつける蝶やカーテンのおおきく呼吸している窓辺
 ....
まめクジラの水槽には
売約済みの札が貼られていた
まだ幼いのか
さざ波を飲み込んだり
小さな噴水をあげては
くるくる浮き沈み
はしゃいでいる

こっそり水槽に指を垂らすと
あたたかい ....
膝を抱えたまま
心が膝をかかえたまま だ
歩いていても
角の魚屋で刺身用の秋刀魚の目玉に見入っていても
友人につまらないメールを返信していても
いつもの連続ドラマを見ていても
子供たちの  ....
告げるとも言わず
告げぬとも言わず
立ち尽くす老木は
潮風に白くやかれて
ただ待っているかのようです

運命とは渡り鳥でしょうか
暗い海のとぎれるもっと遠くから
糸車を回す母の手のよう ....
今は昔、をとこありけり。
片田舎に住みければ、いとあやしき箱にて文を交じらふ。
箱の中に、あまた集ふ詩歌の会ありて、よき歌には人々
より数を賜る。
思ひ起こして歌をばと箱の中に投げ打つも賜ず、 ....
どうして兄弟でもない男の人と
いっしょに暮らさなければならないのか

結婚前に、たずねた

そういう決まりになっているんだ
と 彼氏は言った

あんまりあっさりと言うので
笑ってしま ....
黄土色の民族衣装。赤と青のヴェール。
太鼓と珍しい笛、それに見た事もない弦を使った楽器。
うっすらと唇にひかれた化粧は、燃えるような色をしていた。
髪はやわらかく熱気にあおられている。
漆黒を ....
あたたかい寝まきです
でも
あたたかいふとんです
おかあさん
頭のほうが寒くて
しんとします


眠ったとたん 朝でした
お昼を食べたら
もう夕ごはん
ふしぎです ....
脈を取ると指先に
セミの鳴き声が
伝わってくる
僕らの身体の中にも
駆け抜けていく夏があったのだ
どうかお元気で
手を振り
手を降り返したあなた
あの日に
友だちでいてくれて良かった ....
ある季節の終りに
風鈴が
まぶしくゆれていた

わたしは 風へ帰れるだろうか
いつの日か
空で回旋する球形の庭園に
立ちよることが出来るのか
ゆれることと立ち尽すこと
そして、歩いた ....
四時三十六分 
始発
どいつもこいつも
終着にむかっていきやがる

終着は、またどこかへの始発で
始発は、いつしか誰かの終着で
だれもかれも
途中で降りるのだろう

{ルビ可変電圧 ....
蒸気機関車は白い煙を吐き
山間に入つて行つた
当初は白煙もにじみ
汽笛も木霊して
ああ あの辺りを喘いで行くな
と安心させたが
程なく それもなりを潜めて
山は静まり返り
もう蒸気 ....
雨が降っていたので
花を買わずに
帰ってきました
色が鮮やかだったことだけ
覚えています

雨が降っていたので
コンビニのお弁当を
食べました
ラップを取るときだけ
なぜかわくわく ....
  
玄関を開けると
妻はドラマを見終えたところで
「あたしの唇返せ」
と言う
そんなこと尻をかきながら
言うもんじゃない
と思いながらも
冷蔵庫のビールの有無が気になった
僕らは
 ....
裂けた木々の{ルビ音=ね}
あふれ 重なる川
虹彩の無い灰紫の眼に
生はかすかにゆらいで見える
原を駆けるものの涙も
草をかきわけるものの血も


円く平たい空気の底に
 ....
羽抜け鶏は
見かけほどにはこたへてをらず
日を直に浴びられるだけ
血潮に赫いて
田舎道を闊歩する


見よ
いつもは目を皿にして
獲物を追ふ狐が
{ルビ鶏冠=とさか}王の惨たらしい ....
 僕の詩は、青い壺の中にある
 壺は青く、眠れない。
 眠りのためなら
 この腕をもぎ取り、
 (―さながらレモンのように)
 真っ赤に浸してしまいたい。
 
 美味いカクテル 女向 ....
あなたのもとに
つながっているだろうかと
また海に来てしまった
彼方の水平に
上昇気流の痕跡が偏西風に流れて
波間に姿も映さず高く飛ぶ
渡る鳥、それよりもずっと星のそばで
焼かれる今 ....
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