駅からちょっと斜め方向の
ひまわり商店街は
活気をとりもどすために
商店街の名前を
マシンガン・ストリート
に変更した

それぞれマシンガンと銘打った品を出す
ことにつき 


 ....
めぐりきた敗戦後五十年目の夏の日々
ひとびとの思い出がいっせいにふきだす
メデイヤにあふれいきつづける酸鼻
あれもこれもみな生の意味を問いかえす
太陽はたなびく雲をとおして下界をこがす
くり ....
父の指にあわせて
ピアノがアカペラで歌う
大胆なくせに不安げなその歌声が
休日のリビングからご近所にも響いてしまって
父はますます手のひらに汗をかく

父よ
バイエルの14番から
 ....
〜人間の脳みそは耐えきれないほどショックなことを忘れるように出来ているらしい〜

病床で
昔の恋人を思っていたら
今 好きな人の名前を呼んでいた
うなされて 私がその名を呼ぶので
家人が
 ....
地下鉄で インフルエンザ うつされた

気づかずに 6じかんめ 受けていた

帰ったら 寝てめし食って 飲んで寝て

翌日に 起きたら体温 40℃…
あの人が死んだ時
私は不思議と
悲しくなかったのです
頭では死というものが理解出来ても
それが心までは伝わってこなかった
まだ

もう二度と話せないという現実
もう二度と笑えないという ....
瀕死の人間の魂が電波を操れるわけはなく
だからあの明け方に二度鳴ったベルはあなたのおじいちゃんの仕業ではなく
単に誰かの間違い電話だったのだよ、 と言われ
冷静な私はそれを十分わかっているの ....
森に 街に 空に                             
さんざめく                               
いきものたちの ささやかないとなみ       ....
長谷川七郎八十二歳の詩集『もうおしまい』
くもり空の伊豆高原で祝いの酒宴をはった
そこには詩人のぶあつい生の風景が舞い
夏の夜はたのしい談笑のうちにふけていった
女流反戦詩人の膝枕はやわら ....
夜の海が私を欲しがっている
或いは一つになれるだろうかと
踏み出した足に私は困惑する
そのとき私は生きている


そしていつも自らの中に
私は小さな一つの海を持っている
寄せては返すこ ....
くもり空のおもたい朝
欠伸をしている川獺
頭にかぶっている笠
ぷんと鼻にかおる野糞

きみの眼のまぶしい若さ
よれよれになっている裾
てのひらにあふれる乳房
白い毛の犬がのそのそ
 ....
○ところで皆さん!

ところで皆さん!
口を開けてください!

と、日記に書いた

書いたのは私一人
読むのも私一人
そこから先が続かずに
皆さんが口を開けて待っている

 ....
時々
理由もないのに ふと
立ち止まりたくなる
その時
そこには
透明な人の透明な碑があって
私たちは
それとは知らぬまま
刻まれた言葉を
心の指先でなぞっている
急に泣きたくなっ ....
ひとなかで あへばしらぬ そぶりして
鏡のみぞ知る 乱れ牡丹
きみにとってぼくがそうであったように                   
ぼくらにひとつの指針が ....
吹雪の中を歩いていると
灰色の世界に浮かぶのは
手が届くような白い太陽

北には日本海
南は山ばかり

ひょっこりと氷壁登頂家が
足元から現れたのは
本当にびっくりした
二人して
 ....
50億年前
宇宙が出来
45億年前
生物が誕生

ポンと叩かれ
ふっと生きはじめ
夢中で生きて
死んでも生きる為
生殖した

いつも疑っていた
誰がポンと叩いたか
それは解か ....
男の子だったら
悠人という名がいい
ゆうと 悠然と人生をわたるひと
みえこも大賛成
女の子だったら
悠帆にしよう
ゆうほ 悠々と海をいく帆船
あるいはUFO 未確認飛行物体
みえこは猛 ....
その本を手に取るたびに
同じページばかり開いていたから
今では机に置くだけで
パラパラと そこへたどり着く

私の心の傾きが
そのまま しおりになっている
ながれるほどに
ながされて

ふりとくほどに
とかれていく

とけていくほど
さみしくて

つなぎめをさがす
みえない ゆびで

かなしみが ほのかに
にくしみに ....

闇の海
闇の海のなやみ
闇の海のなやみの意味

いみ
意味のなやみ
あらゆる意味のなやみをのみこみ
海の波にたゆとう色好み

いろごのみの酒呑み
酒呑みのねたみの厭味
 ....
みえこは日増しにおなかをせりだし                       
いまではぼくのと いい勝負                           
でも内容がちがうと 夜ごと     ....
君の姿形からは
到底想像もつかないくらいの
その震え
その怯え
その悶え

僕には見える
どんなに君が
無謀な笑みを返そうとも

君の中を
研ぎ澄まされた感覚的な電流が走る
僕 ....
彼の生家へ行った

仏壇のある部屋に通された
彼の寝ていた部屋だ
私の寝ていた部屋には 通されなかった

彼の母の母に 手を合わせる
「最近髪がよく抜けます」と報告
彼の母が
「疲れ ....
  影だけが落ちていて  拾い
  においだけが落ちていて  拾い
  ねむりだけが落ちていて  拾い
  線路の上をゆく雲と月に
  拾いものでいっぱいの両腕を照らされ
  歩 ....
寒さが染みてきて
壁から伝ってくる


暖房を酷使しても
革のソファは冷たくて
ふたり絡まりあっていても
耳に吹きかける息が白くにごる


かつて
部屋の中で燃えていた
暖 ....
くちばしは
愛をかたる
かおつっこんで
えさをもらう

くちばしは
愛をかたる
ぴぃぴぃないて
みつけてもらう

くちばしは
愛をかたる
あたまつつかれ
やさしくやさしく
 ....
とぷん

小石が水面をたたく音は
日ごとに高く
遠ざかっていく
あんなに彼方で
気泡がきらきら揺れている
自分が沈んでいるのだろうか
こんなに暗い
水かさが増しているのだろうか
 ....
ごはんたべる?

があ

どっかいこうか?

があ

そろそろねよっか?

ぐう
起きたら
三島由紀夫だった

下唇を噛んだら血が出て
三島由紀夫の血はこんな味なのか とか
白くて小さめの歯は けっこう硬いのだ とか

会ったことないのに懐かしむ

せっかくだから ....
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