夜の興亡
アラガイs


眠るように死にたい
そう願うのは人間だけじゃない
夜行性の雀蛾や鼬鼠
         僕と私
昼寝する象海豹だって同じこと

真夜中に他人目(よそめ)を避けて歩く人々に万歩計は要らないわ
ただ同じところをぐるぐると巡回しているだけで事は足りるのよ
   チェロとハープとクラリネット 
ぼくを見つめる子供の瞳が問いかけるの
                 ねえ 貝も眼を閉じて眠るんだよね 
見つめる子供の瞳は光る猫の眼に似ている
 セ/ノクターン

星のない夜には三日月もおしゃべりをやめて
明け方にはぞろぞろと這い出してくる白い虫たち
煙のように宙を舞いあがる
それは黒いそら豆に覆われた小鳥たちの餌食
すぐに世界は駆け足で動きだすから
時計の針を戻して殻の中で眠ることにする
いつになれば眠れるのだろうか
本当のところ僕は眠れるを知らない





自由詩 夜の興亡 Copyright アラガイs 2023-09-17 08:18:06
notebook Home 戻る