時季の
すこ〜し 向こう
顔のぞかせて
「温かいね」
って
あしたも
逢えるかな?
*
足下から解けてゆく 春は
上着を一枚 置いてきぼりにして
君に逢いに行くんだ っ ....
“白い蛾が産まれると困るのでしばらく家を出ます”
“追伸”
“白い蛾を見ても殺してはいけませんよ”
こんな置手紙を残して
死神が家から居なくなりました
いつも一緒にいた名付け ....
君の事
迎えに行くとき
”満点”な
ボクになりたい
心躍らす
だっだっだっだっ地下っだっだっだ
だっだっだっだっ地下っだっだっだ
だっぱー(しゅー)ずたたたたた多々ん
だっぱー(しゅー)ずたたたたた多々ん
だぱすかちん!
(あー)鷹鷹鷹鷹鷹鷹すかち ....
屈めた背中を ゆっくりと伸ばすように
季節は移り変わる
それは水指に潜む 小梅の性
三寒四温の質感を受けいれては ひとり悦に入る
(ああ 春は素敵な季節
(水指の渇望は
(滴り ....
背なか 背なか
もたれかかった珪藻土の壁には
真昼の温みが宿り
後ろから
春の衣をふうわり掛ける
あし
足もと
埃だらけのズックの下で
蒲公英は蹲り
カタバミが少し緑を思 ....
“回転木馬は月夜が本番ですよ”
目の前をスキップしながら語る死神の後を
私は諦め半分で歩いていました
夏の果実は真っ赤に熟しているというのに
少し遅めのマリッジ・ブルーが私を襲っていま ....
切り絵(題材)
「少女」
ただ真っ白い紙でした 私たち
切り絵師は 無を有にする
柄に美しい細工を施した
銀色の先端鋭いハサミで
すんなりと手足の伸びた
可 ....
きたへ うつる ほの を
しゃくりあげ おおう て
そりは それていく ゆき
あけて あんでいく いと
かたまれない かげろい
かまれるたび ゆりゆれ
つけた げんの なまえ
....
今はまだ届かない思いも叶うと信じて
とろ
ゆっくりと歩いてゆこう
毎日は揺れ動く階段なのだから
足もとから築こう
ぅはっ
今夜でしょ
明日でしょ
明後日でしょ
その次の朝まで
だいじな だいじな日曜日
誰のものでもなくて
あたしだけの 日曜日
ぅはっ
宵闇は
切り子細工の紅茶に透けて
紫紺も琥珀の半ばでとまる
グラスの中では
流氷が時おり
かちり
ひび割れて
薄い檸檬の向こうから
閑かに海を連れてくる
壁の時計は
ゆるり ....
帰るから
もう帰るから
といいながら
帰らないでいる
ひとりの男
夕陽眺めて
空は大きい
空は小さい
どちらだろう
飛行機がきりとる空
ロッカーから見ている
....
星明りを知らない。
月が今も足元や景色を照らしてくれるように、
星明りも言葉だけのものではなかったはずなのだが。
そんなに大昔ではない昔、町でもなければ雨や曇りの日、
ひとは足元も ....
“朝は優しく起こしてください”
というのは
寝汚い死神のきまり文句です
名付け親の死神は寝起きが最悪です
五個の目覚ましなど死神の眠りの前では無力なので
死神を全力で蹴り起こすこ ....
なつかしい歌を
久しぶりに聴いたから
あの頃読んだ詩の一節を
ふっと思い出したから
永遠だと信じてた時間が
いつの間にか
過ぎ去ったことに気付いたから
絶え間なく変わり続ける ....
何処へ行こうか
何処へでも
何処までも
ひらかれた未来は
少し顔を上げて ほほえむ人の
涙も隠さずに生ききろうと する人の
幸せを 高くかかげて
見守っている
夢見る自由は
....
おかえりなさい と
響いていた
泣きながら 来た時も
微笑んで 来た時も
胸にしまった たくさんの色も もう
知っているよ と
さあ おいで と
両手を広げて
命を 抱きしめる
寛容 ....
つけて
ドア に ピン
不特定 な
平面下
流れだすのか
なだめすかすのか
でられる ものに
トッテ つけて
だけど
アン ド ア に
ピン
波打ち際
雪に縁取られ
{ルビ烽火=のろし}をあげる夜
松がいい、そうだ黒松だ
沖の漁船
送り雛のように
漁火を灯いて連なる夜
星が海に突き刺ささってやがる
雲 ....
光の点の物語
夜の喪に立つ蒼い{ルビ蝋柱=ろうちゅう}
けものの笑みが途切れ途切れる
風が廃駅を削いでいく
茶のひろがりの終わるところに
金にかがやく草で編まれた
....
魔法陣描く事なく出会いたる小悪魔に恋 ミントの香り
柔らかな色の空気が流れてる。サーキュレーターお前グッジョブ!
「この音を聞いてるとあたしほあほあと、この世の者ではない気がするの」
....
***** 妻へ
ねぇきみ
文金高島田と南京玉すだれは語呂は似てるけど
全然ちがうんだ
お色直しで再登場する新婦が
「さては なんきんたますだれっ!」
ってやったら会場は大騒ぎになるは ....
しないよ
したら冷たく
なるから
したら
迷ってしまうから
したら
頼ってしまうから
したら
認めてしまうから
あなたにとっての外側が
わたしにとっての内側 だから ....
雲が
破け
露わになった夜は既に黒々と
艶やかで冷たい体表を完成させており
その直下でアスファルトは
終わったままの雨の微粒子で
キーン、と
光沢し
張り詰めて、いる
張り詰 ....
“電車に乗る時は”
“なるべく人の多い車両にのりなさい”
“蒼い電車に出会ってはいけませんよ”
口うるさく喚く死神を後に
私はドアを閉めました
名付け親の死神は時々どうし ....
星はひとつづつ
オルゴォルのピンのよう
ゆっくりと巡って
光の楽譜をなぞる
昼に
雪を降らせるのは雲で
夜に
雪を積もらせるのは月だと
指揮棒で譜台をたたく
....
すべては夜に
言葉でさえも
すべては音に
私ではなく
ひとつのひびき
ふたつのひびき
みっつのひびき
私ではなく
光を投げかけ
器を揺るがし ....
雪が降ってきたからさよならをして
キスをした
お互いに唇がかさかさで
ごめんね と
謝った
初めて
大きな声で バイバイと
告げた
かけ足のあたしの頭には
あ ....
ひとつの了解からはじまる憂鬱。世界のすべ
ては青い色でぬられている。雨をはきだす雲
のありかである空、それも青ならば、雨その
ものも、青い水彩絵具にとけてふってくる。
人はみな、青にびしょぬれ ....
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