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会釈と定型のあいさつに
あとひとつ何か言って
少しだけ 少しだけ
つかえたしゃぼん玉を空に放ちたい
その話は地雷かなとか
ぜんぜん気の利いたことでもなくて
毒にも薬にもならないような
....
首筋に滲む汗が皮膚のくぼみで停滞している
めずらしく鬱屈したものとひっくるめて
無になれない顔になったまま
往復するうちわが申し訳程度に会釈する
トロトロとした頭の中でなにかを想像してみても
....
毎夏見る帰省のニュース
しっかりと時間を費やす 家族たち
それを眺めることが毎年の行事
思い出すのは病室の洗面台や
トラバーチン模様の天井
となりの家から夕ご飯の匂い
てん ....
月が光ったり包むように照らす記憶のない、まだはじまったばかりの夜だった。
顔の何処かで泣かないように空に瞳を任せていた。どこを見上げてみても
わたしが知らないだけで、星はやさしく奏でていたんだった ....
勝手のうえに
勝手をこぼしてたら
「それをじぶんに言われてたら
どう思う」という矢印が向いて
ハッと
黙ってしまった
おむつなどを買いに走り
熱り疲れた頭で
排尿日誌がいるか、とか ....
知らないところでさり気なく
「うちの妻が」と言ってもらいたい
時代に逆行しても
「思い出に残る熱い先生でした」と卒業式の寄せ書き
オルガンをうまく弾けなくても
「あの子守歌、背中がこ ....
るーるー、カチ・カチ・カチ・カチ・
うめくようにきつく、くぐもった、湿る声で許しを請う、どうして?、静夜のからくり、まだ内側を掴んで離せない、風が占める、時は鳴り続ける、果てる波と砕ける{ルビ過去= ....
(また降りそうになってきよった)
泥酔状態で唄う桜坂 音痴でふざけすぎるけど
黒いネクタイと白いワイシャツが いつもより艶っぽかった
「泣きそうになったわ」と あとで口にした
その ....
よごれへたれて疲れたきみも
またあしたまで
あしたまでおんぶしておくからね
たくさんぶつかった日も
すりきれそうな日も
いまは一旦あずけて
ずっとぶら下がってみてるよ
....
きみはとても素晴らしいから
ないとわたしは生きていけない
でももし映しすぎたら
往復しすぎた嘘も、人の喧噪も、乾いた鼻歌の色も
きれいに見せかけたよごれ
とびっきりの正しい眩しさ
....
(君のようにわたしはなれない)
星の流れるさみしいよるには
悲しみも流して、染ませるから
雨のはげしく叩くよるには
聴こえない子守唄を うたおう
花火の終わった白けた
夜空のした
醜 ....
偶然、ハートの形した
ポテトチップスが入ってて、手にとった
恋をしている人たちにいいことがあったらいいな、
うすぼんやりと思いながら口に込めた
五月の緑が伝い合い
誰かが消えた満月のよる
なみだとずっとの約束を結んで
いくつもの場面を通り
ためらいなくわたしは生まれた
降るひらは
何も想ってないのかもしれない
舞うひらも
はせる思いは重いだけよと
愉しませ哀しませ
ことばのない、季節空間
散るひらが
揺り動かすのは勝手な
人のつくった情動、記憶、 ....
気づいたら
私だけの公園であそぶ
誰もいなくて誰も来ないから
邪魔されない自由
反省と戯れる
止まらないブランコ 気持ち前後に振れて
おりてしまえば大したことはない
のぼ ....
あなたは
ひかり ぬくもり みずのつめたさ
たべてるごはん たいようのまぶしさ くつをはくおと
おおきなかぜ しおのにおい うみのみず まぶた
むねからこみあげるなみだ
あなたは
....
ちいさい 秋も
おおきな 冬も
はくぎんいろの 抜けてあつめた
けだまに
ころころと まるくなるよ
あなたの ちいさくておおきな
迷いやふあんの中に
ほんの少しでも わたしが ....
卒業式より入学式
きっとそのほうが近い
おわかれが悲しいより
ちょっとどうなっていくのかなって
そわそわ、未知の道
ようこそと迎え入れる
手の花束を渡って
そこはしばしの ....
刻も戯れも心音も手招いて誘う
こころ あちらへ こちらへ
揺るがして手放す
なみだの群れは押し寄せて 弾き 引っ張る
しなだれる砂 きぬずれの脚
よるの はまゆう
....
髪の後れ毛が
もやしのひげのように
蒸れた風とけっ託して
汗と貼りつく
ぽにーているならぬ
わたしのひとつ結びは
ねこのしっぽでありたい
脊髄のさきにあるまでの、感情
あな ....
ひとを好きになって傷ついて
感傷を肌で美しく感じていた
そんな時間
映画音楽のようにドラマチックな
からだの外へ出た細胞たち
絶えて流れた
う化して剥げたわたしのベールは
ふ ....
海の近くに住むって、憧れる
という人
潮風に纏われ
足は筆になってもつれる
不老不死の
いっぽんみちを
歩きつづけたら
捩じれていった
ふくれる心臓
ぽこん
理由は ....
その蜜をかけて
わたしのすきなバニラの
エッセルスーパーカップに
全部にかけたいけれど
大きいので
内の蓋を少し開けて
半分ね
地面を舐めている
落とした自分のを
命にな ....
流氷の底につながってる
ぶらっくほおるの隅っこに
ちょこんと震えながら
持っていたのは
青一色の地図
そういやいつから
陸も山も
ひとも消えて
感情だけあふれるようになった ....
まっ黒くて
長い長い肢が きょうも
地面から 抜ける
親不知の速さで
(季節 だ)(季節 だっ た ) (った)(ったーーーーーーーんn
湿り気を編み込んだ ....
声という声を泳ぎ切った星は
「優」という島に行きついて
そこからも笑いながら
切りすて別れあう
どっちつかずなため息は
底のない海に
小さい赤いシールになって貼られた
そこに何も ....
晴れた日に雨靴を
履きたい気持ちを
雨の日に思いきり
傘ささずぬれたり
開いてしまったら
また閉めればいいじゃない
ひとつしかないのファスナー
そう思い込む
のだった
....
きみはどこに向かって
帰ってしまったの
それともまだ
帰り道のとちゅうなの
迷っているのなら
この手を見つけてほしい
ぜったいにぜったいに
離すもんか
きみのことをおも ....
*
私がひとり降りた夜
バスは静かに荒く息を吐き出しながら
また次の者を乗せ降ろしして
それ自体 拍動しながら
もう 見えなくなっていく
のこされた私は
安堵を荷物に 歩き出す
....
ひとりで ずっと待っていた
帰省先で亡くなった男性が住んでいたアパートの
部屋の畳は思っていたよりきれいだったが
乾拭きをして ちょんと座って
ひとりで 届くのを待っていた
荷 ....
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