消えたにっき
せいふくのすかーとが
はたはたと笑う
ゆうやけぞらがのどに沁みて
嗚呼
透けたひかりの音がする
あの頃のかなしみを
わたしは
のこしておきたかった
....
やさしいのか
やさしくないのか
雨の日のあなた
約束の時間に
遅れたわたしに
何も言わないので
カフェオレを頼んだきり
わたしも黙って俯いてい ....
書店で
なんとなしに手に取った本を
逆さまにして振ってみた
パズルのようなものが降るかと思ったのだけれど
うんともすんとも言わずに
いや、空気はすんすん言っていた
なんだ
....
あたたかな
はらから
あいのじかんから
さようなら
うまれたのです
行方不明の洗濯機が二番線のホームで脱水していた
振り返ると家電フロアーの主任が裏口でまだ手を振ってる
今日もレンジの平和を願う君が両手でものを温めている
「いつも利用する ....
四角い鳥かごの小鳥を
人差し指という小枝へ導く
みなみは細く圧迫される指を
目線まで上げて
「この部屋も 鳥かごみたいね」と言う
秋とは名ばかりのあやふやな風が吹き込む
窓辺に吊るした ....
しろいしろい
まっしろな頁
そこには
紙いっぱいにひろがる
まぶしいかなしみがある
それはいつか
日にやけた
本のようなにおいがする
いま
そのにおいをかいでいる
....
それは夏のことでした。
自分によく似た蝉殻を
空き地の影で見つけました。
思い出を綺麗に残したい、だなんて
それはそれは
よくいったもので。
密閉できる容器が無いので
冷蔵庫 ....
硝子の風が
きりりと秋の粒子で
二の腕あたりをすり抜け
寂しい、に似た冷たさを残して行く
野原は
囀りをやめて
そうっと十月の衣で包まれている
わたしは
それを秋とは呼べず
....
捨ててきた夏のカードと引き換えに虹よりたしかなセヴンブリッジ
仮面の下で抜いた{ルビ剣=つるぎ}に嘲笑う君を刺すのもまた{ルビ運命=さだめ}かと
夢見よう手札はいつも風まかせ無 ....
コロンと
転がって
なんだか可愛いと 思う
そっと殻を剥く
つるつる ぴかぴかの
白い肌が
なんだか可愛いと 思う
真ん丸く
抱きかかえた 黄身も
なんだか可愛いと 思う
....
070919
サブプライムローンが焦げ付いて
煙が覚ます発火点
デパートメントストアのお客さん
急いで逃げて
非常口
すってんころり ....
ひらひらと散った 夏
インディゴブルーに染まる、前に
秋へ化けた
通り雨が隠した
暗い雲に気を取られてしまった
春
もう二度と出会えないかもしれない ....
切符を握った手が濡れてきたから
てのひらを上に向けて解放してやった
そうしたら切符は川になって
行き先はすっかり見えなくなっていた
川は
僕だけが感じる速度で流れ
薬指、から滝 ....
キレットの真下の残雪で
オレンジ色のジャケットが
タルチョのようだ
鳥たちの羽ばたきの音で
あちらへと招いている
おまえはもはや
ことばだけになった
ど ....
落葉がそぞろに風にふかれ
雲は青く高い空をゆく
うらの{ルビ小径=こみち}の縁石に腰をかけて
杉といっしょにゆれている
夏の{ルビ遺言=いごん}は朽ちることなく
静かに実 ....
この連作「そろもん」は、五行というフォルムそのものがテーマでした。大局的には、それ自体が現代詩的構文のアンチテーゼとして機能することを目論んだと、とりあえず言っておきます。でも内実は、きわめて個人的な ....
白い俎板のうえに
水洗いした秋茄子をのせる
遣い慣れた指先でまず、
縦半分に切ると
紫に汚れた
君は構わず
それを乱切りした
その一部始終を
彼らは黙って
観ている
カピパラさんとか モノクロブーとか
最近チヤホヤされてるけど
ぜったいワシのほうが カワイイと思うんだわね
「 飛ばねえ豚はただの豚だ 」という名言があるけど
ワシ、飛べないけど 蚊取り線香入 ....
鋭利な湖面をすべってゆく
一艘の小舟
私は黒布で目隠しされたまま
なすすべもなく横たわっている
風 感じるのはすべて風
重い水をかきわけて
舟はゆるやかに進む
盲目の私の世界に響 ....
いつか来るその日のために
わたしはあなたに笑いつづける
楽しそうに笑っていると
呆れて見てくれたらそれでいい
いつか来るさよならのために
靴を履く準備をしておく
泣かないで歩け ....
070913
ぼん ぼん ぼん
ぽろろん ぽろろん ぼろろんろん
ぼろぼろ ぼろろん ぼろろんぼん
ボボボボ ボボボボ ボボボホボボ
ふーふる ふ ....
きみが眠っている間に、
きみをゆるめる。
きみは包帯に巻かれていて、
包帯はとてもきつく巻かれていて、
ぼくはいつもゆるめたくなる。
自分がきらいで、
自分 ....
いだいてくれていた
ちからがぬけていく
だれのまえにもでない
ねいろで
いとしさで
ふさいでいてくれていた
もういいよ
めをかくしてくれていた
いじのわるいてが
なきむしのように ....
夏の名残を雨が洗うと
淡い鱗を光らせたさかなが
空を流れ
ひと雨ごとに秋を呟く
九月は
今日も透明を守って
焦燥のようだった熱や
乾いた葉脈を
ゆっくりと
冷ましながら潤ませ ....
さかなやさんがやさがししてる
やさしいおさしみつくるひと
やさいやさんがめさいやうたう
いざやいざなえやそのくに
ささらえおとこはきにさわる
ささゆりささやくささめごと
ささら ....
紅い空に足跡
群れで飛び立つ帰りの鳥たちが
カイトを引っぱって
うごく星座の結び目たち
ゆうぐれに影の成す
シンクロのダンス
花が半ば眠りそうに
しおれていた
風が吹いても
....
注意・・・あくまでも私の主観ですから、笑い飛ばして下さい。
ズバっと言ってしまう系が苦手な方はお控え下さい。
ノークレームでよろしくお願いします。
毒舌指数★★☆☆☆☆
第一 ....
いまはもう
降り注がれた毒の
牙は抜け落ち
月がのぼるように
人は絶えている
それでもまだ
新しいモノクロ
様々な直立が
階調をまさぐり
どこまでも伸びようと
相殺できない
遊歩道に列をなした花たちが
ちいさないのちの
ちいさな手から
水をもらう
風になびいて
呼吸ができたと
よろこんで
くすぐりあった
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