この世にはない湖の辺で
あなたに会う
この世にはない花を摘み
あなたを飾る
この世にはない愛の言葉を
あなたにささやく
この世にはない幸せの鳥が
あなたを祝福する
そんな世界 ....
燃え尽きた夕焼けがズルズル剥がれ落ちて
みっともなく海に沈んでいくと
その向こうに広がる暗い空が剥き出しになっていく
すっかり日が落ちてしまうと
書割のような安っぽい星空に
罪深い人たちの胸 ....
碧いカーテンの中に入って
僕を探して
とクスクス泳ぐ
すいみん
すいみん
君に許した部分が冷たくなる日が
ふと考える
非日常の中の非通知が鳴るみたいに
すいみん
くび ....
永い永い道を 僕らは 歩いていく
息を合わせながら 急がずに 手をつなぎ
甘い甘い朝に 向かって 進んでいく
肩を並べながら 迷わずに 話しながら
魔法が解けることのない ....
午後からは雨なので、
傘を持っては出掛けなかった。
昼食の蕎麦屋から出ると、
案の定、
雨が降り出した。
色取り取りの傘が、
街に花開く。
わたしは蔓 ....
一億年後も愛してるとかどうとか
気の長い話を歌いながら
家の前を中年の酔っぱらいが通っていった
一億年後のことなんてうまく想像出来ない僕は
一億年前のことを考えようとした
一億年前に ....
彼の内部には常に殺戮の音楽と黙考が混在していて、彼に付随する糸という概念はその両者の結合のための不可解な生命の観念であり、同時にそれまでの彼の存命の象徴であり、僕は彼の糸そのものとして、他者に与える恐 ....
壊れたら直せばいいが口癖の
父からもらったラジカセは壊れてばかりだった
とくにアンテナはしょっちゅう折れた
そのたびに父は何も言わず修理してくれた
まるでそれが生きている理由であるかのように
....
はぐれものは
ふるさとの名前を知らない
だから、私の汗ばんだほほを
冷たい指でぬぐいながら
細く、薄青いくちびるで
君が名付ける、それが
たどり着きたいふるさと ....
{引用=ち}
ぼくたちの平坦な日常からは
{引用=ちち}
死が
{引用=ちちち}
あまりにも遠く切り離されているので
{引用=ちちちち}
むしろ常に死んでいるかのような
{引用=ちちち ....
新緑はリビングの奥まで染みこみ
薫風はねこぜとうなじを舐めまわす
梅雨入り前
日向と日陰がくっきりと区分された
広場では
....
コンビニにスキー客がやってきて
ハーゲンダッツに入ってスキーをはじめた
私はそのハーゲンダッツを買い
息子と一緒にスポーツショップで
スキー用具を一式買った
スキーウエアに着替えていると
....
弟はいつの間にか
僕の背を追い越していた
身長をたずねると
三メートル五十七センチ
と言って悲しそうにうつむく
明日になれば
弟は遠いところに連れて行かれる
多分頭のてっぺんも見えないく ....
したたる、
水のひびきのなかに、私の声があ
ります。暗いこころのままで死ん
で幽霊となった私のとうめいな喉。
ぬれながら、だえきもでないほど
にかわいてし ....
かけ足に過ぎなかった
いまでもそれは
よくみえる
ほろにがい
夕暮れの日を
燃え尽くすには
まだ早い
わからないほどに
からまり続けて
いるからね
....
2007/06/12
クロッカス畑に
クロッキーを植えて
クロッキー、クロッキーと囃し立て
引き籠もったクロッカスのお人形の綽名は
誰が付けたのか付けら ....
ちぎられたもの
砕かれたもの
ひとつひとつに触れる指が
それらの色に染まりゆくさま
色のないもうひとつの指に触れ
血のにじむまま触れ
あたためるさま
染まりゆくさま
....
風ノ葉
こころには
埋まることなきすき間あり
葉の揺る茶屋に
独り佇む
椀
{ルビ空=から}の{ルビ椀=わん}
ひかりのにじむ
底のまるみに
....
ほとんどの人は、もう
溺れているの
誰も気づいていないだけ
澄んだ指さきが
アルカディア、と答えて
空の一角をさす
新しい風景、新しい秩序
それは
見たことのない宇宙
(行け ....
午前6時まだ昨日、サンシャイン滑り込む部屋も瞼の先は夜。換気扇がぬるい空気を吸って吐いてを同時に行っている。冷蔵庫の存在はとどまるところを知らない。電球はエジソンが発明した。ぼくのバランスは崩れまいの ....
浅い眠りのなかに
潮の匂いと砂を踏みしめる音がして
わたしは海辺にいるらしかった
裸足に海水は冷たくはなく
貝殻の欠片を拾い上げても
その尖った先は指を刺さない
(きっと夢なの ....
滅茶苦茶にされた背伸び
搾取されゆく背伸び
二つの背伸びの距離を
埋めようとする僕とあなた
そのとあなたのとを
掬い上げようとした光の差す隣人
帰ってきた隣人
かつて山羊だったか ....
採石場の跡地を
ヒトコブラクダが
ゆっくり歩く
かわいそうな気がして
コブをもうひとつ
描き足してあげた
耳の奥を覗くと
夜が明けるところだったので
慌てて帳面を閉じた
駅をでると
ファミマ、焼きとり屋、
造りかけの学校
郊外の夜道が垂れていた
オレンジの明かり
三叉路で道が狭くなると
懐かしい風がながれた
記憶の再現が ....
システム関連スレ3
[101]片野晃司[2007 06/06 07:15]
>ユーザー番号、ハンドル名
>文書番号、投稿者のユーザー番号、投稿日、タイトル
>ポイントを与え ....
金魚すくいはいつも失敗する
お椀に入れるまでの間
金魚は溶けてすぐに消えてしまう
金魚すくい屋のおじさんに
コツを聞いても曖昧で
金魚と思うからいけない
としかおしえてくれなくて
金魚を ....
ぎんいろの折り紙で
鶴を折る
ぎんいろ
それは
わたし自身を惑わす窓辺の色合い
ぎんいろの街で
あなたとの足跡を探してしまう
例え人違いだったとしても
あなたに良く似た後姿に
....
これでおわりかもしれないことが
毎日たくさん響きあっていると知って
目の中だけにある見えない雪に溺れた
蛇口から出てきたシャケのにおい嗅ぐ
手を挙げた雨粒ひとつ海の底
もういいわサザエの端がしかめ面
触角をぶん回しつつ触れた指
今日出逢う
目の前で{ルビ俯=うつむ}くの老婆の手を
わたしは両手でつつみ、
握るだろう。
この世界の何処かで泣いている人よ
暗闇から差し出される
この手が、君に見えるか
....
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