照りつける夏の陽射しの下 
墓石の群を横切る私の地面に頼りなく揺れる影 
一瞬 頬に見えた{ルビ滴=しずく}は 涙なのか汗なのか 

( {ルビ嘗=かつ}て 一途だった少年の恋は
( 夏の夜 ....
やがて
夕闇に閉ざされる海の
光る航跡を追いかけて

白い波間に漂う一人ぼっち
私の貝殻は声もなく
言葉にすべてを托すには
あんまりに吃音に悩みすぎる
無理やり水で流し込んでも
排泄も正しくおこなわれない


いのちは揺れるようにかがやくのに
確かにかがやくのに


駄々をこねる ....
水深5キロメートルの恋に落ち プールサイドで墜落する午後




砂浜の午睡からうつら目を覚まし すいかの縞の波に溺れる




ピーラーで削がれ半裸になりしきみ 水にさらせば ....
1. 

もわもわ
と、ふくれあがる嫉妬心
あなたが遠くをみつめるその先に
見えるはずのない影を見ては
心に広がる黒い雲


2.

クルクル
と、まわる私の猜疑心
ゆう ....
 は、真空の一点で凝縮し続ける無言する{ルビ性=さが}である。



仄暗い
道を歩いていると
星雲を繁茂する
一角で
ぽっかりとあいた
湿っている暗闇が
{ルビ濃紫=こむらさき} ....
草合歓の葉陰から
かすかにもえる月を見た
藍青の波間にひかるものは
あれは はるかな昔
指から落ちた曹長石のかけら
青みをおびた涙の石の粒


もしも
月の淵から水音がしても
蠍が ....
真夜中の街
儚い灯りを縫い合わせて
君はいくつも
星座を作ってみせ

物語がわからなくても
知ったかぶりで綺麗だねと
僕は何度も
言うのだろう

  地上の流れ星はいつも
  赤 ....
服の仕立て屋の看板の前のバス亭から
町を離れる時刻は 数本

昨日の夜から待ってた 朝は
大きな通りに 越えて 来た

牛乳配達のバイクが かちゃりと 続く
家の開けられた窓からは 蛇口 ....
足元は、崩れている。 
真っ直ぐ歩くことも{ルビ覚束=おぼつか}ず、
肩が揺らいでいる日々。 

( ぼくの脳内には
( 壊れたリモコンが内蔵されている 

胸を張れども三日坊主。 
 ....
遠い朝 日に乗るように
長靴が 畑の真ん中に立っています

沈んでいく桃色の光が 靴底で
何人かの村人に 似ていきます

ひそりと ゆえに おもむろに かぜ

駆け出しそうな 針葉樹の ....
 草の茂みから 
 木の上へ
 さらに
 低空から
 中空へと舞ふ
 一匹の蛍

 漆黒にあらがひ
 淡く
 かぼそき線を曳き
 線といふよりは
 点滅
 ・・・・・・・
 ....
溺れていく夏の海の傲慢を乗り越えて、原色
の光景にすべりこんでいく。速度を上げろ。
減速してはいけない。止まってしまったら、
たちまちにして恐怖がおまえをとらえるだろ
う。夏に生きる恐怖。夏に ....
放課後のプールサイドに一人きり石を投げれば割れる太陽


まだ細い腕もいつかはヘラクレス鏡にうつる半裸少年


肝だめし墓場を歩く君とぼく怖くないよと結ぶゆびさき


花火あがる綿菓 ....
夜の雨を燃す火があり
風をつかみ
家を鳴らす
屋根のかたちが
曇に映る
明日の水を知る花の群れ
遠い音を見て動かない


鼓動と鼓動のつながりが
水平線を巡っている ....
学校を卒業して
実家に戻った君から
普段と違う調子で
不意に電話が入る
ずいぶん遠い町に住む君と
昨夜同じ受話器から
おやすみと言ったばかりの僕は
醤油の有名な町で
働き暮らしていた
 ....
初夏の雫を集めた、里芋の
透明な葉脈の裏側で
夏風の子が
小さな産声をあげる
まだ、うまく飛べない

棚田の{ルビ畦=あぜ}に沿って
緩やかな曲線を描くと
早苗に浮かぶ蛙が
水かきを ....
  (誰かが泣く夜の 月は足跡だらけ)


夕立の30分後の車の下の
猫 濡れねずみで
のの字にくるまり
もうすぐ月のやって来る夜


あの子の心根から
零れ落ちましたよ リン と ....
そのとき奇跡を初めて信じた
この世に無駄ないのちの誕生はひとつも無いのだ




あっ、食べたね
その肉はさっきね、
やわらかく やわらかく揚げたんだよ

ああ
カリカリのドッグ ....
さびしくなったら
花咲く野辺へゆこう
ごらん
{ルビ凌霄花=のうぜんかつら}に蝶がぶらさがる
気が付いたら 私は生まれていたので
思い出を海辺まで運んでは
昔の写真を見せられて それが私の
こども時代の姿だと言われても とても
私とは思えなくて
昨日の思い出しか食べる気になれず
海 ....
   {ルビ異花=ことはな}の{ルビ雲夜=くもよ}にしんわりんと咲き


翼よ
きみはなぜ
はたたくのか
熱く青くはためくからだ
その空間を根幹となし
風の性霊を動力とするためか
花 ....
はじめて海を知ったのは
函館山の東側、岩だらけの海岸でした
あちらこちらに見える対岸の
私との間は早波で仕切られ
たくさんの潜水艦が行き来しているのだと
おじいちゃんに教わりました

次 ....
      ――Sに



世界は美しいと感嘆する前に
やらなければならないことがあって
誰もがそこへ向かって走っている
完璧なソネットなど書けやしないから
俺の言葉はいつだって
掘 ....
ひとたびの雷鳴を合図に
夏は堰を切って
日向にまばゆく流れ込む

其処ここの屋根は銀灰色に眩しく反射して
昨日まで主役だった紫陽花は
向日葵の待ちわびていた陽射しに
少しずつ紫を忘れる
 ....
川で 手を洗おうと思ったのは
いたずらに食べた桑の実で
汚してしまったから

新しいランドセルが
川を覗き込んだ後頭部を倒す
沈んだ 目が水を見る
手をのばした
びっくりした友達のいる ....
雷鳴に少し怯えて
ようやく雨が遠ざかると
いつしか黄身色の月が
丸く夏の宵を告げる

湿度が首筋に貼りついて
ついさっき流れた汗を思う

狡猾な二本の腕を
互いの背に回して
策略の ....
  日の出


小鳥はまだ明けそめぬ闇のうちから

啼き始める

辺りを憚るやうに

ほとんど囁くばかりのくぐもり声で

それは天与の美声を押し殺した 呟きだ


野の鳥よ ....
めろんの翠が涼しい頃
強引な若さだけを連れて
新しい部屋を探したわたしが
照れながら甦る

必ずしあわせになるのだと
啖呵を切って
飛び出した古い家
裏付けるものなど何も無く
ただ
 ....
すぎていくものに吹かれて
川辺で季節におびえ
一掴みの名も知らぬ萱よりも
かほそくゆれ
ただ老いていくことに
腐っていくのでしょう

笹舟のように
未来にむかってちぎれていくものが
 ....
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