いつか(ラ)数えることをやめてしまった
ピンク色の蜜柑がつぶれたような
きみの、空の
ざ、わめく
風の木に暮れた(ラ)流線が振り落とされて
ふ(ラ)、としたときの
苦くつぶれた顔を ....
八月の暦に耳を押し付ける少年いつしか海原のうへ
生い茂る真緑の原に埋もれゆく廃工場に響け恋歌
遠回りで帰る夜道に横たわる近道えらびし野うさぎの母
飛行機を追うてふもとの村 ....
てとらぽっとは海につながれて
夕日が燃えて琥珀に変わるのを
見ていた
さよなら
さよなら
さよなら
夏
駆け足で過ぎようとしている夏の
スカートの裾 ....
ポラロイドカメラで
港の夕焼けを閉じ込めた
一瞬の空を
たった1枚の写真に収めようなんて
我ながら
驕ってみたものだけれど
その1枚は確かに
僕の指先で
月にも負けず輝き続けて ....
この世が終わっても
私は 終わらなくて
途方に暮れて
あなたを みたら
眼に涙を滲ませ
終わり と言えないでいる
どうして 他人のあなたが
私達のために 泣くの
言えば 言 ....
君
言葉の深淵を
明るく渡れ
アイスコーヒーを
飲みながら
かろうじて
ぶらさがる
吊り橋
上から
光と荷物と
レシートが落ちてくる
それらすべての
降り注 ....
明日は
焼肉を食べに行こう
彼女の
生まれた日だから
なぜか
戦争に負けた日
諸説あるけどね
いくぢなく
からみつかれて
からみあって
生きている
普通じゃないくらい
生き ....
君は変わったね
同じことを
君が言い出す前に
キスをしよう
全てが始まったあの日を眺めながら
全ての終わりを語る唇を
塞いでしまおう
傾く船にはもはや
救いの手立 ....
蘭州を出発してからもう2日も経つが
鉄路は大きな曲線をいくつか描いて
岩の転がる砂地と、とうめいな蒼色の空
それだけの風景はいっこうに変わる気配がなく
ホウロウのカップで
開水に粉コーヒーを ....
谷の底に静かな村がある
昼の光が色あせて
働く人たちが 夢もみず
疲労のなかに眠ると
月と星が そこから昇る
鳥の死んだ目
亀の
平べったいの
動かない
体は来ない
のに心に来る
心が立ちすくむ
昔は
いきものが苦手だった
来るものの
怖さを
小さい僕は
よく知っていたのだろう
....
わたしの中に森が生まれたとき
その枝は音もなく広げられた
指先から胸へと続く水脈に
細く流れてゆく愛と
時おり流れを乱す悲しみ
わたしを立ち止まら ....
もし月が地球に落ちてきたら
全世界の人々は両手を天に掲げて
月を支えようとするだろうか
それが誰なのか、
記憶を探れば出てくるが、
誰が誰であったか、
この部屋では関係ない。
窓の向こうに手を伸ばそうとも、
扉の向こうに声を掛けようとも、
ひとつも ....
安全ピンに とめられた
近くで 鼓動が聞こえる
建てられた家の壁の 奥
にぎやかな笑も 枯れて
この 残された クサビだけが
奪われたものに対する こたえ
やがて 消えた鼓動の ....
薄紫の和紙に 小さなお山のように盛られた氷砂糖を
壊さないように 天辺からそっと摘まんで
可愛らしい唇に つん と付けては
何となく冷たい感触を味わうのよ あの子は。
口溶けは 冷やか ....
われ先にわれこそ先にと同じ日に蒔かれた姉妹の朝顔の咲く
狩りそして狩られることの無き国の王女の不在のごとき静けさ
水中を沈みゆくバス、運転手、乗客らみなほほえむ夏日
コン ....
あなたが海を歌うとき
わたしの瞳は波になる
愛していたと
告げる言葉が悲しくて
静かに揺れる波になる
あなたが空を歌うとき
わたしの胸は波になる ....
モラルを守るの、ラルモ
それは大切なこと大切なことよ
生きて再び歩いたりしてはだめ
火遊びもまた
街がひとつ陥落しているわ
ジス・イズ・ア・ペン
それは荒井注のギャグよ
スペ ....
帰ってくるよ
夏が帰ってくるよ
この火で埋められた季節に
死者たちが帰ってくるよ
*
ただ白いだけの変な鳥がいます。暑い夏の日差しを受けて、きらきらとその翼が輝いています。飛んでいる ....
かくとは
どういうことだ
なまくらの安包丁
長く使い過ぎ
先がひん曲がって
薄肉を切るにも逸らされる
研石を買ってはみたが
いま切るのには役立たない
天井に匂いが立ちこ ....
トムソンはがぜる
がぜり続ける
健やかに育ち
育ち続ける梢と梢の
間からメニューを覗き
何という名のファミリーレストランか
ハンバーグを和風セットで注文する
まるで都会だねここは
....
どうしたら此処から翔べるのか
そればかり考えていて
けっきょく何処にも翔べなかった
次々と羽化する蝶たちを
横目で見ながら
葉陰に守られて留まって
安穏
すがるような言葉 ....
ある日の夕方
ポチは神妙な顔をして
私の前におすわりをして
喋りはじめた
ねぇ。
ボクはずっと前から考えていたのだけど
どうして人は平気で人を傷つけたり
いがみ合ってみたり
....
ロケット花火に夢を託して放り投げたら
其れは真っ逆さまに落ちて
地面を這うように飛んで行ったんだ
ひゅるるるるるるるるる
どうでもいいデブな女に無理矢理欲情して
広末や長谷川など ....
ひらいた おやまの
むこうの おそらに
ちいさく てをふる
おにのこ つちのこ
とんとん とんのに
とうせん はなおに
とんから とんから
とうそう はなおに
ひらいた ....
幼い日々
などというものは
これまでも
これからも
全く変わりありませんので
特筆いたしません
或るときから
うたに喜ぶようになって
泳法はままならずとも
流れゆく日々 ....
いまさらながらだが、まったくおかしな時代になったものだと思う。恐らく多くの人が感じていながら、それでも黙っているのだろう。二十一世紀という現代に生起する現象、人の思惑同士が交差し合い、とんでもなくお ....
矛盾した水槽の住人は
矛盾した椅子に腰をかけ
矛盾したテーブルにクロスをかけ
矛盾したグラスで
矛盾したワインを飲む
矛盾した水槽の住人は
毎日が矛盾しているから
その矛盾し ....
このひと だれよ
じいちゃんの にいさんだぢだ
五人兄弟だったのも
三人は 戦争さ いって 死んだんだ
ほら もうひとりの おじさんは かえってきて
そこで 店っこやってるべ
じいちゃ ....
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