暮れる
時のなかで
凍土の冷たさの下に
埋められた思惟を思う
それらの骸の無念を
思わずして時は暮れることはなく
それらの物語の無惨を
録せずして時は回ることはなく
それでも日は沈み
....
ね、みんなは、恐竜だったころをおぼえている?
むかし博物館に家族全員を、父がつれて行ってくれた。幸せな会話で窒息しそうな電車、はやく終わらないかな。
父はティラノサウルスが好き。わたしはトリケ ....
破片が総合される月には
僕はたぶん接ぎ合わせるために
ちっちゃな経理係を呼び起こして
ちょっとだけ仕事をしてもらう
小欲知足
サブスクリプション
仮説と証明と検証
とってお ....
風になびく
ススキの穂が
水面を滑る
眼差す太陽にギラリと光り
到来した冬は
情け容赦なく
すべてを裸にし
覚醒の輪郭を
与えていく
透徹として刄の ....
・あの日
母が壊れてしまったのは、今から15年ほど前の冬の出来事だった。
当時高校二年生だった私は、北海道での修学旅行から帰宅し、うかれた気分で玄関の扉を開いた。
父は海外出張中 ....
暮れの空に 巨きな曇が
ひとつ浮かんで動かない
街を隔てる径のむこうに
家より高い鉄の樹がある
街へ 光へ
到くもの 到かぬもの
降りそそぐ 機械の星
花の星
....
11月の今頃になって
ハムスターが死にかけている
妻が巣箱の入り口に芋を置いても
出てくる様子がない
ペットショップで買って1年半
秋から急に痩せてきて
数日前から餌を食べなくなった
廻 ....
坂道に
水の流れ、
大量に
夜の透明、
車は行き交い
飛び込んでいく
人、人、人
君はスマホの
中に居て
綺麗な声で
歌っている
聴いたことのない
異国の歌を
夢見心地 ....
伝えれば 伝えるほど
孤独になっていくんだね
吐き出して 楽になるのは
臆病者なんだよね
その軽さに相乗りして
ふざける奴もいるだろう
注意するのは身の危険だ
賢者は黙る
やり ....
夜風
白銀色の月光り
かじかむ指先の、爪に落ちて、ちいさく照らし返す
甘い潮の香
はなうら 花占 花占ら
月明りの浜辺に咲き
揺れている花々を
一本一本摘んでは花びら千切り
時 ....
詩を書く時、自分の場合どんなふうかを少し書こうと思います。時々、こういう変な気まぐれをおこします。
まず
銀河、という言葉がすきだから銀河ということばをよく詩につかいます。
魚とか青色と ....
{引用=みずうみに
釣り糸をたらすと
うつくしい皺が外縁へむかい
逡巡をひろげていく
魚のいない惑星では
玻璃でできた液体はとてもあおい
水べの図書館の閉架には
魚偏で ....
路地裏の色なき風の通り道
コスモスの現れて消え君の町
栗拾いひとつぶ持って帰り道
草の絮あしたの風は明日吹く
痛みを持たない笑顔から
毒も疫病もない広場へと
脈打つ雫が落ちて来て
紙の上には無い言葉を晒す
今は誰からも忘れ去られた
早死にの国から群れは来て
陽に焼けた影の落 ....
何も無い荒野から
無いものの無い荒野へと
言葉を言葉に放つ指
言葉を言葉に散らす指
腕の先 拳の先
曲線 放物線
吸い込まれてゆく
泪とともに生まれる花
....
美しいと感じたものを美しいといいたい
全てはそれに尽きるけれど
その思いがどんなに強いとしても
なし得ないいろいろな理由が海のように拡がっている
海に{ルビ喩=たと}えれば海にゆるされ人に ....
今日、先年の水害で何もかもが水浸しとなった地区に行ってきた。路肩に植えらていた筈のマリーゴールドは尽く引き抜かれ、その代わりに黒い農業用マルチがのっぺりと施されていた。
ちょうど一年 ....
線を踏んで 花の内
爪先立ちの 花の内
花を 花を
他から多へ
掴もうとする手の反対側へ
しずくは落ちて 落ちてゆく
膝を折り 倒れる鏡
映るものは空と地ばか ....
またたき またたき
またたきの音がする
しびれているのは 右か左か
どちらの目なのか
両方なのか
左足を咬まれて
愉快でたまらない
左足の内に 咬んだものが潜 ....
考えても仕方の無いことを
考えても仕方が無いのだが 考えてしまう
考えて書けってなんだ
書くことは常に
考えの外に在るのだ
....
深くて静かな宙を一羽の鳥は行く
深くて静かな宙の深い静けさを私は感じる
私は気付き言い思う
たましいという いのちは、
山を形作る石の石としての役目であり
手紙入れに眠っているあの人の涙 ....
ぼくたちはいつも何処かに落ち着こうと
ぼくたちはいつも誰かに愛される為に
莫大なエネルギーをつかいながらも
それでも
せめて自分だけでも保持しようとしている
腸内フローラと循 ....
{引用=蝶の行方}
レモン水の氷が鳴った
白い帽子に閉じ込めた
蝶はどこへいったのか
太陽が真っすぐ降る
眩い断頭台から眺めていた
あの蝶の行方
自殺した詩人
現実を消去して残 ....
夏夜にヒューズが飛んで、飛んだヒューズを両手で優しく捕まえた。
そいつの正体は何と小さな蛍で、僕はその小さな光で一夜を過ごした。
肩幅で生きる
肩に幅があって良かった
夏は草の履歴と
雲の墓場
ただいま
おかえりなさい
言葉が影になる
初めてできた影だ
子供たちに見せてあげよう
昨日いた犬にも見 ....
去年の夏
海沿いの古い集落の
小さな宿に泊まった
窓から見えた自販機だけが
灯りらしい灯りで
ジュースを買いに出たとき
本当の夜を知った
すぐ近くなのに
宿の灯りが届かない
夜がこん ....
水たまりだらけのいちにちを
病院のベッドから眺めている
何冊めかの本をてにとり
2日めも暮れなずんでゆく
痙攣していたてあしが痛みから解放され
滞っていたからだの中の運河がなが ....
林床にはブナ林特有の雑木が生え
そこを刈り払い機で刈っていく
すさまじいヒグラシの鳴き声の海が森を埋め尽くし
私たちの耳に、錐もみ状に刺さっていく
急な斜面を足場を作りながら雑木を刈る
....
みさめがふりつづけばつちはながされて
わたしがうまれた
由来から植物は埋もれ酵素も分解されて
腐食の生きものたちがはみ出してくる ....
上っ面の言葉を交わしすれ違う恋人家族その他大勢
本当がまるで無いのになぜ刺したナイチンゲールの胸はくれない
表面張力肥大する星一つ縛れる嘘が行ったり来たり
面倒な人付き合いを弾いたら ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192