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夏の日に
僕等は少しだけ詩的になる
降り注ぐ太陽は殺意とともに肌をじりじりと焼いて
そんな苦役さえも受け入れて
僕等は夏を楽しむのだが

夏の日に
僕等は少しだけ何かを予感する
この喧 ....
夜に浅い眠りを過ごしていると
その夢のなかにどこかとおくの
海の波の ざわめきが入りこんでくる
未来への何かの予兆か
遂げられなかった過去の思いへの悔恨か
そのざわめきはこの脳を支配して
 ....
暮れる
時のなかで
凍土の冷たさの下に
埋められた思惟を思う
それらの骸の無念を
思わずして時は暮れることはなく
それらの物語の無惨を
録せずして時は回ることはなく
それでも日は沈み
 ....
とどまる 1

{引用=ここに
とどまっていると
裁かれる

変化のない停滞に見えて
それは罪であると
見做される}


とどまる 2

{引用=ここになんとか
と ....
今夜は雨もしとしと降っていて
もうずいぶん遅いから
誰も訪ねてはこないだろう
だから玄関に鍵をかけて
雨や風が外の空気を伝えてこないように
窓もしっかりと閉めて
ひとりで
瞑想するように ....
 眠れ
 眠れ
いまは
亡き者よ
 眠れ

遠くへ
遠くへ
行って
そこで
 眠れ
 もう
 帰る
ことの
 ない
遠くで

 眠れ
 眠れ
 ....
私はもうすっかり
おかしな人になって
それからずいぶんになる
何しろいろいろあったり
あるいはなかったりしたのだから
無理もない
夜中に煙草が切れた
もういまやこれだけで
おかしな人と ....
帰り道 いつも通る住宅街の
薄暗い側溝の上に
夜が血まみれになって横たわっていた
誰かに捨てられたのか この世の
仕組みから外れて落下してしまったのか
夜はその黒い身体のところどころに
赤 ....
もう何年も昔のことで、そのために遠い背後に過ぎ去っ
てしまったように思えるのだが、それでも時おりこうし
て思い返してしまわざるをえないほどに、いまでもそれ
は私のすぐ隣にある。あの時、私は事実に ....
年の瀬になると、人さらいがやってくる。寒くなって
きて、その年を振り返って、いろいろあった年を、あ
るいは何もなかった年を、何となく思い出している時
に、みんなが忙しくなって、着ぶくれした身体を ....
僕たちは立っていた
路上に立ちつくして
いつ訪れるかわからない
僕たちをどこかに
連れていってくれるであろうものを
ひとすら待ちつづけていた
僕たちは整然と列を
乱さずに立っていた
僕 ....
こうしてまた
私は還ってきた
別の混沌から
元の混沌へ

この世はただ混沌が
現象するだけの場所
あの世ではすべてが絶対的に
整理されている

  (おそらくそこに、)
  (天 ....
みずからの
罪に気づかない
それでいながら どこか
奇妙なうしろめたさを思って
隠れてしまう
逃げてしまう
みんなが笑い
さざめき 声を
かけあう中で
ひとり帰る
橋をわたって
 ....
僕たちは
太陽をかついだ
高く とてつもなく
高いところまで
持ち上げて
その中に入りこんでは笑った
僕たちは
それがいまなのだと信じた
ひたすらに信じながら
じぶんじしんの
中心 ....
眠ることでなんとか赦されているように思えて、夜はそ
のために親しい。けれども、眠れない夜はいつもやって
きて、私を不安にさせる。たとえば石のような硬さと冷
たさのなかで、それでもふるえながら眠ろ ....
小さなものたちが
それぞれに
自らの場所で躓いている
その中に僕も君もいて
むすうの僕と君が
それぞれに
自らの小さく見える
けれどもほんとうはもっと大きい場所で
同じように躓いている ....
僕たちは見ていた
星を
  夜の
    空の
それぞれの 星を
見ることで
何かが晴れ渡るわけではないけれど
僕たちは星を見ていた

夜の暗さのどこにも
それぞれの気持ちを投影す ....
{引用=――わらべうた}


空は晴れていました。それはもう、
実にみごとに晴れわたっていまし
た。僕(子供)は逆上がりができ
なくて、学校でみんなから笑われ
て、からかわれて、そのせい ....
 自分にとって詩とは何なのかということを考える時、必ずと言っていいほど詩と詩ではないものとの二項対立の図式を思い浮かべてしまう。これは思考のパターンとしてある種の悪癖であるのかもしれないし、安易な思考 .... 私たちは小さなものであり
小さなものであることの上に
居座っていた
当然のような顔をして指をなめ
ずるがしこい風を読み
来た道を戻っては
前と同じような幼い顔をしてみせた
そうして世界は ....
花がいままさに
ひらかれようとしていて
うたが人知れず
うたわれていても

読みかけの本の
頁がひらかれて
そのつづきが
つづかれてある言葉が
読まれようとしていても

なおもひ ....
ずっととおく
あちらのほうへいってしまった人が
てをふりつづけているようにおもえる
そのしろいすきとおったてのひらが
やみのなかできょりとともに
うすくなっていきながらも
きえずにまだみえ ....
四季の風がやわらかく
吹いてきてもはや空は
やわらかさのためにぼろぼろと
崩れ落ちそうだ
それぞれの四つの季節が
前後左右から風を吹かせ
大地は反り返り鉄塔は
まんなかでひたすら痒みにた ....
 人や物を分類し整理する。そして種類ごとに区分けし箱詰めして、市場に出荷する。人は様々な異なるものたちであふれるこの猥雑な世界を、そうやって分類してきた。そうしないと、世界を捉えることが出来ない。人が ....  あなたは憶えているだろうか。その日、桜の花が咲いていたことを。少し早い桜が、あなたの行末を暗示するかのように咲き、そして早くも散り始めていたことを。その日、あなたが亡くなった日、外のバス通りでは桜の .... {引用=――続・The Poetic Stigma}



 こんにちは。
 こんにちは。
 僕たちは呼びかける。呼びつづける。誰に向かってなのか、何に向かってなのか、僕たちにもわからない ....
 日本において詩は、難解であるか平易であるかというふうな語られ方をされやすい。詩作品をいくつか並べてみてどれが難解でどれが平易であるかというのは、誰にとってもわかりやすい物差しであるから、そうなってし .... るいるいと
つみかさなり
荒涼をうめつくす石
  これは誰かの
  さいぼうであるか
それらの石が記憶の
かけらであるとしたら
この場所に吹く風も
意味を孕むであろうが
ただ過去を予 ....
病人は目を醒まし
言葉にならない声でさけんでいる
葬儀屋が切り取った脚を
箱に入れて去っていく
皮膚は黒かったが
骨は白いままだろうか
もっと遠い窓の向こうでは
咲いたばかりの花が
離 ....
 詩誌「あんど」8号に掲載された井川博年氏の「期待しない ――若い詩人への手紙のようなもの」と題する文章は、これほどまでにひどい文章を読んだのはいつ以来であるか思い出せないというくらいにひどい、長年に ....
ふるるさんの岡部淳太郎さんおすすめリスト(152)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
夏の日に- 岡部淳太 ...自由詩1024-8-28
夢の潮騒- 岡部淳太 ...自由詩622-11-19
暮れる- 岡部淳太 ...自由詩3*20-12-31
小詩集・とどまる- 岡部淳太 ...自由詩820-6-14
訪問- 岡部淳太 ...自由詩1120-4-12
三月の子守唄- 岡部淳太 ...自由詩914-3-26
おかしな人- 岡部淳太 ...自由詩912-5-14
血まみれの夜- 岡部淳太 ...自由詩6*12-4-24
事実- 岡部淳太 ...自由詩412-3-26
人さらいがやってくる- 岡部淳太 ...自由詩711-12-31
壁画- 岡部淳太 ...自由詩1511-11-27
混沌- 岡部淳太 ...自由詩3+11-9-7
森閑- 岡部淳太 ...自由詩511-6-14
影絵- 岡部淳太 ...自由詩1111-5-17
眠ることで- 岡部淳太 ...自由詩4*11-3-26
小さな君への挨拶- 岡部淳太 ...自由詩17*11-3-14
星を見る人- 岡部淳太 ...自由詩910-9-7
幽霊のひもの- 岡部淳太 ...自由詩20*10-6-11
詩が沈黙する時- 岡部淳太 ...散文(批評 ...5+*10-1-18
波紋のように広がってゆく- 岡部淳太 ...自由詩6*09-5-15
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彼方- 岡部淳太 ...自由詩309-4-15
四季の風- 岡部淳太 ...自由詩509-4-9
分類される、箱詰めされる、そして僕等の元に届く。- 岡部淳太 ...散文(批評 ...1109-3-31
その日は桜の花が咲いていた- 岡部淳太 ...散文(批評 ...709-3-26
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共感装置の勝利- 岡部淳太 ...散文(批評 ...10*08-9-17
累石- 岡部淳太 ...自由詩1108-5-2
四月- 岡部淳太 ...自由詩1108-4-23
記名の呪縛- 岡部淳太 ...散文(批評 ...9+08-3-22

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