【ⅴ】
じろさん、泣いてゐたやうだ。自分は、悦美の為に涙一つ零せない。カンテラは憂愁に浸りつゝ、ランタンの中に籠もり、細い火を燈してゐた。と、
「お邪魔します」テオが猫用の出入り口から入 ....
〈竹秋や奈落大好きなる女 涙次〉
【ⅰ】
じろさんは蒼白な顔をしてゐる。「悦美が…壊れていつてしまふ」
そんな焦燥を、カンテラはまともに受け止めたくはなかつた。「今、もぐら國王が ....
五線
5銭
いちどの付箋、口笛
付箋、聴こえた
スマホのアラーム、ペットボトル、天井、壁
冷蔵庫、玄関、手袋と靴、ドアから階段
ゴミを捨てた息白く
つながる、つながらないか
....
うつ伏せに浮かんでいる文字の背を言葉に
揺れる水面
浮き沈むかたち象る
遠ければ遠いほど意味は重たく
暗い水底から手招きする魚影
木葉日のレモンカードの行方知らない
小鳥啄んでいる ....
風がさらさら
光がゆらゆら
気持ちに音符が芽生える
葉形の影はベース
踊る光はメロディ
影と光を聴きながら
行きたい方へ行こう
夜半から
夢見に何故か
愛娘の顔、
どんどんどんどん
遠のき消えゆき
哀しみ 溢れ 、
止まらなくなり
溢れ出すうち
溺れそうに
なりながらも、
いつしか 哀しみ
自 ....
〈くちなはの目醒め貴方の懐に大穴があるそこから這ひ出し 平手みき〉
【ⅰ】
朱那アケナは明らかに泥酔してゐた。「うー、水、水」
國王が水を汲んでやると、それをぐびぐび飲み、「うー ....
どうしましたか
知るか
ひまですか?
は?おっぱい?
なんですかそれ?
ひひお前なんで俺に話かけるん?
うざ
なーに触られたいの?
ひまひまひー
な、キモ
【ⅳ】
町會長である松本さんが、封筒を持つて事務所にやつて來た。「粗茶ですが」悦美が茶など出す。松本さんは、おづおづと封筒をカンテラに差し出した。「あの、これ」「は?」「トイレの魔物を退治して ....
〈早蕨や婆サの澁の味がする 涙次〉
【ⅰ】
テオが安保氏に「ボンド・スクーター(作者註)」の改造圖面を、メールで送つたちやうどその時だつた。「きやあああ」悦美の聲である。だうやらトイ ....
本質に即した思考に向かう人は、思考そのものの中に感情と意志とを共に見出すのである。
感情も意志も、現実の深みの中に存在している。
思考から離れて、「単なる」感情と「単なる」意志に向かう人は、
感 ....
にんげんは
しぜんをこわしながらいきている
かちくはふえたがやせいはへった
それにきづいてかんきょうをかんがえる
そんなながれにはなっているけれど
いままでのはかいをかいふくするには
ぼう ....
呼んでいる呼ばれている
誘い出されしまう憧れに
空のエメラルドグリーン
すぅうとひろがり意識の中
薄くけれど確かに染め抜かれ
わたしの還りを待っている
とてもとほい処に吸い込まれ
と ....
〈靑ぬたを食ひたし我が心乾く 涙次〉
【ⅰ】
珍しく仲本の方からコンタクトを取つてきた。
「頼みがある。『もぐら國王』(作者註)を捕らへて慾しい」「單刀直入だな、」とじろさん。「『 ....
人間の魂の働きの内で思考ほど誤解され易いものはない。
意志と感情とは、その状態を後から体験するときにも、魂を暖めてくれる。
思考を後から体験する場合には、大抵の場合、魂は冷えたままである。
思考 ....
ネット詩と理想主義
いろいろと暗すぎる。もっと理想に燃えた状態で、詩を吸収できる人、学び続けられる人、言葉の愉しみを共感できる人がなぜ居ない
ネット詩サイトで釣りで愚痴ってみたけど、 ....
【ⅷ】
翌朝、中野區役所の下では、人々のざわめきが起こつてゐた。男が一人、屋上からロープで吊り下げられている。白川であつた。
垂れ幕「この男、『倖せ教』前田聖心と騙らい、世に惡事を成した事 ....
思考の本質を観察を通して理解することの難しさは、次の点にある。
すなわち、思考に注意を向ける魂にとって、
思考はすでにあまりにも容易な仕方で正体を現しているのである。
しかもその場合の思考は魂に ....
【ⅳ】
テオ「あのジムニーの前の持ち主、割れました。白川と云ふ人です。佐武ちやんの顧客名簿に、ちやんと載つてゐましたよ。事故車のリストを、佐武ちやん作つてたんですよ」カン「佐武ちやんにも困つた ....
会議の資料
人数
件数
割合
金額
数値化され
外れ値のところ
除外され
無いことに
いつまでも
認知されず
対策されず
届かないところ
....
君はまだ歌を歌っている
昔から若かりし頃の君のことを知っているし
場末で歌う今の君の姿も愛おしく感じるけど
舐めるしかできなくなったバーボンのオンザ
ロックがこんなに辛いとは知らなか ....
おもいで
おもいで
ロマンす
どうも笑えば
あほものがたり
南天に昇り切った
オリオン座 、
頭をよじって見たよ
なんでかな
三っつの光点、
くちゅくちゅ
打ち込みながら
僕の口腔いっぱい
蜂蜜の味 染み込ませ
濃く濃く甘やか
....
〈永き日の向かう三軒両隣 涙次〉
【ⅰ】
杵塚の撮つた、カンテラたちのヴィディオが大分溜まつた。それで、テレビ・コマーシャルを制作しやうと云ふ話が持ち上がつた。カン「テレビ界には、い ....
ことば
言葉は踊る
それは絵のない音のように
音のない夢のように
過去から未来を連れてやってくる宇宙
文字はくしゃみから放たれる魔法のようで
ココロ オリコ ....
外のまま
内なまま
そしてしらない
だれかが分かるから
もうであった
【ⅶ】
駐車場でカンテラ(と、じろさん、テオ。彼らは身を潜めてゐた)が待つてゐると、一台の無蓋トラックが、恐らく改造人間たちであらう、男どもを満載し、滑り込んできた。
天神は、もしかすると ....
【ⅳ】の續き。
テオ「天神一享テンジン・イツキョウと云ふ男 -この男、一種のマッド・サイエンティストなんですが- がをりまして、侍らし得る限りの、勞務者、家なしの男らを集め、サイボーグに改造 ....
滞留が、腐敗を、呼んだ、堪らず、小石を、投げる、波紋が、広がる、何かが、変わる、それが、止まる、澱んで、汚れる、小石を、今一度、投げる、繰返し、波立つ、起伏と、窪みが、新しく、繋がり、人生を、揺らす、 ....
田中宏輔さんのおすすめリスト
(6879)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
NWSF怪畸幻想譚_斬魔屋カンテラ!!『所謂ゾンビ病について ...
-
髙任勇梓 ...
散文(批評 ...
1
25-2-11
NWSF怪畸幻想譚_斬魔屋カンテラ!!『所謂ゾンビ病について ...
-
髙任勇梓 ...
散文(批評 ...
1
25-2-11
たいくつくつ
-
wc
自由詩
10*
25-2-11
水葉日
-
紅茶猫
自由詩
4*
25-2-10
木漏れ日
-
海
自由詩
3*
25-2-10
あけびの怒り
-
ひだかた ...
自由詩
4
25-2-10
NWSFピカレスク・ロマン(スピンオフ小咄)『もぐら國王』①
-
髙任勇梓 ...
自由詩
1
25-2-10
ねむらさん
-
林 理仁
自由詩
2*
25-2-10
NWSF怪畸幻想譚_斬魔屋カンテラ!!『逆襲の汚穢河童』中・ ...
-
髙任勇梓 ...
散文(批評 ...
2
25-2-10
NWSF怪畸幻想譚_斬魔屋カンテラ!!『逆襲の汚穢河童』前篇
-
髙任勇梓 ...
散文(批評 ...
1
25-2-10
〈死んだ思考〉と〈生きた思考〉について3.
-
ひだかた ...
散文(批評 ...
3
25-2-9
にんげんは
-
海
自由詩
4
25-2-9
詩想、夕べ窓辺にて
-
ひだかた ...
自由詩
4
25-2-9
NWSF怪畸幻想譚_斬魔屋カンテラ!!番外篇『カンテラvs. ...
-
髙任勇梓 ...
散文(批評 ...
1
25-2-9
〈死んだ思考〉と〈生きた思考〉について2.
-
ひだかた ...
散文(批評 ...
2
25-2-9
ネット詩と理想主義
-
足立らど ...
散文(批評 ...
3*
25-2-9
NWSF怪畸幻想譚_斬魔屋カンテラ!!『倖せの黄色いジムニー ...
-
髙任勇梓 ...
自由詩
1
25-2-8
〈死んだ思考〉と〈生きた思考〉について1.*
-
ひだかた ...
散文(批評 ...
3*
25-2-8
NWSF怪畸幻想譚_斬魔屋カンテラ!!『倖せの黄色いジムニー ...
-
髙任勇梓 ...
散文(批評 ...
2
25-2-8
資料に載らないもの
-
海
自由詩
3*
25-2-8
君はまだ歌を歌っている
-
足立らど ...
自由詩
5
25-2-8
ちいさな味方
-
林 理仁
自由詩
1
25-2-8
夜想、オリオン
-
ひだかた ...
自由詩
4
25-2-8
NWSF怪畸幻想譚_斬魔屋カンテラ!!『倖せの黄色いジムニー ...
-
髙任勇梓 ...
散文(批評 ...
2
25-2-8
ことば_(谷川俊太郎氏風に)
-
洗貝新
自由詩
8*
25-2-8
いまのかぜ
-
林 理仁
自由詩
2
25-2-8
にかいめはだれでも
-
林 理仁
自由詩
2
25-2-8
NWSF怪畸幻想ロマン_斬魔屋カンテラ!!『子を連れて』③
-
髙任勇梓 ...
自由詩
1
25-2-7
NWSF怪畸幻想ロマン_斬魔屋カンテラ!!『子を連れて』②
-
髙任勇梓 ...
散文(批評 ...
1
25-2-7
揺らす、連続の、
-
海
自由詩
5*
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