下弦の月が冴え
 よく冷える晩のこと

 「おい、炬燵とは豪勢じゃないか!」

 浪人が、長屋の玄関の戸を開けて
 迎え入れた友だちは羨ましそうに言う
 煮炊きする へっついの傍
  ....
冨の神を崇める教義では、
あなたの身体と魂は誰よりも清く
その清い身体のために、
毎朝オレンジジュースを飲む

また、あなたの美貌のために
幼い夢を祭壇で屠り、鮮血を啜る

既に世界は ....
 これは季節感のない冷蔵庫
   一定の地位を占めるドライフルーツは罪なのであります

森の中で目覚めたまま立ちつくす僕のハムストリング
                          ....
いすらえるぱれすちな
いらんあめりか
うくらいなろしあ
けれど先ず
我が内に戦争在り



我が内に巣食う
悪魔の住みつき
我が内に
外なる悪魔の作用し
悪魔と悪魔に飽く迄我戦 ....
わたしはしもべ
かしずく石角を探している
あなたは月
欠けては丸み
レイとムイの中を結ぶ

ここは静か
塞がれた霊道の人気のない洞穴が
ひゅうひゅうと現世の暖炉を廻る
あちらからしか ....
それはこれのパクリやんて続けたら
いつのまにか独り

パクリでもすがりつきたい
みかづきのはじ

新月になれば落下する

不時着し
さがしもとめた
蜃気楼から
かきならせさけべ
 ....
郊外の夜
白い途に独り居て、
海辺の唸る光景
ふと浮かび、

 耀く光点

夜の青みに浮き上がり
白い途の先に拡がりゆく

〈だいじょうぶ、大丈夫だから進みなさい〉

澄み渡る ....
 「あら、この通りじゃ見かけない顔ですね。」

 近江屋の厨の隅
 水桶や たらいが置かれる陰にしゃがむ
 おきぬの頭上から覗きこむ おゆう
 
 「そうだよね。今晩の連れは、ちょいと痩せ ....
半熟の
玉子を潰す
愚か者


子供らの
夢を潰して
何を得る


テレビでは
テロップ流し
手を出さず
半熟玉子のような弱い存在が握り潰され
報道は状況だけをテロップで流している
ぼくができることはマンスリーサポートくらいなもので
あとは早期終結を祈るだけ

月並みだけれど人はみな兄弟姉妹だ
 ....
砂浜に書いた言の葉 夏の夜
波打ち際に 微妙なときに
 雑穀問屋の土塀の瓦に寄り添う 
 何やら神妙な顔つきの
 ふたり
 
 「あんたって、かわいそうなのね…。」
 目尻がスッと伸びて色気のある
 白猫 タマ

 「そうでもないさ。君に ....
遠さの感覚に目眩する
夕の地平は波打つ黄金

時の弛緩、凝縮の一点

佇立し打ち震える我、
沸き立ち溢れ来る
無穹に貫かれて
歯ミガキ、
センメンダイのカガミをとおして、
ハッケンされた、
すこしフクザツなキモチ、
歯ブラシを、
口腔にサシいれて、
なんとなくナマナマしい、
キミのセイカツの音、
じゃぐちが、 ....
 「俺は三両の、ねこだ。」

 河原の橋の下
 腹空かせてぶっ倒れている
 トラは 小声で
 それを自分に言うとのっそり
 起き上がる

 「また、その話か。耳にタコだぜ。」
 側で ....
大きな話題に(天災だとか、歴史だとか、戦争だとか、生命だとか、地球だとか)ばかり目がいってしまうと小さな大切なことを疎かにしてしまって日々の生活が雑になってしまうと考えて生きている人達のなかには、だか .... 陽に焼けた褐色の肌を晒した少年は
海の深さを恐れずに
コバルトブルーのうねりに逆らいながら
遠くの大陸を夢みて泳いだ

その汗は海の水に溶けてゆき
何処までも 何処までも 泳いだ

ア ....
昼に真紅に咲き誇り
その余りの濃密さ
異様な様相、
ガーベラの花冠
夜に黒ずみぐにゃり萎び



静かに笑う君は
穏やか天真爛漫に
笑い静かさ
気付けば
ふっと自ら白く消え
 ....
秋の到来に
夏の滾る熱が鎮まる。

高く濃くなる青の空に
漆黒の死の予感が孕まれる。

気付けば冬の冷気が
秋の優美な透明を強張らせる。

夏は冬の最中に
すっかり身を委ね、
凍 ....
皐月の若葉が茂る
木漏れ陽のベンチの下

隣のベンチには文庫本を読みふける少年がいた
たぶん少年が連れて来たのだろう
6㎏は越えている太ったブチ猫がいる

ぼくは遠慮がちに隣のベンチに座 ....
 「どう、あんたも。旦那様が飲んだ出涸らしで、お茶入れてきたわよ。」

 女中部屋の粗末な座卓に
 不似合いな 黒砂糖饅頭が五つも
 「どうしたの?コレっ。」
 目を丸くする 飯炊きおりんへ ....
 河原の橋の下で
 目を廻してぶっ倒れている
 トラ

 「どうしたんだ!お前。気分悪いのか?」

 そばへ寄って来る
 ホームレス仲間たち
 「そういえば、ここ数日…奥さん見掛けんな ....
 ある日
 河原の橋の下
 まだ うす暗いうちに

 藁蓆で作った擦り切れた叺を寝床にして 
 潜り込んで居るトラが
 目を覚ますと
 「うわっ、大変な雪だ!」

 彼の脇腹に頭を埋 ....
退屈な

陽射しのなかで

本を読む
凛とした

桔梗の花を

黒髪に

一輪さした

花のかんざし
透明な味のレタスが大好きで
ぼくは時々共喰いをする

今日のお昼は喫茶店でレタスベーコンタマゴサンドを食べた
レタスこんもりのライ麦サンドにアイス珈琲
絶妙な組み合わせだ
シャキシャキ バ ....
海硝子が集まる潮溜りがあるんだ
陽射をまといやわらかにおし寄せる汀
ひっくり返ったヨットを数え
貝殻なんかひろっていると
不意に気が遠ざかる

雨になれば走れなくなる白い電車が
通う島に ....
抹消され
ては、
現れ 現れ
ては、
抹消され

異様な謎 謎の異様
死を前にして
終止符打つこと無く
絶えず律動し続け

 階段を昇る
 宙空に浮き
 枯れ草散らばる
  ....
恋は一滴の純水から始まり

甘く
酸っぱく
ほろ苦く

谷をくだり
激しく澄んだ渓流となる

やがて世間の汚れを抱き込み
滔々とした大河の流れとなり
不動の愛に変わる

命終 ....
 その人の
 ぶ厚い唇から飛び出した一言は
 熱っぽかった

 「あなた、でしたかっ!」

 (は?…。)
 パリッとしたスーツ姿で
 母の仏前に座る中年男性とは
 全くの初対面
 ....
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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