ぼくはなんという大馬鹿ものなんだろう
話はみなぼくのわがままばかりで
きみを深く傷つけた
欲しいものを正直に欲しいと言わず
何より大切なきみを失った
歳の差を気にして戸惑い嘘をついた
もっ ....
恥ずかしくらい若かった
初秋の街角から立ち込める金木犀の香り
今でもその匂いを求めてさまようことがある
その、樹木のある家を見たこともなく
たぶん老人が住んでいたのであろうか
おそらく猫もい ....
日本の財閥の勃興を江戸後期から現在までの
視野で描いた広瀬隆という方の『持丸長者』
という書物をネタにいろいろ書いてきたので
すが、この本、ひとつ欠点がありまして、
日本財閥生成の過程を江戸時 ....
気のつよいのは、はは
泣きべそなのは、ちち
そんなふたりに、わたしはよく似てる
いつになってもこのかなしさは
変わることがない
いつになってもこのさみしさは
何にも代わることはない ....
真っ白な大地に紅い亡者がチロチロと
不吉な舌先で黒いヤモリを舐めながら行進している
灰色の雨が濁った街を濡らして
怒りと哀しみの入り混じる極彩色の絵の具を溶かす
人々の瞳に宿る炎が
どん ....
焦茶色の土に塗れ
横たわる聖護院蕪と金時人参
自宅裏手にある井戸で
背筋凍るような水を浴びて
凹凸の肌を露わにする
長い間固い土に埋もれていた彼ら
掘り出されてやっと日の目を見る
さ ....
舞い落ちる
舞い落ちる
花びらに埋もれて眠りに就きたい
潔良い花のように
波乱万丈の路を歩んで来た
想い出が有りすぎて
ぽろり ぽろりと喜びの涙が零れ落ちる
数えてきれない壁を突き破って ....
ぽかんと丸月の
薄雲る空に浮き出でて、
また不思議に甘やかな
にほひ辺りから漂い来て 、
あゝこの意識に時空の
溶ける融ける、蕩けゆく
駅までの道のりが
気怠い朝
右側に公園
木々から
ピヨピヨ
左側に民家
屋根から
ピッピッ
鳥たちは
何を話しているのだろう
ぼくは
真ん中で
おはよう
....
べいじょん
これはなんだ
アメリカ人だよ
べいじょん?
なに金持ちなの?
しらね
でなんだべいじょんつうのは
知らんて
お前が言ってきたんだろ
お前なら分かると思って
意味わからん ....
すぐつもる
雨は
おととい
きのう
今日だよ
なあ
迷いに悟りまぜんな
何が?
もうええええて
かなしばり
目
横顔
それだと思ってたの?
あなた、ほ ....
香を焚き
花を散らし
夜は更けてゆく
想いは深く星空に消え
来し方を想いだす
きみと暮らした18年
時には重く
時には軽やかに過ごして来た
互いに栄華の時は過ぎ
これからは別 ....
陽気に囲まれて
気持ちが持ち上がっていると
釘のように刺す影
不安の裏地で
肌がかぶれる
絶望ばかりしていた
私にさようならしたのに
転落しそう
眩暈に揺れて
踏みとどまる
....
おとなうもの
波打つ光の流れに
私のいっとき入り込み
ヌメる肉の黄金、
宿る生命の身悶え、
光滴の飛沫ひびき立ち
時の一刻み伸びひろがる
意味の喪失された場所で、
私のとっ ....
──「持丸長者」とメディアと久坂葉子 Part 2──
えー、いきなり堅いお話ではじまって恐縮ですが、
現在の日本というのは文学がどこまでも衰退して
いる国といってもいいと思うのです。一国の ....
たづなを握りしめて
人生って正しいことが何なのかどうすれば良いのか良かったのか
何年考えても答えが見つからず、見つからないまま、次の局面に
進んでしまう繰り返しなのかもしれません。悔いの残ら ....
ここ半年で二人の女性に片想いをした
妙なことに二人とも腰に複雑なボルトが埋め込まれ
夜のお付き合いは出来ないと言う
ぼくも薬の副作用で役に立たないでいる
精々がハグをしてキスをすることしか出来 ....
部屋の灯り消し
ぽつねんと
響くもの 聴いて居る
此処からすっと
出ていきながら
美しい沈黙 重ね合い
ふっと
寄り添うもの
現れ消えて
また現れ
響き輝く ....
待ち時間にファミレスで
注文のランチはすぐに平らげて手持ちぶさた
大型案件がすぐ目の前
いつ呼び出されてもいいように
張り込み刑事さながら待機
スマホの充電が減っていく
ドリンクバーで何度 ....
辛いね
なんてもよそれを
あんま分からんくするやつ
若い人は何考えてるか分からないという
似たりよったりのじいさん
では
性欲なんでしかないなら
どうなのかね
僕らは、コーラの液体 ....
きみはどこでおりるの
ないしょだよ
そっか
ほしへかかる鉄道
どれくらい経ったかい
あれからどれくらいたっただろうね
君が降りてから何年経ったかい
ぼくがおりてからなんねんたった ....
ようやくとかが
女ぶるから
それが
何か俺な気がするのが
もしかしたらほんとうで
でも確かな答えではないから
迷ってるんだが
別にあれを
俺の中の何かとして
別にそれでも
問題ない ....
白璧六畳の小部屋から
ふとベランダに出れば
やはらかな光射し込む
この夜半 、
想わず見上げた瞬間に
輝きの半月 ぽっかりと
包み込まれる静かさに
この肉身の深く息を吐き
出した音色の ....
冷たい指先で触れた過去
黒いインクが滲むように
記憶からじわり漏れ出す
あの日ぼくが殺した夢が
まだ静かに息をしている
硝子越しに見る自分の影
歪んだ顔が口角を上げて
逃さないと脳内 ....
絶望を嫌がってました
実は気持ちよかったね
でさ
苛立ちを嫌がってました
でさ
実は気持ち良かったね
闇を嫌がってました
でさ
実は気持ち良かったね
....
つーかよ
そんな少年
だからなに
だから何とかよ
つーかよ
ギャー
鳩っていいよね
そんなもん
あのおばさん
悪いよな
何が?
すなすなすな
ビルの上
まわる ....
広瀬隆「持丸長者」三部作を読んでいます。
これは膨大な資料を駆使して江戸時代の享保年間
から近現代までの日本の財閥、閨閥、学閥が蔦が
からみあうようにからみあって複雑に増殖する過
程を組織図や ....
苦痛も
さてと分かってしまえば
さてとどうもない
つまり
分かっているわけか
そういうからそうなる
あの子は良い子なのに
黙れ
それでも私は良くなる
あんな敵に
勝 ....
幼い日々を映す鏡は真っ黒
警報と瓦礫の思い出
爆撃から守ろうと摘んだ花は
ドライフラワーになって胸に残る
わたしの正義は残酷だった
誰かの正義が真っ黒な鏡に
矢を放って
鏡が割れると
....
たんまり稼ぐのなら稼いでもいいからワクチンは水
でもよかったのに、その上、命までとるなんて──
にんげんはつくづく欲張りだ
そして
狂っている
通常10年はかかる臨床観察を短縮し
通常 ....
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