内に鐘打つ渇望の
解き放たれ
声を発した途端、
子の生まれ
袖をまくれば
ぐんぐん育ち
来てはまた逝きまた来ては
点を辿る以前にもう円周を想い
後に残すお部屋にぶち撒けられた ....
平凡に生きていると暇なシロガネーゼのマダムも外国語を習得したり多忙極める研究者はますます専門分野に分け入ってしまう。詩をメタで極める方々は見ていると逆転する。忙しいときこそ全領域を深めている。
....
万太郎和尚は、こう言うた。
「知の論理において揺れず、力によって負けた人間は棒で脅されても揺れなかった賢者として、天によってその名誉を守られるであろう。力によって勝った人間は論理によって勝ったと思い ....
鏡:私は鏡。今日も沢山の人達が私を写しにやってくるわ。
うんこ:おう、オイラはうんこ。トイレ鏡君、いつも有難う。人生とは、欲を持って立ち上がり、壁にぶつかりて抑えを知り、志を抱いて義を守り、悶え葛藤 ....
暗闇の中、心を塞ぎ、助けを求めていたおにいちゃん
欲に溺れ恋に迷い、それでも我慢し、じっと耐え堪えていたおにいちゃん
愛を求め、憎しみを深め、僕を自らの吐口として選んだおにいちゃん
夢を見て、気 ....
耳に脈動の唸り絶えず切迫し波打ち
心音血流絶えず響く 変わらぬ苦悶の夜に
東の空からオリオンの昇り三つ星輝き 、
私の現の幻聴の下 遠く近く宇宙の現
我の内底から絶えず突き上げ
....
愛と{ルビ細=ささ}やかな経済力があれば
やって行けると思っていた
疲れたぼくは入院することになり
毎日を{ルビ繭=まゆ}の中に包まれ
平穏な時を過ごしている
知り合いもたくさん出来て寂 ....
私は私
蛇は蛇
どちらも支配してはいけない
欲望の首輪をつけて引いていくような
関係性は破滅を招く凶
それぞれの厄災はいくらでもあり
各々の環境を整えるのが吉
生態系のバ ....
寄せる波 返す波 、
到来したこの朝に
陽の光の闇を照らし出し
漆黒の真っ青に染め抜かれ
光を透かし彫りにし
浮き上がり
返す波 寄せる波 、
突き上げ突き入る
うねり唸り ....
調子っぱずれの音を奏でている駅ピアノ 冬休みももう終わりか
柱の隙間から拝む富士山となりました
子沢山の家の洗濯物 日が落ちてもまだ風に揺れている
最強寒波襲来 シクラメンも私も家に ....
関東平野には一月現在
何か欠けてゐるものがある
僕は髙校入試の合格發表の日
初春だと云ふのに
いや春だからこそのどか雪に
足を取られた事を思ひ出す
さう、雪
雪がまだなのだ
その日僕は ....
悪夢を見る男がいて、そんなの勝手でしょとなる
悪夢を見るのは人の勝手だから、そんなの勝手でしょとなる
本当に、そうだろうか?
本当に悪夢を見るのは、その男の勝手だろうか?
男の名前は浅井龍 ....
悪しき平等のなかで共創を加速させる為には
悪しき平等には最初から身体がない。或るのはおのれが生き様。過去と現在を束ねた雑巾から溢れでた禍々しさが悪しき平等から伸びた触手を生み、おのれの身体 ....
今夜のメニューは
厚揚げの明太味噌焼き、つみれと大根煮、水菜のお浸し
ワカメご飯だった。
ぼくは何時も残してしまうが、食事管理の小枝さんは
「よく頑張ったね!」と褒めてくれる。
小枝さん ....
はらいたまえ
きよめたまえ
かむながらまもりたまえ
さきわえたまえ
こうするしか為す術がなく
こうすることはできる
垂れる頭は重く
祈れば祈るほど
涙が込み上げる
復元で ....
巨大な扉が開かれる
自らの内に作動スル
私性を超えた普きもの
脳髄の筋立つ動き蠢きに
自らを意志する思考と云う
ひとつの現 宇宙過程 、
自由闊達に走る、走る
☆
....
僕は何くれとなく世話してくれる
女人ニヨニンを探してゐるのです
稲垣足穂の奥さんとなつた人は
他の作家の使用濟みの原稿用紙を集め
その裏に足穂の文を
書かせたと云ひます
貴女と僕とでは ....
時には母のない子のやうに
一箇のカレーパンを貪る
時には子のない母のやうに
花と云ふ花に名前を付ける
僕を踏み台に出來たなら
それは彼女らの優しさだつたらう
嗚呼そんな戀心だつた
僕 ....
昔の事というのはひどくキラキラしていて、内臓や脳味噌が泡立つような気持ちになっていた気がする。
年末から年始にかけてはスキー場に急ぐスキーヤーたちが雪煙を上げながら、山村の県道を疾走していたもの ....
日本海沖に暖流があり
それに彼は潜ると云ふ
二つの世界
鈍色と
原色
僕が不屈の詩人である為に
彼を取り込む
僕の胎内
母となり、僕は二つの世界を
持つ‐
鈍色
原色
彼の荒野 ....
詩とは何か
詩であるか否かは自分で決めるものではなく詩心の或る他者の手に委ねられている。
他者のなかには自分のなかにいる他者を明確にできる他者も含むが明確にできる人はとても少ない。
詩心 ....
冷たい雨がボトボトと傘を打つ
自然と俯きがちになる
温かなものが恋しい
こんな日に限って一人きり
水たまりを避けながら
家路を急ぐ
いっそ雪になってくれたなら
空を見上げて
頬に触れた ....
つるりとしろいプレートに盛られ、
真白く連なるポテトサラダから
球形の緑に滑るグリーンピース
注意深く刺し掬い取り除ける
フォークの動き 銀に輝き
シシシと笑う彼女の両頬に
笑窪穿たれる ....
あの人の博識が慾しい!
と云つても
返つてくるのは
お前には詩がある、だからそれで自得せよ
と、そんな言葉ばかり
〈子供らの鏡開きや甘く待つ 涙次〉
本当は甘く待つてゐたのは
お年玉だけ ....
きみはカレーが嫌ひだと云ふ
お蔭で僕は、カレー嫌ひの人間は
信用するに足らない
と云ふ言葉を
取り下げなくてはいけなくなつた
夏は爽快
冬温まる
そんなカレーを
嫌ふきみはだうかしてゐ ....
凡人56歳
大事に大事に
「私腹を肥やす」
確かに腹は大切なのだ
手鹽にかけた人生が詰まつてゐる
そして顔
丸みは年輪なのか
それとも‐
もしも太宰のやうな三十代でピークを迎へた才人が ....
○「失敗損」
失敗は教訓にかえて生きていくしかないね
そうでなければ失敗損になる
○「交通事故」
事故は一瞬で起きる
油断大敵だ
新年早々駐車している車に接触してしまった!
狭い駐車 ....
午前三時
茹で玉子の薄皮のような眠りは破られた
ゆうべ飲んだ珈琲が効き過ぎたのだろうか
迎え珈琲に冷えたTULLY'Sのブラックを飲み
ホールで覚醒を{ルビ促=うなが}した
煙草が ....
炬燵に潜った黒い詩のかたまりを蹴とばした
かたまりは、黄色く悲しい柄の炬燵布団を這い出して
畳に埋め込まれたトランジスタの蜜を指で掬った
雪と雨の雑じった空の涙を、吊し柿はただ見ている
正 ....
かつて
グラスから溢れ落ちた
水の音と
いつかの記憶と
夢であり、そのなかの現実であり、
日常と、仮設された風景に。
壊れた右手に接続された眼が、
路地裏に放置された
光の内側 ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230