今、生をうける。
今、そのかろく、うつくしくもあるアポトーシスの進行形。
れっとう意識から発せられたものでなくして、
垂直な風の歌
お前はそれを、いつ問うだろう。
この倫理のなにかも ....
私って
良い人ですか?それともきわめてワルイ人
そんな質問
誰かにしてみたくなった
その日
たまたま入ったファミレスは空席が目立っていた
ランチタイムと夜の混雑する時間帯ではなかったと ....
喉までせりつめてくる
ものをいなし
喪われた月で首飾りをつくる
詩篇の鉄道は砂礫ですっかり
いっぱいだ
降り掛かる酵母のようであろう
それはやさしげなシダ胞子
副詞に錠をおろ ....
ここは、森であることを、許されてはいない。
しかし、森でなかったことはない。
森について、何も知らない。
しかし、森のすべては、予め知らされている。
森を、思いだすことは、できない。
....
昨年、父が庭に植えたハナモモの樹(桜の時期に前後して紅白のにぎやかな花を咲かせる)がはからずも倒木の憂き目に遭った。特別、大風が吹いたわけでもないが、黒々としたその幹は人知れず根元からボキリと折れてし ....
昔馴染みの店長がいる
地元の古書店へ行った
店長とはたぶん15年以上の付き合い
ひさしぶりにみた店長の声は
若い頃のままだったが
見事な白髪へと変貌していた
梯子を昇り
15年前と配置の ....
職場でお寺の話になって
昔あなたと行ったお寺のことを思い出した
名前も場所も憶えていなくて
ネットで調べていたら
手が滑ってあなたの家を見てしまった
恐ろしいことに十数年の移り変わり写真 ....
私はカフカの変身を読んだ記憶はありません
小林多喜二の蟹工船も倉橋由美子のパルタイも読んでません
ただ書店で何度か本を手に取った記憶はあります
私は芥川龍之介の芋粥は完読しています
太宰治 ....
プールの底からみえる
陽にゆれる水面
一篇の詩さえ
書けないってどういう事だろう
浮上とは何です、この場合
ミューズよ
今ってところで宇宙のどの{ルビ辺=あたり}
ハシバミ弾けて心臓が痛い
いみなく死んでうまれて散って
いつとはなしに猫ばかし
時それは非生物だ
ああ
深海魚コーナーになりたい
夏
中学の教室では前席のおんなのこのブラウスは下着が透けて
授業か終わり起立礼の時に前がふくらんだスボンを
クラスメートに気づかれないかと
ヒヤヒヤした事度々あったよ
俺は
尖ったコン ....
綿の毛が風に飛ばされ
小麦の穂は枯れていく
見よ、紙幣と言われた紙屑が宙を舞う つまり
誰かがシュレッダーにかけてビルの屋上から撒いたのだ
これは、ま ....
ひさしぶりに古本屋にいき
古本をみてまわった
買う金がないのでおやじと話をした
ひさしぶりに人と話す
しかも本のことがわかる人と話すのは
何年ぶりだろう
数年前の岩波文庫の充実ぶりを褒め
....
永遠からすれば
一瞬に過ぎない
この今を
落ち続けている
この俺は
奈落の底まで
落ちて行く
後少しで
叩き付けられる
俺の体が
叩き付けられる
時間は普通に流れている
空 ....
{引用=あるものがそのものの底をいっかい弾き、とびあがりじぶんや何者かのもとへ訪ねてくることをかんがえていましたが、それはちがったかんがえでした。だってあらゆるのものが、いったんそのものの底を弾いた歌 ....
{引用=失語です
たんぽぽ珈琲みたいな時間です
シロツメクサと{ルビ勾玉=まがたま}です
万雷の拍手とおく
幕開けしないオペラのひとくさりなのですから
枝振りのかたい{ルビ椚=くぬぎ}は ....
イキイキと
毎日を充実して過ごせたら
それはまことにハッピー
かも知れない
けれど
私にとっては
何だか針を立てられてひたすら回され続けるレコード盤みたいで
イヤだな
針はいた ....
鬼は内しばし歓談{ルビ節分会=せつぶんえ}
福は外外とは誰ぞの家かもと
月兎{ルビ杵=きね}に仰け反る良夜かな
{ルビ聚=あつ}めたる月光きざす魚市場
春一番吹いて耳朶やはらか ....
空という海になれない碧の果て空どこまでも海に骨ぬき
一握の土に賑わうたましいをそっと戻して春風うらら
まあいいさどうでもいいさべつにもうとうていこんなひらがなばかりじゃ
霜とりの篦に ....
知覚感覚が
空の彼方を震えさせ
海の底を掻き回しても
それがいったい何だと言うのか
僕には大事な夢がある
胸震わせる予感がある
たとえ旅路が終末でも
置いていけない憧れ持ち
五感の海を ....
十
十の詩を書いたそして消した
これが十一番めだだけど
十のよりずっとわるいかも
もうここにはなんにもなくってあるのは
指に凭れる少しの重力と諦めだ
あんまりじぶんとばかり遊びすぎて何度自 ....
『エデン〈小噺〉』~認識主義的宇宙の蛇~
じつは宇宙の広さは認識により変化してきた、これはちょっとした秘密。
太初。アダムとイブ、この二人が歩き回れる範囲が宇宙の全てだった。 ....
一晩で
家をすっぽりと
覆いつくしてしまう
恐ろしい豪雪
豪雪のことを
白い悪魔と呼ぶらしい
悪魔は人と太陽を
欺くため
無垢な白という色をまとい
よくみると
....
死んだらさ
じっくりじっくり焼かれてさ
灰になるまで焼かれてさ
本人痛くも痒くもないから
残酷でも
許されるんだろうな
親族一同が集まるなんて滅多にないけどさ
二人一組になってさ ....
町並みに森の匂いがした。
公園を三つ。階段を二つ。知っているパン屋の匂い。スーパー。雑貨屋。ともだちの家。
学校を見下ろす長い坂道を下った。
社を通り過ぎて、実家を通り過ぎて、足は、足を、通り過 ....
「風理」
退屈そうに
地球儀をまわしていた
かみさまが
ふとした拍子に
ついたためいき
あたし
地図は読めないんだけど
風図は読めるの
ぼく
地理は苦手だけど
風理は ....
雨のおとがした
雨がようやくふっている
この服を脱ぎたい
そうしたら
気のいい単語と
すこしの助詞や助動詞たちを連れ
ピクニックにいくんだ
パラソルの下で
サンドイッチを食べる
貝殻を覗いて
蟹を見つけたり
珊瑚や不思 ....
夢の夜空に星々は
巨大に不穏に輝いて
渦巻く星雲が三つ四つ
眩めく明るさに発光し
それぞれの存在を鮮やかに
闇のスクリーンに穿っている
夢の夜空はやがて刹那
一つの艶かしい発光体とな ....
よいものがよいというのはすてきなスギ木立だね
そうそうフィトンチッドというのでしょう
なつかしくそれは善意のまるで濁点だから
それがそうあることは
いよいよ意味の肌気を脱ぎ始めるというもの
....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174