すべてのおすすめ
天から、黒い玉が落ちてきた
これを転ずることができるのか 
紅白の梅の間を、雀がひとり
世のしがらみを解かれて
地面の上を翔んでゆく

目線の先に塀は近づき
道は曲がる

未知なる明日の方角へ
僕は親指を立てて
あなたの顔に、見せる

しばらく忘れていた
Thumbs up の合図を
あなたに
僕に
この夜に

フェイスブックに
ツイッターから
インスタグラムまで
誰 ....
朝、起きる前の布団の足下に 
ダウン症児の息子が入ってきて
妻がぱちりと、写真をとる 

頭上の壁には
ミレーの「晩鐘」
(一日の労働を終えた夫婦の祈り)

窓から朝日をそそがれて
 ....
庭で夕空を仰いでいると
足下の、少し離れた場所が 
ふいに がさっ と鳴った

古い柿の木から
枯葉の吹き溜まりに
実がひとつ、落ちたのだ

よく熟れた柿は
ほんのりと夕陽に染まり
 ....
かれはすごい 
てんかんの発作で
鼻の骨が見えそうな傷を負っても 
支援学校の上級生に引っかかれ
ほおに血を流しても

夜、パパが家に帰り 
ドアを開くやいなや
百万ボルトにまさるほほ ....
ゆっくり育つ息子が
五歳にして
歩き始めたので
日曜日の公園へ連れてゆく

小さな影は、{ルビ日向=ひなた}にのびて
ひょこひょこ歩き
地べたに尻餅をついては
砂を、払ってやる

 ....
キーツが本の中から語る
細い川の流れが、視える

道を歩くわたしの影にも
細い川の流れが、視える

時代も国も
異なる二人の間を
結ぶ
ときの川のせせらぎに
耳を澄まして歩けば
 ....
ジャズの{ルビ老舗=しにせ}・ドルフィーで
朗読会の司会をした

詩人達は{ルビ数珠=じゅず}の言葉を…{ルビ紡=つむ}ぎ
休憩時間に賑わう
暗がりの店内に紫煙はたゆたう

カウンターの ....
仕事を辞めてから
5才の周ちゃんと過ごす時間が増えた
染色体が一本多いゆえ
絵本を読んでも

 あーうー

歌を歌っても

 あーうー

だが時折、大きな黒目をぴくりとさせて
 ....
枝に留まった、夜の{ルビ梟=ふくろう}
少々首を傾げ
まっ黒いビー玉の瞳で
あなたをじぃ…と、射る

――梟は、仮の姿で
  ふっくりとした着ぐるみの中に
  小さな哲学者がいるらしい
 ....
夕暮れの帰り道で
ジャージ姿の青年達が
手にしたスマートフォンと
睨めっこしながら下校している。

少々早足で追い越す、僕は
声無き声で呟いた。
――染色体の一本多い、周は
  彼等と ....
頬をなでていった、風を
振り返った遠い背後の道で
独りの樹は嬉しそうに、葉をゆらし
無数のみどりの掌は
こちらに合図している

この足もとに伸びる人影が、口を開く
(見エナイ世界)を呟く ....
白い壁に掛けられた 
金の額縁には 
名も知らぬ画家の描いた 
淡い水彩画の少女 

朝の光に透けながら 
すきま風に膨らむ
カーテンの窓辺に佇む
黒い瞳の少女 

日々多くの人と ....
 昨夜は新しい詩集「Familia」の出
版記念の詩の夜であった。何人もの詩の仲間
がこの本を手に取り、休憩時間にメッセージ
と名前を書いて、一人ひとりに手渡せた時、 
僕は詩を書く者の幸せを ....
「世界」という名のパズルから 
はみ出した1ピースの「私」は 
いつまでも 
自らの存在に、飢えている

風に揺られる野の百合や 
空に翼を広げる鳥は 
「世界」という名のパズルに入り  ....
休日はらんぷの灯の下に 
古書店街で買った 
古びた本の、頁を開く 

少し引っ張れば 
すぐに千切れてしまいそうな 
薄茶けた頁に並ぶ無数の黒字は 
遠い過去から語りかける 
音の無 ....
初老の母ちゃんを乗せた 
旅客機は 
赤ちゃんを産んで間もない 
姉がいる富山を目指し 
羽田空港の滑走路から 
大空へ 
飛んでいった 

定年をとうに過ぎた親父は 
警備の泊まり ....
「 いってきます 」 

顔を覆う白い布を手に取り 
もう瞳を開くことのない 
祖母のきれいな顔に 
一言を告げてから 
玄関のドアを開き
七里ヶ浜へと続く 
散歩日和の道を歩く 
 ....
どうやら僕は
今迄の思い出を 
大事にしすぎたようだ 

部屋の中は 
まだ終えてない宿題みたいな 
山積みの本  

ポケットの中は 
札は無くともささやかな記念日の ....
「免許を取るには、年齢位の金がかかる」 

誰かさんが言ってた通り 
33歳にして33万という金を 
母ちゃんは惜しげもなく貸してくれた 

二俣川で筆記試験に受かり 
初めて免許を手に ....
春雨の降る午後 
私は一人傘を差し 
無数の蕾が開き始める 
桜並木の道を往く 

三っつ目の信号を曲がり 
学校に沿う坂を下ると 
傘を差す 
君の母が立っており 
喪服の私は頭を ....
わたしそのものである時 
からだのない(風ノ人)が 
わたしにかさなる 

虫けらだったわたしの尻に 
小さな青い灯はともり 
透けたからだは発光する 
北風に震える 
枯葉並木の向こうへ 
携帯電話の画面を見ながら 
朝の歩道をのんびり歩く 
ふたりの女子高生を 
追い抜く 

シャッターを開いた 
動物病院の女医が運ぶ 
{ルビ檻 ....
「 無 」の風が吹きぬける 
わたしの胸のましろい空洞から 
ひとり・ふたり・・・と 
かけがえのない人影がこちらに歩いてくる 
信号が青になり 
「通りゃんせ」の唄が流れ 
人波に紛れ横断歩道をわたる 

若い市議会議員はひたむきに 
「よろしくお願いします!」 
そ知らぬ顔で通り過ぎゆく人々に 
自分の顔がにっ ....
わたしは怠け者であるゆえに 
連休前に風邪をひき 
おまけの休みの時間のなかで 
らんぷ一つの寝台によこたわり 
両手に持った本を開いて 
在りし日の 
詩人の哀しみを読む 


  ....
昨日は忙しい時間に 
トイレに座らせたお婆ちゃんの 
下ろしきれなかったパンツが 
お尻と便座に挟まって 
無理に脱がせると 

  びりり 

両手で持ったパンツには 
小銭の穴が ....
捨てられた便座の{ルビ蓋=ふた}が 
壁に寄りかかり 
{ルビ日向=ひなた}ぼっこしている 

日射しを白い身に浴びて 
なんだか 
とても幸せそうだ 
木の幹にとまり 
無心に鳴いて一週間 
地に落ちて 
引っくり返った蝉の亡骸 

無数の蟻に 
体を喰われながら 
丸い瞳に陽の光をうつし 
両手を合わせていた 
ふるるさんの服部 剛さんおすすめリスト(190)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
白い球- 服部 剛自由詩122-5-31
鳥の道- 服部 剛自由詩122-5-31
Thumbs_up- 服部 剛自由詩422-3-16
冬の朝- 服部 剛自由詩822-2-22
柿の知らせ- 服部 剛自由詩8*21-11-18
電球のひと_――ダウン症児の息子に――- 服部 剛自由詩1120-4-8
日曜日の公園- 服部 剛自由詩12+*18-2-9
足音- 服部 剛自由詩918-1-25
詩とジャズの夜_―ドルフィーにて―- 服部 剛自由詩3*18-1-5
もみじの手- 服部 剛自由詩1017-1-13
梟の目- 服部 剛自由詩316-5-19
たまねぎ___- 服部 剛自由詩516-4-23
- 服部 剛自由詩1214-12-30
窓辺の少女_- 服部 剛自由詩16*09-6-17
詩集「Familia」に込めた想い_〜(もう一つの世界)に尽 ...- 服部 剛散文(批評 ...509-5-19
「_世界のパズル_」_- 服部 剛自由詩309-5-14
「_古書ノ声_」_- 服部 剛自由詩809-5-11
幸福の食卓_- 服部 剛自由詩1809-4-3
海に還った祖母に捧ぐ_- 服部 剛自由詩3509-1-24
Freedom_Song_- 服部 剛自由詩32*08-9-22
免許を取れた日_- 服部 剛自由詩27+*08-8-26
春雨の午後_- 服部 剛自由詩18*08-3-24
蛍_- 服部 剛自由詩4*07-12-4
檻の犬_- 服部 剛自由詩4*07-11-29
「_○_」_- 服部 剛自由詩407-11-23
信号の唄_- 服部 剛自由詩307-10-18
風の顔_- 服部 剛自由詩707-10-4
三つ編みの手- 服部 剛自由詩8*07-10-2
ゴミ置き場_- 服部 剛自由詩5*07-9-28
いのり_- 服部 剛自由詩607-8-18

Home 次へ
1 2 3 4 5 6 7 
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する