天使の羽が折れるまで
木葉 揺
主旋律はもう
ピアノを離れた
(羽をインクにつけたとき
諦念が私に絡みつく)
幼き日々よ
最終楽章に向かうのか
草原を駆ける二人の影は
五線譜の上を踊る
アマデウスの傍
紙とインクを切らさない
従順なコンスタンツェ
発想が途切れるよう
温かいカフェでも出せばいい
そうすれば
書き上げることのできぬ絶望で
激しい言葉が飛び散っても
どこへも行けず
ついには膝を濡らすでしょう
狂った瞳に舞い降りる星
埃まみれの部屋の中
寒そうに光る鍵盤を一つ
人差し指で押してみた
自由詩
天使の羽が折れるまで
Copyright
木葉 揺
2005-06-04 12:17:31
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