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夏の暑さに、包まれ、静まり、静かな怒りの流れのように、
今、雷鳴がとどろき、わたしは戦慄した。
……ざあっと、雨が降るね。おびえる目で見守る。
やがて、ぽつりぽつりと、頬を打つ雨は感動で、至らな ....
風が吹いたからって、何だっていうのさ。
わたしは人殺しのような目をして、アスファルトに小瓶を蹴って、
救われることなんてあり得ない、ボードヴィルに身をまかせていたよ。
涙……など、流れない。
....
その耳、分かるよ? ──分かるわけないさ!
頭蓋をうち壊して(死ぬ?)、わたしはわたしの頭痛を排除した。だからって?
ああ、どんな愚痴でもちょうだい。
わたしは一番街から五番街までの通りを走って ....
雨を乞う父が安らかに過ごせるよう
夢のなか眠りのなかまで空梅雨
青嵐三十日も遅れて来
雲もなく夕暮れてなお蝉しぐれ
明ける朝にわかにとまどい大暑かな
アイスティーマディソ ....
遠くから夜明けの咆哮トケイソウ
溶けゆくはアイスクリーム木陰の椅子
氷菓子まだまだだめよ母の言い
引き続く夏の星なら三角形
空梅雨のゆくえもどこか淋しげで
さらさやと青葉 ....
暑き日よわたしは果てる汝も果てる
長雨の宵に流せる涙はなく
乾く日と湿る日とに思う{ルビ変化=へんげ}のこと
庭の木が短夜にさらさらと鳴れば
眠れずに午前四時過ぎ暑き日や
....
& Next then :
それから、わたしたち二人はどうなったでしょうか。果林とは前よりいっそう親しくなったの? と、聞いた子がいます。どう答えていいのか、分からない。
....
&
男の子たちはみんなばか
あたしを置いて、どこかへ行っちゃう
果林が奇妙な歌を歌いはじめたのは、それに連なる日からです。
わたしはディオールの服とかを見 ....
Introduction :
冬の風がもうひたひたと吹きつけています。そんな季節になったのかと、なんだか意外な思いのように感じながら、書き始めています。いま、コンタクト・レンズでは ....
寂しさの星座へ向かう一月半ば
諦めを一つ手持ちて鬼は外
もう良いと言ってほしいの冬銀河
冬の雨寂しいという合言葉
父がいないわたしは起きる寒き朝
かけがえのない思い出に浸 ....
牡蠣鍋をまた作り父は不満顔
寒さに負けて今日はただふるえるよ
今日は日付変更線を迎えたの
歯医者の帰り冬の寒さは身に染みて
ポテトサラダ父のために作る小寒の日
悲しみに無 ....
そっけない冬に迎える一周忌
寒さなどなんでもないと呟いて
緩やかな上り坂なり我が冬は
初夢は霧と消えゆくそんな朝
さよならを言いたいのだけれど冬の暮れ
年末のチンジャオロ ....
三が日いつもとは違う道を辿ろうと
お節もなくただお寿司だけ買って来たる
父と酔いわたしも酔って三が日
悲しいと一言言えぬ年の明け
白鳥の鳴いて過ぎゆき朝涼し
忘れられ二度 ....
コーヒーを飲んで眉根を寄せる冬
隣り合う慈しみなり冬木立
手袋をなくしてひとつ溜息ついて
一人ゆく孤独は友かミソサザイ
木枯らしに問うても答えはないままで
おはようを再び言う日冬至前
鍋の具を買いに行くけれど鍋はなし
一年が再び巡り冬至来る
カーテンを閉めて迎えるクリスマス
悲劇とは名ばかりなりて真冬の日
ため息に混じる希望 ....