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  1 ある青年

この強力なバーナーから騰がる炎の熱を蓄えた
おおきな{ルビ布袋=ふたい}で空にのぼるのだ
「トーキョーだかニッポンだか知りませんが
ぼくには十世紀まえの遺跡です」
点在 ....
  
いま どらびだの駅だ
むかし おなじ名まえのくにを紀行したが
もうずいぶん前だったので
ぼうぼうとした
かぜの中あたりで 周囲を見まわす
駅舎があるとは知らなかった
いや
とうの ....
このような気温であるのに
なぜ雲は浮かぶことができるか
冬に向かう日の まぼろし
日もかげり奔る地の遠い端では
なにか小さなものを手にいじって暮らした

四角い小さないすに据わったからだが ....
雲には雲の消長あれど
もとよりその場に出でくるものにて
専らおのれより動くことなし
ゆえにいま雲の目の前を動きゆくは雲のゆくにあらずして
空のゆくなり

{ルビ陸板=プレート}上に我らと我 ....
メールが来た
日付けはなく 差出人の名前もない
蔵書を貸してくれという

家の居間から出ようとしただけで
不意にさびしい海岸に出てしまったなら
どうする?

まあ
椅子でも出して座っ ....
夏が来て
ちいさな歩道に
気のはやい病葉が舞いだすころには
わたしはもう
いないかもしれないけれど
いまはやわらかい
光のなかを飛んでゆくわたしを見てください

(きっとあなたは
  ....
知らない町をゆく
晴天が聳え
すかんと何もかにも失せている
なるべくうまく置きざりにされて老いぼれたい

乾きたい乾きたい ああ 
かあ わ きたい の
曲がりくねった坂道むちゃくちゃに ....
             -「戦後」に


手足が期待のようなものに透け
それを静かに束ね(斜光が胸を薄くする

「きみ、腕が痩せたね
「僕、肩が落ちてね

窓の外から
母たちのお ....
ひとが生えている

近寄ると体温が匂う
生えたばかりの子株が
かわゆらしく親にしがみついている
泣き顔、笑い顔、憂う顔
みな目を閉じ
しずかに空の下にたち 並ぶ

農夫の姿は見えない ....
そこは陥没した土地の底だった
ふしぎにあおぞらに囲まれ
馴れ馴れとSiraketa鳥のとぶ低地
新しいだけがとりえのその土地に
湧き出る雲は白くて尽きないのでおそろしい
すうすうすうすうゆく ....
地平ちかくにいっぽんの痩せ木があった

雲は
絶叫

しない。
 ハリエニシダ
 遠しといえど難からず

近頃の人間は半袖というものを着ない
だから腕に掻き傷のひとつもないのだと
おじさんは言う
茂みを抜けた岬の荒れ地は
見通しはいいけれど 
とお ....
青空の下に
大きな穴が並んでいる

列車が来て停まる
線路の端に
白い雲が湧いていておそろしい
時間になると汽笛がひびき
車両に載せられた人と財布を
地番外にできた
あたらしい穴まで ....
海にむかって荒れた泥土の地だ
青々と
七月の草が茂りきっても
空には爽快な音を残し 
人が飛んでゆく

診療所の一軒も残さぬ海岸は
茫々と
ゴミだ何だが顔を覗かせ
日がな 風にばたば ....
          ―あるいは隠棲と知識


その先は海へといたる低地帯
広大なだけの空が暮れはじめると
きょうも
{ルビ背=せい}の高い草は
静かで乾いた音をたてる

立ってること ....
柔らかく 昏い光が
ひっそりと漏れだしたように

わずかに傾斜した平坦な地の
襞に、影

鉦がきこえて
列がゆく野は
さびしい海にむかって開けていった

或るひとつの手の
美しい ....
 大陸東岸の島嶼では、なんとも夥しい数の
言葉が浜辺に堆積し続ける。行き先を持たぬ
者らは、最後は海辺に横たわるしかないのだ。
一日の始まりから終わりまで、波は鳥という
鳥のかたちを投げかける ....
とりがいる

「Pain
「ぴア

弧を描き
弧をねがう
ひわひよひわ 啼き声を発しながら
希薄な大気には失語の気配

〈だがひとは、 太古 このとりの足跡を見て 文字を学んだのだ ....
開く度に人の貌だった
思いがけぬ このよの{ルビ摂理=ことわり}
華やかな秘密
どこの{ルビ世界=黄泉}への 扉なのか
人界の
花弁の上に閉開する ちょうつがいの{ルビ生物=いきもの}
羽 ....
詩を書くとは
ろくに泳げぬ者が、寂しい山中の湖にひとり
溺れているようなものではないか
鳥はそらをとぶ魚
地は往かず
なのになぜ
鳥のみが
寂しい風土を暗示する
海上に 白き海嘯を湧かすことなく
羽ばたき軋む骨格のゆえか 
それとも
その骨奥にほそぼそと伝えられきた捕食と ....
{引用=           ―オフィス街のすきまから
            唸り声と酸の匂い}

蒼く林立するビルの足許には
反転する魚群のうすくろい影と 幽かなハミング
水辺に群れる野 ....
遼原に
かぜが吹いても
僕は魅惑する午睡である
泥炭の午後
巨大な軋れおとをたてて 目蓋があく
午睡である



は地平から近づく囀りの
沸き返りの
天秤の
朱のいのちは青銅 ....
               ─佐々木好に捧げる

象が飛んでゆく
キリンが飛んでゆく
バオバブの木や やわらかな色合いのにんじんもとんで

ねえ、
どれもこれも飛んでゆくものたちはまる ....
僕が転んだ
白い雲がながれていた
僕が転んだ
麦の穂を風が掃いた
僕が転んだ
膝に石を刺した
しんとした痛みを
ただこらえた

何も居ない 
笑いごえもない
ひざを押さえた道端で ....
ふるるさんの「ま」の字さんおすすめリスト(25)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
気球- 「ま」の ...自由詩9*18-2-4
_どらびだの駅- 「ま」の ...自由詩6*17-12-3
今年の秋- 「ま」の ...自由詩1*15-11-1
望景- 「ま」の ...自由詩4*11-9-17
手紙- 「ま」の ...自由詩6*08-6-28
もんしろ- 「ま」の ...自由詩4*08-6-28
彷徨と空- 「ま」の ...自由詩7*08-2-8
ゆうぐれ- 「ま」の ...自由詩6*07-10-2
農園- 「ま」の ...自由詩4*07-9-4
- 「ま」の ...自由詩3*07-7-29
絶滅- 「ま」の ...自由詩4*07-6-29
ハリエニシダ_2- 「ま」の ...自由詩8*07-5-28
低地- 「ま」の ...自由詩10*07-4-28
辺土- 「ま」の ...自由詩6*07-4-28
ハリエニシダ- 「ま」の ...自由詩6*07-4-22
平野- 「ま」の ...自由詩9*07-1-8
僕はいつもあの浜辺で継ぎはぎの夢を見つづける- 「ま」の ...自由詩3*07-1-7
天上の国_鳥の文字- 「ま」の ...自由詩8*06-11-19
蝶を夢む- 「ま」の ...自由詩3*06-11-19
- 「ま」の ...未詩・独白106-11-6
無意なる旋回(改)- 「ま」の ...自由詩3*06-11-1
_恐竜- 「ま」の ...自由詩2*06-8-15
_春に- 「ま」の ...自由詩5*06-6-28
ドライブ- 「ま」の ...自由詩3*06-1-5
_僕が転んだ- 「ま」の ...自由詩6*05-12-12

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