見覚えのない住所から
冬の匂いの封筒は届き
記憶の引き出しから
銀のペイパーナイフと
あらん限りの想いの欠片とを
わたしは交互に取り出す


かさり、と開くと
月夜の薄明かりのなかで ....
目の前に広がっているこの海を
神秘的という言葉で片付ける
向こう側の世界なんて
想像する事しかできないから

こちら側では
とても小さな世界があって
誰が望んでいなくても
救いようもな ....
明るい夜も、暗い夜も、それぞれに色々な夜があったけれど。


遠く回り道をするように。言葉が言葉からそれからを選んでいくように、一瞬だったものを、ふと、足を止めて拾い上げてみれば。もう、「それか ....
陽はひらき
もの皆きしみ
葉を迷い
土へ降る色


曇をせばめる音は冷え
路はひととき白くなる
風に生まれる幼いまだら
水たまりの空のはじまり


ゆがみを抱いた黄 ....
霧の朝僕は
白い虚しさにまかれる
あるいは
あるかなきかの徒労に
世界は音もなく沈んで
僕一人を孤立させる部屋
あの夏の日
彼女が湖水に指をすべらし
その音のない{ルビ水面=みなも}を ....
冬の中のジャングルジム
僕登り
君降りる
色とりどりの鉄パイプをカサカサの手で握って
きのうは一晩中雨が降っていたので
手のひらが濡れるよ
嗅げば鉄のにおいがする
僕はとりあえず天辺まで ....
「最初で最後の、黙礼を交す」



いまはむかし
(この{ルビ宇宙=そら}もなかったころ)
それは無としかいいようのない、事象でした
そんな折に私は、
星占いをゆめゆめ零さぬようにと、 ....
ラジオで流れたちょっと古い歌に
思い出す学校の教室
見上げると野焼きの煙
校庭の空にあいつはいない

  工場跡がショッピングセンターにかわる
  空を割っていた煙突が消えて
  秋の花 ....
失恋は感傷に浸るためにある
そんな捨て台詞
あなたは残し
ひとり、わたしは取り残されて
遠く過ぎ行く機帆船の陰に
絶望の甘い涙を流す
(白い砂浜で貝殻ひとつ拾った
身体の隅々にまで刻まれ ....
精霊が来て、持ち去った
取りこぼすのは私
廊下に生温い王冠が落ちている

寒い、
寒いこの手をご覧
肺が裂けてしたたるよクリクーシカ

嘘つき女
私をご覧
私の肌は今、色を変える
 ....
羽がはえる
墜落をも抱き込み
くちびるが歌う
ながい夜の
電灯がうるさすぎて
実感にしないと
うまれ得ない

とどけた瞬間
いったい何年前の
扉をたたいた

むかえ入 ....
その
青い腕が捥がれるような感覚はいつからだったでしょうか。
青い腕は空を飛び、地を跳ね、思うように風に乗れたというのに。

オレンジの世界は、私にはまだ明るすぎてうまく泳げない ....
許さないで下さい
机の上に転がる
果実に写った柔らかさを
ひかりの落ちる
ひかりの中で

願わないで下さい
薄く濡れたままの便箋や
握りやすい万年筆に
触れようとする
その小さな手 ....
壁にもたれて
空を眺めて
そんなのも悪くないね

太陽は赤くなんて見えないし
月は碧くなんてない
星は黄色くなんてない

どうでもいいようなことを考えながら
壁にもたれ ....
あるきつかれた鄙びたモーテル
きみは背のたかいテーブルと椅子に
ぼくはその向かいから
きみをぼんやり眺めていた
ふるい鉄マドから差し込む
外界のひかり
照らされ
スパゲティーを丁 ....
ぶんっ

  
風がさそう夜は
目が潰れるほどに 
 眩しく 暗い
銀に輝く夜が

ぶんっ
  
視線をすい ....
流すというよりは
こぼれるという感じ
涙が線を
引いていく

まるで上から下へ
潤いを運ぶ川のように
一筋の流れがかすかに伝い

(ぽ、と)


                ....
君の寝ている隙に
本を開いてしまったよ
手のひらと同じくらいの大きさの
くたびれた表紙
真ん中より後に挟まれた栞
海の色をしている
波の音が聞こえそうで
耳を澄ませば
君の静かな寝息
 ....
{引用=記憶が、ゆれる
ゆれる
朱い花、
かたわらで、
誰がうたうか、蛍唄

(小さなひかりは影だと思う)

ねえ
やくざのつもりの
あんた
月のように夢を見て
どうしよう ....
十五に満たない女の子が
いのちを
空に差し出した

私は
彼女にかけることばを知らない

生きていれば
きっといいこともあるんだよ
なんて
そんなこと言えない

誰かが
きっ ....
エレベーターの扉が 
左右から閉まりかけた 

その時 

ひとりの青年がこちらに 
歩いてきた 


( いってしまおうか・・・ ) 

( いやまて、ひらこう ) 


 ....
<あきらめ>の四文字にアキとメと見つけ秋に芽生える草木を想う



片翼では飛べない空よすすき野は背中の地平線に波打つ



君の手に止まるとんぼを接写する今この時よ{ルビ ....
洗面器に金魚を二匹放したら波紋にひかる新月の影



告白に一瞬ときがとどまって乱反射する川が痛いよ



自転車に初めて乗れた日の風を呼びおこしてる恋のはじまり



まひる ....
くすんだ星空におやすみを言って

物凄い寝相で寝ているおまえたちにおやすみを言って

まだまだ元気な犬たちにおやすみを言って

たまにはオカンに電話でおやすみを言って

親父によろしく ....
かわいた中洲は
鳥に埋もれ
流れはただ
飛沫の跡を運んでいる


望まれぬものが橋をすぎ
影は明るくひろくなり
音や色に梳かれては落ち
にじむように流れを濃くする

 ....
天井がずいぶん高いなって思ったら空だった
わたしはいろいろ忘れてしまった
エレピの音が恋しい

必要ないのに笑うのはやめようよ

遠くでたくさんの音が聞こえる
とても賑やかだ
コーラ飲 ....
水面に 乱反射
オレンジと 銀色と
さらさらと風
きらきらと揺れ
浮かび上がる
水鳥のシルエット

夕景が
夜の闇に溶ける前に
浮かんだ小船の 孤独を思う

風に吹かれた
さざ ....
はずされてからは 机に
並んだままのコルク

昔いた場所には
白と黄色の花が
さし込まれている

細い緑の茎から
吸上げる水は
今は 無関係な液

祝うために届けられた
紅い液 ....
夜明け前 ぼくらの宇宙(そら)では
屋根ではじけた流星が うるおいの濃紺に飛び散るんだ
プレアデスの向こう 溢れ出てくる流星を
君の瞳に刺しゅうして
対になった星の光が ちかちか燃えるのを見て ....
巡りあわせ 人と 人は
縫うように 生きて
ゆく宛てを描きながら 暮れながら
語りながら 夜も更けて
欹てて眠る人も
宿の明かりと 消ゆる人
千波 一也さんのおすすめリスト(7731)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ベルベットの夜- 銀猫自由詩24*06-11-2
メリーゴーランド- 青山スイ自由詩1706-11-2
高い空を泳ぐように飛んでいく鮎の夢を見る- 霜天自由詩506-11-2
ひとつ_めぐる- 木立 悟自由詩406-11-2
霧の朝僕は- 石瀬琳々自由詩12*06-11-2
冬の中ジャングルジムで- 水町綜助自由詩5*06-11-2
星と礼- こしごえ自由詩20*06-11-2
僕たちはあの頃にいない- たりぽん ...自由詩906-11-2
冬の蜃気楼- 恋月 ぴ ...自由詩28*06-11-1
果実- ミゼット自由詩3*06-11-1
エクセリオン- キメラ自由詩606-11-1
対色- ふく未詩・独白3*06-11-1
ひかりの落ちるひかりの中で- はらだま ...自由詩13*06-11-1
休息- れるむ自由詩306-11-1
そして小さなワルツ- キメラ自由詩506-10-31
今夜- 藍静自由詩11*06-10-31
創書日和「流」_誘い涙- 半知半能自由詩706-10-31
さかなのみるゆめ。- 夕凪ここ ...自由詩11*06-10-31
青い野- 青色銀河 ...未詩・独白506-10-31
コスモス- umineko自由詩11*06-10-31
ふたつの声_- 服部 剛自由詩13*06-10-30
千秋_(side_B)- まほし短歌15*06-10-30
一夏_(side_A)- まほし短歌13*06-10-30
おやすみをいって- 自由詩10*06-10-30
ひとり_海へ- 木立 悟自由詩806-10-30
さよなら10月- チアーヌ自由詩806-10-29
52、さざなみ- 雨宮 之 ...自由詩5*06-10-29
花瓶とコルク- 砂木自由詩11*06-10-29
流星を刺しゅうして- たちばな ...自由詩9*06-10-29
一夜- ひより未詩・独白6*06-10-29

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