放置された畑 咲き並ぶネギボウズ
バコン バコンと
プラスティックバットを振りぬいては
浅緑を空の彼方に弾き飛ばした
なぜそんなことをするのだと叱られたが
ネギボウズの高さが
ちょうど僕ら ....
そこで溶ける人々の道に
石化する人を送り出す空に
いつの間にか帰ってきた人たちの
懐かしい声がただ優しい
私たちはとても弱くなってしまった

工事現場の迂回する
道の分だけ余計に
呼吸 ....


幸せなら手を叩こう
部屋の中で 便所の中で 電車の中で
幸せなら手を叩こう
朝焼けの街で 夕暮れの街で 星月夜の町で


**

教会の中で祈りを捧げる人々
幸せそうじゃな ....
あなたの論理ばかり振りかざす唇と

抱きしめるのを止めてしまった腕と

ちゃんとあたしの話を聞かない耳と

まっすぐ見つめ返さなくなった瞳を

角の八百屋でみかんと交換して ....
「1.せつなさとゆう魔物」

せつないとゆうことばをたどれば、刹那に通じるのだろうか?それとも漢字そのままで、切ない、つまり断ち切れないってことかしらん?とゆうことをチョコレート頬張りながら考えて ....
いつまでも、それを手に入れたいと
弱々しい手で、僕らは汲む

井戸の底に微かに照らし出される
月の光の輪郭のようなものを

  楽しいといっては  ひとつ汲み
  愛しいといっては  ひ ....
うるうると  ながれては  こおりにかえり

うるうると  みたしてゆく

つちを  かぜを


たちのぼる霧は
こおりをむすび
春待つ木々を
冬に還す


光 ....
みんないい人のふりをするのが得意で
とりあえずは
いい人を人に見せておく
奇麗事はカード一枚で
ぜんぶ裏表あり
リバーシブル
くるくる替えるの疲れる

あなたが羨ましい
自分のあるが ....
涙腺にふやけた朝雲が
ぬるく飽和している
もうこれ以上
隠しきれずに
雨滴は春を含んで零れ
しとしと
しとしと


あ、
頬、
ぬるい春を
塗られた頬、の
わたし ....
そっとあなたを見つめる
自分勝手に

わたしは思い出が欲しいの
わたしだけの

だからなるべく気の無いふりをして
あなたに近づいてみる
【椿】

花嫁の紅を着飾って
貴方を待っているのです
この純潔が叶わぬならば
首を落として
夢に果てましょう


【水仙】

明後日の方向を見ているのは
白いうなじを見せるため ....
目の前に桜の老木が立っていた

土の下深くへと 
無数の根を張り巡らせ 

空へと伸びる
無数の枝を広げ 

( {ルビ薄曇=うすぐもり}の雲間から 白く光る日輪が覗いた

太い幹 ....
ひらひらり
ひらひらり
なんと翻る
雫に映る視線

あざやかに澄んで飛び立つ冬の真中へ
私たちはとても弱いので
ときどき何かを殺めたりもする
ぬばたまの真夜中に潜む
声を持たない涙のように

私たちはとても怖くて
目を瞑って過ちを繰り返す
陽光のまぶしさが作る
白い闇を前 ....
ねぇ、そもそも、
からだの中心ってどこに
あるのかしら?

ただ、
丸くなって眠るきみは
ドーナッツのなかま、みたいねぇ

まんなかの空白のふしぎがやがて
きみの中心のような気が ....
冷たさが
この幸いを閉じ込める
すぐに消える雪片に
まじってもつきささる声
それは 
あなたのことよ


鍵を持つ
右の手の指がかじかんで
それでもこれを落とそうとしない
 ....
スーパーのレジで
おつりのコインを数枚受け取ると
「わあ、お金が増えたね」
と娘は目を輝かせる

自動ドアから出るときも
「あのおばさん、きっと親切な人なんだよ」
ふわふわと歌う
 ....
おやすみを言う前に

一回抱きしめると

おやすみ、が

愛してる、に

聞こえる。

おやすみ。
雪の降った夕暮れ
すっかり冷え込んだ空気の中で
黒いコートのポケットに手を入れると
黒い皮製の手帳にいきあたりました


そう
全てはこの手帳が始まりでした


死神の僕にとっては ....
宿命でも運命でもなく
それはタンポポ

土手に降りそそぐ
季節の日差しに
僕は目覚める
旅立ちにはもってこいの日だ

風は南南東
ロウソク工場の煙から推測するに
風速は2メートル
 ....
生まれたときから猫がいて
頼みもしないのに
わたしの布団の上に乗り
重い温かい
お互いさま
叱られて
毎日毎日叱られて
生きていてもしょうがない
だけど死ねないお子様は
布団のお腹に ....
雨が降る。
傘はいらない。

雨が好きな月もあれば、
雨が嫌いな月もある。

二月の雨が、
どちらなのか。

それはこの雨と、
君だけが知っている。

 ....
前後不覚に陥る。
前へ前へと思えば体は少しづつ前へ。
後ろへ後ろへと思えば体は少しづつ後ろへ。
カクカクカクカクと小刻みに動く身体。
全身の力を抜いて尚小刻みに動く腕や体。
身体の ....
樹の中に大きな穴を開けてやる
啄木鳥のように朝から晩まで
喧しく叩いている

壁の中に丸い穴を開ける
電気ドリルの電池が切れるまで
喧しい振動が続くまで

地面に大きな ....
 
ににんがし
にさんがろくで
にしひがし

いちたすいちも
ろくでなし
37までよめが来ぬ

来ない間に日が暮れて
クレタ島からニューギニア
ギアナ高地の贋蛙
ギアナギアナと ....
僕の消えていく闇の名前
石炭ボイラーの匂い
江浦路の路面電車が踏みつける
レールの間で腐っていく{ルビ瓜=うり}の皮
入り口だらけの逃げ場所

擦り切れた人民幣
二十五元五角の片道切符
 ....
傘を
返してほしい

名残りの雪は
綿のコートには冷たすぎて
ひとりで帰れる自信がないから

あの桜もようの紅い傘は
ほんとうはすこし空々しいから
好きではないのだけれど

 ....
“その名前で呼ばないで下さい”
“約束ですよ”


昔の夢から目をさますと
見なれた白い天井が水晶体に写りました
ベットから見える空の色は群青色に染まっています
いつのまにか眠って
 ....
さあ
南天
この冬にまだ緑を纏わせて
あなたがいることを知ろう
私が知るあなたというのは
この時節まだ凍てついているはずだが



離れても
違う名を与えられることなどなくて
冷 ....
“眼鏡の度があってませんよ”
 
俺には死神のじぃちゃんがいる
母さんの名付け親だ


父さんが死んでから
母さんは死神のじぃちゃんと二人暮しを始めた
俺が面倒を見ようかとも言った ....
千波 一也さんのおすすめリスト(7731)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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往復書簡- 霜天自由詩706-2-28
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*四点セット*- かおる自由詩9*06-2-28
「1.せつなさとゆう魔物」- umineko散文(批評 ...9*06-2-28
僕らは海にまぎれて- たりぽん ...自由詩1306-2-28
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にゃご- 蒼木りん未詩・独白406-2-26
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上海1986- たりぽん ...未詩・独白8*06-2-26
余寒- 落合朱美自由詩2406-2-25
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