冬の中ジャングルジムで
水町綜助

冬の中のジャングルジム
僕登り
君降りる
色とりどりの鉄パイプをカサカサの手で握って
きのうは一晩中雨が降っていたので
手のひらが濡れるよ
嗅げば鉄のにおいがする
僕はとりあえず天辺まで登って
そして疲れてやる気をなくす
口を開けて仰ぎ見れば空だけは真夏のプールみたい
もういいや
僕落ちる
君は途中で腰掛け足組んでタバコ
つまらなそうに落下する僕を見てる
空に渦巻く君のケムリ
冬の太陽のひかり
ぐるぐる回って半眼のまぶたを突き刺す
赤い色が一面に広がって見えて
睫に真珠みたいな燐光がたくさん見えて
浮揚感
浮遊感
滞空感
衝撃
蟻の目線
君からの視線
いやんなるなそんな目で見るから

土埃を払って
僕はまた登る
君は降りる
そして僕また落ちる
君はケムリ

それを繰り返す
好きで繰り返している

冬の中のジャングルジム
僕登り
君降りる


自由詩 冬の中ジャングルジムで Copyright 水町綜助 2006-11-02 12:32:04
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