ひとつ めぐる
木立 悟




陽はひらき
もの皆きしみ
葉を迷い
土へ降る色


曇をせばめる音は冷え
路はひととき白くなる
風に生まれる幼いまだら
水たまりの空のはじまり


ゆがみを抱いた黄色でいる
やわらかく双つの黄色でいる
いきどまりの手の黄色でいる
中庭をめぐる ひとつの背を描く


痛む肩へと振り向くと
風は渦をまくことなく
小さく上下をくりかえしている
午後が来ても 夜が来ても


忘れられた雨は泣き
川がさらに夜を呑むとき
暗く冷たく 見放さぬ手が
雨の素足と頬を洗う


去る色たちは朝へ去り
残る音は灯下に変わる
歩き出せば遠い中庭
東から来る風にまたたく














自由詩 ひとつ めぐる Copyright 木立 悟 2006-11-02 16:39:48
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